ほしい暮らしは自分でつくる ぼくらのリノベーションまちづくり

ほしい暮らしは自分でつくる

千葉駅は駅ビルの建て替えがほぼ完了して賑わいを取り戻しています。ですが千葉パルコ、三越が閉館して通りに人が少なくなってきているようです。
古い建物が取り壊されコインパーキングに変わっていく景色は寂しいです。古い建物を上手に使えば楽しい仕組みが作れるのに残念です。
一方福岡では古い建物を上手に使い、まちづくりをしています。そんな福岡から始まったリノベーションまちづくりが全国各地で広がっています。

ぼくらのリノベーションまちづくり嶋田洋平氏講演会@千葉に参加してきました。リノベーションまちづくりについては書籍や雑誌でなんとなく内容は知っているつもりです。ですが、実践者の話を聞く事が一番参考になりますし、嶋田さんの人柄にも触れてみたいので、迷わず参加しました。80人のホールは満席。会場内は行政、民間の人が半々くらいでしょうか?顔見知りの人も何人かいらっしゃいました。

 

敷地に価値なし、エリアに価値あり

講演で気づいた事の要点です。

  • 地域を活性化する時に、行政からの補助金頼みは止め、自ら稼げるようになる。
  • 建物はそのままで中身、コンテンツをつくることを考える。
  • リノベーションまちづくりはコンテンツ作り。
  • 地域の価値が上がり資金の回収が見込めるようになってから資本を投入して改築、新築で効果を高める。
  • 地域の価値が高まると、人が集まり、コミュニティが復活する。
  • 次世代に地域を価値ある状態でバトンタッチする。
 ”敷地に価値なし、エリアに価値あり”  このことは呪文のように唱えてくださいと話されていました。
講演会を通して、嶋田氏の明るく、求心力のある人柄が魅力的でした。

数多くのプロジェクトをこなしてきただけあり、プレゼンテーションも簡潔で解り易かったです。プロジェクターに映し出される資料も明快で解り易い!

自分のメインスキルを考える

嶋田さんの日々の仕事に視点を移してみると、これからの自分の仕事について気づきがありました。
従来、建築設計事務所の業務内容は建物の設計・監理ですが、嶋田さんの業務では、その先の運営管理までも業務内容に入っています。
プロジェクトに対して、自ら借り入れを起こし貸借して返済に充てる等、従来の建築設計事務所でほとんど無かった業務をこなしています。

従来の仕事の枠を取り払い、自分のメインのスキルを生かしながら新しい分野に参入していく姿勢は今後の全ての仕事に必要だと思います。
個人で全てのジャンルの専門家になることは不可能ですから、仕事毎にプロジェクトを組みながら共働する体制になってくるわけです。

従来の仕事の枠がどんどん無くなっていく中、自分のメインスキルは何か?そのメインスキルで何が貢献できるか?が大切になってきます。

日々の仕事の中では目の前の業務をこなすことで精一杯、現状維持を続けたくなります。ですが、メインスキルを意識して少し軸をずらした仕事をしてみると、案外簡単に新しい分野に参入していくきっかけになりそうです。

まずは小さなステップから初めて見たいと思います。

愛着を上手に引き継ぐには

リフォームをするきっかけは、大小はともかくリフォーム前の家に不満があっての事だと思います。ですからリフォームの時は、リフォーム前の家の事は綺麗さっぱりと忘れ、全てを新しくし新築のようにリフォームをしたくなります。

ですがリフォーム前の家の記憶を残しながらのリフォームはいかがでしょうか?

”昔はここはキッチンだった” ”この材料は昔○○で使っていたな” というようなリフォーム前の家の記憶を思い出すような計画はいかがでしょうか?

家の記憶を残しながらのリフォームとは

  • 古い柱をアクセントとしてプランニングする
  • 古い梁を現しで見せる
  • 欄間や棚板等の部材を他のヶ所へ転用する
  • 建具の再利用 等など

プランニング、施工においても一手間が必要になりますが、建物の思い出、それに伴う先人の思い出を残したい場合はお薦めします。

古い部材を効果的に表すことによって、雰囲気が変わってきます。 新しい物には無い、古い部材が持つ味わいも良いものだと思います。

リフォームは新築と比較して手間がかかる場合が多いです。 断熱性能、耐震性能の向上を合わせて行いますので、工事費も新築を建てることが出来る金額になる可能性もあります。 それにも関わらずリフォームを選択する場合、リフォーム前の家に愛着があるからだと思います。そういった愛着を上手に引き継ぐことができれば満足な家になると思いませんか?

さんむの家では、家の記憶を残しながらのリフォームを行っています。

お金で買うことができない思い出もあります。リフォームの時に参考になればと思います。

天然素材の良し悪し

天然素材は施工にコツが必要

ビーナスコートの本塗りが終わりました。

水性塗料と違い、自然系の材料は扱いにコツが必要です。シーラーの調整、材料の希釈など難しい部分があったようですが無事に施工完了しました。

本来ならば何事も無く施工できると良いのですが、必ず何か問題が発生します。ですが、原因を突き止め、対策を取ることができれば貴重な経験の一つになると考えています。

監理ポイントも見つかったので次回に施工に生かせればと考えています。

仕上がりは素晴らしく、水性塗料にはない少しざらついた肌触りで、陰影も綺麗だと思います。

さんむの家で使用したビーナスコートについて解説したいと思います。

ビーナスコートは薄塗りの天然内装仕上クリーム材で、主原材料は「卵殻」と「火山灰」です。

原材料に「卵殻」を使っているのはビーナスコートだけだと思います。

メーカーさんによると「卵殻」は、マヨネーズ工場から廃棄されるものを、乾燥、粉砕の工程を経たものを原料としているそうです。

マヨネーズを作る過程で生じる卵の殻。本来でしたら処分費をかけて廃棄されるものを再利用しています。リサイクル素材であるのでエコロジーの視点から見ても満足ができる原材料です。来訪されたお客さまに、この壁、リサイクル素材で卵の殻からできてるんだよ!なんて話題にもなりそうです。

 

もう一つの原材料「火山灰」については皆さんご存じだと思いますが、こちらも利用価値の少ない素材です。

火山が噴火し、堆積した火山灰の処理に苦労されているニュースを見かけますよね。そんな厄介でもある素材です。

ビーナスコートはこんな二つの原材料を活用している、地球環境に負荷をかけることの少ないエコロジーな材料なのです。

機能面では、臭いや有害物質を吸着し、湿気を吸湿する効果があります。

もちろん天然素材ですから仕上りもビニールクロスには無い、天然素材の美しい質感を楽しむことができ意匠面でも満足です。

エコロジー、意匠、機能の3点を満足させることができる素材だと思います。

 

 

YKK APW フォーラム&プレゼンテーションに参加

YKK APWフォーラムつくばに参加してきました。
プレゼンテーションは関西の建築家 Eee works 代表の日下洋介先生です。
日下先生は性能とデザインが両立する建物設計を実践されており、私達も目指している性能とデザインの両立を学んできました。

温熱環境設計について大きな学びがあり、設計時のシミュレーションを行い事前に確認することの大切さを改めて確認。
遅れながらも、私も建物燃費ナビ、ホームズくん試用版を試しているところでしたので、今回の講演を聴講し採用に迷いが無くなりました。
しかしながら他ソフトの連携、使い勝手等、どちらのソフトを導入するか迷っています。
幸いにも、省エネ建築診断士セミナーを受講する予定なので、その後に決定する予定です。

講演内容は聴竹居からコルビジェを通して機能、性能、デザインの話へ。
最新作の紹介もあり飽きることの無い講演でした。
帰路、街路樹の隙間から見えるカーテンウォールの建物を見て気がついたのですが、講演会場がつくば学園都市なのでコルビジェを絡めたのでしょうか?次回機会がありましたらお聞きしてみたいです。

YKKさんが主催するYKK APWフォーラムは貴重な情報収集の場。
一年毎に変わる省エネ関係の法令などを整理することができます。
設計事務所にはとても有難いことです。
継続して開催されることを期待します。

YKKさん、日下先生、ありがとうございました。