里山と板倉建築

神社が近くにある里山の一角に、昔ながらの建て方、板倉工法で建てられた建物を見学してきました。板倉工法で建てられた建物を実際に見学するのは初めて。

一般的な在来工法と違う建て方なのだから、きっと住まいや暮らし方もきっと違うはずです。そんなことを考えながらの見学です

伝統工法から進化

板倉工法は柱の間に溝を掘ってそこに厚板を落とし込んで壁をつくる工法です。4寸角の柱と一寸厚の板で基本構造をつくります。柱と柱の間に筋交いや構造合板で耐力を確保する、在来工法や2×4と違い主要構造部には接合用の構造金物をつかわずに、大工さんによる木組みの継手で建てられています。

 

柱と横架材の接合も大工さんの手仕事による仕口に込栓と呼ばれる木製のピンを打ち込んで接合しています。板倉工法は落とし込んだ厚板の室内側がそのまま仕上げとなってくるので、構造と仕上げが一体になった無駄の無い仕組みが魅力的です。

 

 

里山の暮らしを再現する

見学した住宅は土間を中心とした吹き抜けが中心となっていて、丸太を加工した事がわかる太鼓梁や登り梁を見事にくみ上げた小屋組も見応えがありました。在来工法のような定形材を使ったリズミカルな小屋組も美しいですが大工さんの手仕事がわかる小屋組も見応えがあって良いですね。

 

室内建具には一部古い建具が使われていて新築なのにまるで古民家のような雰囲気。土間にはマキストーブ、給湯はマキやペレットを燃やしてお湯を沸かす給湯器が使われています。この建物が建てられているのは里山の一角です。燃料としてマキを調達することができれば、まるで昔ながらの里山の暮らしが実現出来そうです。

国内材の流通をデザインする

また板倉工法の材料は主にスギが使われてます。国内で調達しやすい材料を選んでいるそうです。スギは日本各地で植樹されていて調達のしやすい材料。

ですが安価な輸入材に押されて国産材のスギの需要が低迷。森林の手入れができずに荒れているニュースを見かけます。日本の森林から伐採されて木材となり建物になる。こんなサイクルを取り戻す事ができれば輸入材を減らすことができます。

板倉工法のようにスギ材を有効利用できる工法が一般化して、使用量が増えれば森林の荒廃を食い止める1つの方法になりそうです。

今回の建物は千葉のサンブスギを使って建てられていました。地元の良い材料を集め、大工さんが腕を振るったようです。職人不足で大工さんも減っている建設業界。腕のたつ経験豊富な大工さんも減っていますが、施工会社の石井工業(株)さまは板倉工法のような仕事ができるように様々な取り組みをされているようです。

板倉工法と復興住宅

また板倉は復興用の仮設住宅にも使われています。他工法のプレファブの住宅と比較すると板倉工法では無垢の木が仕上げに使われているので生活をしていると気持ちが安らぐようです。災害時の緊急用の仮設住宅の役目を終えた後も、解体をされて復興住宅として再利用されているようです。このような再利用ができる事も板倉工法の特徴の1つです。

板倉工法は金物を使わないので古民家の改修にも適していそうです。古民家を改修するときも耐力壁の追加が必要になるのですが、古民家のような金物を使わない構造に板倉工法は馴染みそうにです。施工方法の検討が必要ですが機会があれば採用してみたい工法です。

見学会を開催してくださったお施主様、板倉工法を詳しく説明していただいた(株)里山建築研究所さま、施工の石井工業(株)さま、貴重な機会をありがとうございました。