びおソーラー設計者のつどいin鎌倉 

どんな職業でもトップスターと呼ばれる人がいます。同じ仕事をしていて憧れるような人達です。住宅設計の中にもトップスターの建築家がいますが、堀部安嗣さんもその一人だと思います。

そんな建築家の堀部安嗣さんが設計した住宅が見学できると案内が届きました。滅多に無いチャンスです。スケジュールを調整して手の物語さん主催「びおソーラー設計者のつどいin鎌倉」に参加してきました。

シンプルな家形

外観はシンプルな切妻屋根の家形で周辺の戸建て住宅と比べると小ぶりに感じます。外壁はシンプルな板張りで派手さは全くありません。ですが軒先の見付を小さく収めていたり、開口部周りが一工夫されていて美しく見えます。

プランは4間角の真四角な外郭で、階高も低いので外観が小ぶりな印象が納得できます。小住宅に分類されると思います。

小住宅は階段の位置が全てを決めてしまうのですが、螺旋階段が絶妙な位置に計画され廊下が一切無いプランなので狭く感じません。

また、詳細は控えますがこの螺旋階段に仕掛けがありまして、堀部建築の荘厳な高い精神性を表現しているように感じました。

天井高は低いが心地良い

この住宅は天井の高さを低く押さえて設計されていました。天井が低いと狭苦しさを感じそうですが、それとは逆に心地良さを感じます。よく目にする住宅の広告では天井は高いほうが良い!みたいな潮流があります。高い天井高は解放感があり、その気持ち良さも解ります。ですが低い天井高の包まれるような居心地の良さはまた格別なんです。これは体験してみないと解りません。

暮らしも楽しそう

リビングはもちろんですが、キッチンが南に面していて窓から美しい景色が望めます。天板に小さな段差がついていたりと細かな工夫が沢山あり、暮らしが楽しめそうです。

堀部建築の特徴、建具等の細かい納まり、素材の選定は見事で、完成度の高さに言葉がでません。一つ一つの部材が美しいだけで無く、毎日の生活でその部材に触れる度に喜びを感じそうでした。

室内の温熱環境は?

この建物に引っ越す前、オーナーさんは無断熱の極寒の住宅に住まわれていたそう。そんな寒さに震えるオーナーさんを見て、堀部さんは暖かい家を設計してあげたいと思ったそうです。
そのためにびおソーラーで熱源を確保し、建物内部の各所にも空気の循環を促すような工夫が随所に見ることができました。オーナーさん曰く、2週間生活した室内の環境は快適だそうです。
夏場の日射遮蔽対策もしてあり、夏場の環境も快適そうに思えます。

引き渡しを終えた後も、幸せそうなオーナーさんと堀部氏の笑顔の会話が信頼関係が良好な事を物語っていました。

見学を終えて

 堀部建築は美しい小さな小箱のようでした。ですが、設計者として見学すると設計に対する情熱、手がけたであろう時間、を想像し圧倒されました。見学会後の講演会で今回のプランにたどり着くまでの苦労話を聞くこともできました。最近は温熱環境にも配慮をしていて日々進化されています。やはりトップランナーは日々の勉強を怠らないのですね。だからトップランナーなのです。

残念ながら住宅の見学会なので残念ながら写真は一切無しですが、堀部建築の余韻を味わいながら訪れた妙法寺の苔階段をポストします。この苔階段も踏むことを許されない荘厳さを感じました。

ほしい暮らしは自分でつくる ぼくらのリノベーションまちづくり

ほしい暮らしは自分でつくる

千葉駅は駅ビルの建て替えがほぼ完了して賑わいを取り戻しています。ですが千葉パルコ、三越が閉館して通りに人が少なくなってきているようです。
古い建物が取り壊されコインパーキングに変わっていく景色は寂しいです。古い建物を上手に使えば楽しい仕組みが作れるのに残念です。
一方福岡では古い建物を上手に使い、まちづくりをしています。そんな福岡から始まったリノベーションまちづくりが全国各地で広がっています。

ぼくらのリノベーションまちづくり嶋田洋平氏講演会@千葉に参加してきました。リノベーションまちづくりについては書籍や雑誌でなんとなく内容は知っているつもりです。ですが、実践者の話を聞く事が一番参考になりますし、嶋田さんの人柄にも触れてみたいので、迷わず参加しました。80人のホールは満席。会場内は行政、民間の人が半々くらいでしょうか?顔見知りの人も何人かいらっしゃいました。

 

敷地に価値なし、エリアに価値あり

講演で気づいた事の要点です。

  • 地域を活性化する時に、行政からの補助金頼みは止め、自ら稼げるようになる。
  • 建物はそのままで中身、コンテンツをつくることを考える。
  • リノベーションまちづくりはコンテンツ作り。
  • 地域の価値が上がり資金の回収が見込めるようになってから資本を投入して改築、新築で効果を高める。
  • 地域の価値が高まると、人が集まり、コミュニティが復活する。
  • 次世代に地域を価値ある状態でバトンタッチする。
 ”敷地に価値なし、エリアに価値あり”  このことは呪文のように唱えてくださいと話されていました。
講演会を通して、嶋田氏の明るく、求心力のある人柄が魅力的でした。

数多くのプロジェクトをこなしてきただけあり、プレゼンテーションも簡潔で解り易かったです。プロジェクターに映し出される資料も明快で解り易い!

自分のメインスキルを考える

嶋田さんの日々の仕事に視点を移してみると、これからの自分の仕事について気づきがありました。
従来、建築設計事務所の業務内容は建物の設計・監理ですが、嶋田さんの業務では、その先の運営管理までも業務内容に入っています。
プロジェクトに対して、自ら借り入れを起こし貸借して返済に充てる等、従来の建築設計事務所でほとんど無かった業務をこなしています。

従来の仕事の枠を取り払い、自分のメインのスキルを生かしながら新しい分野に参入していく姿勢は今後の全ての仕事に必要だと思います。
個人で全てのジャンルの専門家になることは不可能ですから、仕事毎にプロジェクトを組みながら共働する体制になってくるわけです。

従来の仕事の枠がどんどん無くなっていく中、自分のメインスキルは何か?そのメインスキルで何が貢献できるか?が大切になってきます。

日々の仕事の中では目の前の業務をこなすことで精一杯、現状維持を続けたくなります。ですが、メインスキルを意識して少し軸をずらした仕事をしてみると、案外簡単に新しい分野に参入していくきっかけになりそうです。

まずは小さなステップから初めて見たいと思います。

古い木造校舎を見て思うこと

チャンス到来

ぼくのツリーハウス・プロジェクトを主催する佐藤 紘孝さんのお誘いで旭小学校吉岡分校を訪ねることができました。

旭小学校吉岡分校は廃校後に消防資料館として利用されていたのですが2012年に閉館され敷地内に立ち入ることが出来なくなっています。

吉岡分校の建物は古い木造校舎で外壁も木材のまま、古い面影を保っています。木造の古い建物が好きな方ならば、一度は見てみたい建物です。

もちらん私も木造の古い建物が大好きです。建物の前を車で通り過ぎる度に、当時の面影を残している木造校舎に以前から興味を持っていました。

佐藤さんとお会いした時、吉岡分校について熱く語ったご縁?で見学のチャンスが訪れました。

 

木材の外壁の耐久性は?

校舎の窓がアルミサッシに交換されていますが外壁は木板のままなので古い木造校舎の雰囲気はそのまま。

外壁の木材はペンキがはがれていますが、ひとまず外壁の役割を果たしている様子です。

流石に土台周りはそれなりに痛んでいますが、腐食して腐り落ちている部分も見られません。

この木材が何時張られたものか定かではありませんが、意外に木材の外壁は耐久性があるのです。

外壁に木材を使うと耐久性の面で不安と言う声を聞きますが、サイディング材は10年に一度は塗り替え工事をしなければなりません。

しかもサイディング材は完成した時が美しさのピークで、後は汚れていくだけです。

ですが木材は完成してからエージングして古びた美しさがましていきます。杉材などの色がぬけ、シルバーになった美しさは格別です。

この校舎も木目調のサイディングに張り替えていたら、今の雰囲気は無かったでしょうね。

家づくりの時、法的問題で外壁を木材で仕上げる事が可能な場合、仕上材の候補にしても良いと思います。

 

先日、私もお手伝いとして参加したツリーハウスのお披露目式に合わせ、アートフェスティバルが開催されます。

アートフェスティバル 11/25(土)26(日)2日間開催

その時の駐車場として旭小学校吉岡分校を使用するそうです。アートフェスティバルに参加しながら吉岡分校も訪ねてみてください。

 

 

愛着を上手に引き継ぐには

リフォームをするきっかけは、大小はともかくリフォーム前の家に不満があっての事だと思います。ですからリフォームの時は、リフォーム前の家の事は綺麗さっぱりと忘れ、全てを新しくし新築のようにリフォームをしたくなります。

ですがリフォーム前の家の記憶を残しながらのリフォームはいかがでしょうか?

”昔はここはキッチンだった” ”この材料は昔○○で使っていたな” というようなリフォーム前の家の記憶を思い出すような計画はいかがでしょうか?

家の記憶を残しながらのリフォームとは

  • 古い柱をアクセントとしてプランニングする
  • 古い梁を現しで見せる
  • 欄間や棚板等の部材を他のヶ所へ転用する
  • 建具の再利用 等など

プランニング、施工においても一手間が必要になりますが、建物の思い出、それに伴う先人の思い出を残したい場合はお薦めします。

古い部材を効果的に表すことによって、雰囲気が変わってきます。 新しい物には無い、古い部材が持つ味わいも良いものだと思います。

リフォームは新築と比較して手間がかかる場合が多いです。 断熱性能、耐震性能の向上を合わせて行いますので、工事費も新築を建てることが出来る金額になる可能性もあります。 それにも関わらずリフォームを選択する場合、リフォーム前の家に愛着があるからだと思います。そういった愛着を上手に引き継ぐことができれば満足な家になると思いませんか?

さんむの家では、家の記憶を残しながらのリフォームを行っています。

お金で買うことができない思い出もあります。リフォームの時に参考になればと思います。