五月晴れと太陽光発電

5月も終わりになってしましまいますが、5月はもっとも過ごしやすい月だと思います。五月晴れは本当に気持ちが良いです。今年は夏日になる日が何度かありましたが、5月の爽やかな風は本当に心地良いものです。

子育て世代にとって大きなイベントの一つに運動会があります。小中学校の運動会が残暑の残る9月開催から5月開催に変わってきているのも子ども達、見学に行く親にとっても有難いです。私の住む地域では5月開催だったので本当に助かりました!

5月は、他の月と比較すると日射量も多く、平均気温が20℃以下、湿度も低く心地良く感じる条件が揃っています。

 

日射量の多い月は?

5月は人間にとって過ごしやすい月ですが、太陽光発電にとっても良い月なのです。

1年の中で太陽光の売電量は5月が一番なのです。

多くの人が5月は日差しが多いと感じていると思いますが、事実、太陽からの全天日射量は8月が多く、並んで5月も多いのです。太陽光発電は日射量に応じて発電量が増加するので、8月と5月の太陽光発電量が同じぐらいになってきます。

太陽光発電の設置で配慮するところ

ちなみに太陽光発電に大きく影響を与えるのは方位です。

  • 真南の向きに設置した場合を100%とすると、東西は85%程度、北は67%程度になります。*屋根の角度30の場合°
  • 傾斜角については水平面から30°程度で最も効率が高くなりますが10°から40°まではほとんど差がありません。

なので、屋根に設置する太陽光発電は方位さえ気にすれば屋根勾配は特別な配慮が必要無いとも言えます。

売電量の多い月は

ですから売電量については5月と8月の売電価格を比較すると、8月は猛暑と湿気によってエアコンがフル稼働するので、ほとんどエアコンを使用しない5月の売電量が一番になるのです。

もう一つ、8月の猛暑は身体にこたえますが太陽光発電も厳しい条件のようです。

梅雨明けの7月から8月の気温の高さと湿度を思い出すだけでもイヤになってきますが、太陽光発電装置の一つ、パワーコンディショナーも高温によって効率が落ちるので8月は厳しい月のようです。

5月は私達にとって快適に過ごせる月ですが、同じように太陽光発電にとっても過ごしやすい(発電しやすい)月と言えそうです。

もうすぐ5月も終わります。沖縄からは梅雨入りの声も聞こえてきました。その前に残り少ない五月晴れを楽しみたいですね!

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さんむの家改修工事 お引き渡しをしました

さんむの家のお引渡しをしてから数ヶ月がたちました。

お施主さまが新しい建物での暮らしにもなじんでこられたようで、一安心をしています。

この記事の画像全て 撮影: 花澤一欽

さんむの家は築40年の住宅をリノベーションした住宅になります。

お施主様はいくつかの選択肢の中から、築40年の住宅をリノベーションすることを選択されました。

私達は、古い物を大切にして継承する価値観に共感し、設計監理をしてきました。

記憶も継承する

設計を始める前に、基本方針として古い部材を積極的に活用することを決めました。

そのためには、建物を新しい部材で覆い被せ新築のようにするのでは無く、古い部材、柱、梁を現しにする、また再利用して活かしたいと考えました。

そうすることにより物質的に家を継承するだけでは無く、新しい暮らしの中でも、古い部材を目にした時に、古い建物で起きたことを思い出し、記憶をも継承して行くことが出来ます。

さらに、デザイン的に古い部材を活用するだけでは無く、新しい技術も取りいれ、地震に強く、居心地の良い住宅を目指しています。

新旧交ざり合うような材料

新しく使用する材料については、月日を重ねることにより風合いが増すような材料を選んでいます。いわゆる天然素材、工業部材と呼ばれる材料です。

建物が5年、10年と月日を重ね、古い部材と今回修繕した部材が一緒に古びていき、区別が付かなくなる事を期待しています。

外観はさりげなく

建物の外観は大きな変化を加える事無く、軒の出、窓の大きさ等を微調整する程度にしています。

外壁はガルバリウム鋼板の小波板を貼ったのですが、ご近所様からは“ブリキ板を貼って大丈夫かい?”と聞かれたことがあるそうです。

一見、簡素な素材ですが耐候性に問題ありませんからご心配なくとお答えしました。

 

実は、建物正面から見ても気がつかないのですが、2階の屋根には太陽光発電パネルが載っています。

こちらの太陽光パネルは発電パネルでありながら屋根部材も兼ねているので見た目をスッキリ納めることができました。

お引き渡しをしてから数ヶ月たちましたがシミュレーション結果と同等の発電をしているようです。

発電量を示すモニターも解り易く、天気の良い日は発電していることを知らせてくれるモニターを見るのが楽しみとのことです。

建物の暑さ寒さについて

最後に、建物の温熱性能についてです。外皮性能はUa値 が0.57 実測C値が2.5です。

外皮性能については2020年の省エネ義務化基準が0.87ですから、それ以上、HEAT20 G1基準の 0.56手前の性能となります。

結果についてですが、今となってはもう少し頑張ることが出来たと考えています。

この建物は、平成27年度の住宅省エネリノベーション補助金を取得する事を前提としてスタートしました。

恥ずかしながら、当時の私は仕様規定を満足するだけで精一杯でした。現在は色々と勉強を重ねた結果、外皮性能については改善したい所があるのが正直なところです。

しかしながら、古い建物では電気ヒーターを使っていた水回りも1月現在では不必要とのこと。朝になっても夜の暖かさが残っているようです。

冷暖房はルームエアコンを使用していますが、古い建物と比較すると全室が暖かいとのことです。

まだまだ寒い日が続きますし、夏はまだ未体験ですが、色々と調整をして住みやすい環境、快適な暮らし方のお手伝いをして行きたいと思います。

施工に関しては(株)進和建築様に大変お世話になりました。新築とは違う、手間のかかる仕事を丁寧に工事していただきありがとうございました。

HPにも事例集としてアップしました。

会社HP  建築事例集 さんむの家

ぼくのツリーハウス・プロジェクトに参加しました

ツリーハウスを作っているの?

私の地元、四街道でツリーハウスを建設中との情報を得て見学をしてきました。

立派な白樫の木にツリーハウスのフレームがほぼ完成していて、仕上げ作業の段階でした。

大人、子どもが一緒になってペンキを塗ったり、チェンソーで作業をしたりと、本当に楽しそうです。

 

ぼくのツリーハウス・プロジェクト https://goo.gl/bK7cse

 

“ いよいよ、ワクワクが始まります!

チャンスを逃したら後悔しかないのです! ” とのこと。

 

これは見逃せない!

次の日も作業の続きがあるとの事で、私も参加してきました。

 

初めてお手伝いは外壁となる板材に白いペンキを塗る作業です。

ペンキを塗ると言ってもベッタリと白くペンキを塗ってはダメなんです。エージング仕上、少し古びた雰囲気出仕上げます。

筆を乾かして擦るように塗りつけていると、樹上で作業をしているビルダーさんから声がかかりました。

 

”筆のかすれた後を残すのでは無くて、面で塗るようにしてみて!”とのこと。

それを聞いて固まる私達。

”ここに貼ってある外壁を参考にしてみて!”

 

なるほど、確かにその通り。その方がかっこいいです。

久しぶりに嬉しいダメ出しです!こちらも本気で作業をしなくてはと気合いが入ります。

作業は楽しく、自分が作った物に愛着がわいてきます。すると、ツリーハウスにも自然と愛着の気持ちがわいてきます。

 

フト、この愛着のような気持ち、はたして今の家づくりにもわいてくるのかな?と思いました。

 

今回の作業は家づくりに例えると、屋根材、外壁材などの建材作りです。

屋根材を作るためにトタン板を切り抜いてペンキを塗ります。

外壁材を作るために木の板材にペンキを塗ります。

 

ですが、現在の家づくりはそうではありません。

現在はメーカーさんが沢山の建材を開発し販売をしています。

現場では、その建材を職人さんが取り付けて家づくりが進んでいきます。

 

部位毎の建材のおかげで、品質向上、工事工程の短縮等が実現できました。

そのお陰で建物の性能は向上し、工事期間も驚くほど短くなりました。

 

ですが建物に対する愛着についてはどうなのでしょう?

カタログから選ぶような家づくりではどうなのでしょうか?

 

ツリーハウスのように一からの手作りは不可能ですが、メーカー建材を使わない家づくりは可能です。

自然素材、工業製品を上手に使っての家づくりです。

 

ドアを建具屋さんに作ってもらったり、壁を自然素材で仕上げてもらうことができます。

メーカー建材のように完成品ではないので、打ちあわせの手間が増えますし、時間もかかります。

ですが、その一手間が建物への愛着へとつながっていくように思えます。

などと色々な事を思いながら作業は完了です。

 

ツリーハウス作りはまだまだ続きます。

11月の中頃から作業が再開するようです。

今からワクワクしてきます。

さんむの家改修工事06

普遍的な素材を使う~工業製品の魅力~

工事中の建物は山武地域ではよく見かける昔ながらの切妻屋根の家形です。

現在の家に多い総二階に近い家では無く、2階建てに下屋がとりついた形です。40年以上前、普請で大工さんが普通に建てた家だと思います。特にデザインを意識すること無く建てられたと思います。

今回の改修工事では窓の大きさ、軒の出等を調整するくらいで、大きな外見変更をしていません。

なぜなら、過去の思い出をつなぐ意味合いで旧い部分を残しながらのリフォームを選択しているからです。40年以上そこに建っていた雰囲気を大きく変えることをしたくなくて大きな外見変更をしていないのです。

ですが建物の細かなヶ所を丁寧に調整するこで建物の雰囲気が変わると考えています。
派手なデザインでは無く、シンプルな形に素材感を生かした仕上材で普通の家を目指しました。

普通の家の見た目とは?

外壁材は耐候性とコストを考慮してガルバリウム鋼板の小波板としました。

ブリキの小波板はこの地域でも倉庫に使われている材料です。

同じ小波板でもガルバリウム鋼板の小波板は耐候性に優れていて、ブリキ板とは比べものになりません。
サイディング等のメーカー建材と比較すると豪華さでは負けますが、素材感を生かした仕上にはもってこいです。
またメーカー建材は廃番になってしまうと修理が不可能となってしまいますが、こういった工業材料でしたらそういった心配は必要ありません。またサイディング材の多くは10年ほどすると劣化が激しく、再塗装やシーリングの打ち直しなどの手間がかかります。

色についてはシルバーにしたのですが、それにも理由があります。
最近よく見かける、黒い外壁も候補にあがりました。黒い外壁と木部のコントラストは美しいいですよね。

ですが今回は一次エネルギーの減少も計画に含まれています。太陽からの日射による温度の上昇を考えた場合、黒色系と白色系の外壁を比較したとき、白色系の方が遮熱効果が大きいです。ですから外壁を白色系のシルバーにすることにより、遮熱効果を狙っています。

建物性能を向上させるためには決まったやり方があるわけではありませんがこう言った小さな積み重ねが大切なんです。基本を押さえて定石を一つ一つ積み重ねていくことが大切だと考えています。
出来ることをやっていけば、少しずつ建物性能は上がっていきます。

工業製品は一見味気ない素材だと思われます。ですが適材適所で使えば、意匠と性能の両方を満足する素材だと考えています。