さんむの家改修工事06

普遍的な素材を使う~工業製品の魅力~

工事中の建物は山武地域ではよく見かける昔ながらの切妻屋根の家形です。

現在の家に多い総二階に近い家では無く、2階建てに下屋がとりついた形です。40年以上前、普請で大工さんが普通に建てた家だと思います。特にデザインを意識すること無く建てられたと思います。

今回の改修工事では窓の大きさ、軒の出等を調整するくらいで、大きな外見変更をしていません。

なぜなら、過去の思い出をつなぐ意味合いで旧い部分を残しながらのリフォームを選択しているからです。40年以上そこに建っていた雰囲気を大きく変えることをしたくなくて大きな外見変更をしていないのです。

ですが建物の細かなヶ所を丁寧に調整するこで建物の雰囲気が変わると考えています。
派手なデザインでは無く、シンプルな形に素材感を生かした仕上材で普通の家を目指しました。

普通の家の見た目とは?

外壁材は耐候性とコストを考慮してガルバリウム鋼板の小波板としました。

ブリキの小波板はこの地域でも倉庫に使われている材料です。

同じ小波板でもガルバリウム鋼板の小波板は耐候性に優れていて、ブリキ板とは比べものになりません。
サイディング等のメーカー建材と比較すると豪華さでは負けますが、素材感を生かした仕上にはもってこいです。
またメーカー建材は廃番になってしまうと修理が不可能となってしまいますが、こういった工業材料でしたらそういった心配は必要ありません。またサイディング材の多くは10年ほどすると劣化が激しく、再塗装やシーリングの打ち直しなどの手間がかかります。

色についてはシルバーにしたのですが、それにも理由があります。
最近よく見かける、黒い外壁も候補にあがりました。黒い外壁と木部のコントラストは美しいいですよね。

ですが今回は一次エネルギーの減少も計画に含まれています。太陽からの日射による温度の上昇を考えた場合、黒色系と白色系の外壁を比較したとき、白色系の方が遮熱効果が大きいです。ですから外壁を白色系のシルバーにすることにより、遮熱効果を狙っています。

建物性能を向上させるためには決まったやり方があるわけではありませんがこう言った小さな積み重ねが大切なんです。基本を押さえて定石を一つ一つ積み重ねていくことが大切だと考えています。
出来ることをやっていけば、少しずつ建物性能は上がっていきます。

工業製品は一見味気ない素材だと思われます。ですが適材適所で使えば、意匠と性能の両方を満足する素材だと考えています。