科学的であること

クラウドファンディングのリターンに参加してきました。

マイクロピペットを使って試薬を試験管に移すと透明の液体が青色に変化します。遠い昔、学校での化学実験を思い出します。もちろん、それよりも遙かに本格的な機材ばかりです。

 

 

 

土壌診断のリターンを選んだ理由

私は父から畑を受け継ぎ自分たちが消費する程度の野菜をつくっています。家庭菜園レベルですから難しいことは出来ないので、消毒や除草剤は使わないのが唯一のポリシーです。トマトは完熟前に爆裂するし、ヘチマのようなキュウリなど笑える野菜ばかりです。でも収穫した野菜は愛おしく家族といただきます。

ですが唯一気になっていたことがあります。大切な畑の土壌の状態です。農業センターのような所に持ち込みをすれば土壌診断をしてくれるのですが、私のような家庭菜園のレベルでは気がひけるし、診断結果をみても解決策がわからないのです。農家をやっている人に質問しても当を得る返答はありません。書籍を読んでも様々な理論があり判断がつきません。

そう、なんとなく思考停止状態でした。作物は植えてしまえば、ひどい環境でも実をつけてくれます。でも、なんとなく気持ちが悪いのですよね。

そんな時に 山田農場さんのクラウドファンディングに出会ったのです。

そのリターンとして畑の土壌診断がありました。

  • 自分で土壌診断・施肥設計体験&科学的有機農業講座

もちろん、迷わずこのリターンを選びました。クラウドファンディングは無事成功。そして冒頭の講座への参加となりました。

山田農場の日々 https://goo.gl/GWSe68

科学が人の愛情を証明できるか

土壌診断の結果、私の畑の土壌は予想以上にミネラル分が多くて驚きました。生前、父が畑に手塩をかけていた事がデータによって証明されたのがとても嬉しかったです。大げさですが、科学が人の愛情を証明してくれたと思います。

 

科学的有機農業講座では科学的有機農法の入口の紹介でしたが、小松菜の葉がつやつやしている理由や、野菜の味が濃くなる理由等、納得できる科学的裏付けがありました。

私が今まで抱いていた有機農法の印象は化学肥料を使う農業の正反対で、科学的な裏付けが無いと考えていました。ですが科学的な裏付けがあって「日持ちがする野菜」「味が良い野菜」「ミネラル豊富な野菜」を生産することができます。

山田さんが「化学肥料を使っていても良い野菜を栽培している農家さんの言うことは理解できる」と話されていたのが印象的でした。正反対のやり方をしていても、お互いに「良い野菜」を届ける仲間なのでしょう。

建築の仕事は科学的か?

私の仕事の住宅設計に置き換えて考えてみました。

住宅の設計においても、お客様に「暖かい家ができますよ」と言うことはできます。でも「暖かい」ってどのくらいでしょうか?「暖かい」は感覚的で科学的ではありません。

私は室内環境について、科学的に説明できるように試行錯誤を重ねています。

設計の段階で科学的に予想し「冬に室温を20℃に保つにはエアコンを使って電気料金がこの程度ですよ」と説明したいのです。電気料金がわかれば、電気使用量を予想して家の燃費を説明することも可能です。

燃費の良い性能住宅を建てることにより、省エネルギーにも貢献し、化石エネルギーの使用を抑えることもできます。電気の使用量が減ってくれば、大半の電力を自然エネルギ-でまかなうことができる可能性もでてきます。

今回の”科学的”は科学的有機農業、住宅設計のどちらについても、全体の一部にしかすぎません。ですが一部でも科学的に解ることができれば、他の残った部分を検証すれば良いのです。

山田農場さんの畑を眺めながら、畑違いだけどやることは同じだな と気づいた一日でした。

山田農場の日々 https://goo.gl/GWSe68

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ROUTEさんとコラボレーション

ビンテージ家具や雑貨を扱うROUTEさんとコラボレーションをしました。

ROUTEさんの代表 川島さんとは前職のイス屋さんからの長いお付き合いです。

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ROUTEさんblog

ROUTE 千葉市中央区のビンテージ雑貨&家具を扱うお店です。

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前々からROUTEさんが取り扱うビンテージ雑貨&家具を使い、インテリアの撮影をしたかっのですがお互いのタイミングが合いませんでした。そして今回、やっとタイミングが合いまして撮影となりました。

ダイニングテーブルやイス等の大きめな家具は私が選び、そこにプラスしてROUTEさん好みの雑貨を組み合わせてのコラボレーションです。カメラマンもROUTEさんにお願いして、私はアシスタントで参加です。

暮らしを想像できるように

ベストはお客さまにお願いして暮らし始めた家を撮影させていただくとリアリティーがあり説得力のある写真になります。ですが色々と難しいことがあるのです。住み始めた家を公開するのは勇気が必要だと思います。

かといってインテリアに家具や雑貨が無いと写真にリアリティーを感じることができませんので、少しでもリアリティーを感じるようにと色々と工夫をしてみました。

撮影中のROUTEさんを撮影

今回は築年数40年になる住宅のリフォームなので、同じように月日を重ねた物、30~40年前のビンテージ家具を選びました。柳宗理 エレファントスツール、バタフライチェア、ここには写っていませんがイームズのアームチェアなどなどです。

ですが家具を全て定番のビンテージで揃えてしまうと、なんとなくつまらなく感じてしまいます。定番を揃えて安心してはいけません。そう、あまのじゃくなんです(笑)

ROUTEさんは少しユニークな雑貨を扱っているので、なんとなく外した雰囲気が出たかな?と思います。

 

 

 

 

 

 

 

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建物探訪 大正時代の住宅リノベーション

思い出を残したい

リフォームの依頼を受け設計する時、古い柱や梁を残し意図的に現しにすることが多いです。
古い物が大好きな性格もありますが、古い建物の思い出を残すことができるのがリフォームを選ぶ理由の一つだと考えるからです。
柱のホゾ穴等を新しい材料で埋め木する仕事は大工さんの腕次第になりますが、新品の美しさとは違ったものを感じます。
こう言った仕事があると知ったのも現場での経験からです。
特に建築の仕事を始めたばかりの時の経験は大きな影響を与えると言いますが私も同じなのかもと気がつきました。

建物探訪して思い出したこと

久しぶりに懐かしい建築を訪問することができました。
オーナーさんと知り合いになったご縁で、建築を始めた頃に勉強で通わせてもらった建物です。

大正時代の建物をリノベーションしている建物で間取りは大きく変更されています。

 

間取り変更に伴い柱を隠すことが出来たと思うのですが、あえて古い柱を丁寧に補修して現しでつかうことの美しさをこの現場で覚えたのだと思います。

竣工から10年以上、年月を重ねて埋め木をした新しい部材も良い風合いになってきています。

 

 

全てを新しくしない

新しい柱に差し変え、綺麗サッパリするのも一つの手段です。
ですが耐震性など、重要な柱でなければこのように思い出を引き継ぐのも良いものだと考えます。
この柱を加工した大工さんは既に引退されてしまったようです。
今後このような仕事ができる職人さんの数も減っていきますが、どうにか残していきたい手仕事の一つです。

パッシブハウス体験しました 第5回国際パッシブハウスデー

パッシブハウス初体験

5回目となる国際パッシブハウスデーのイベントでパッシブハウスが公開されました。
パッシブハウスはドイツのパッシブハウスの厳しい基準をクリアした住宅です。
パッシブハウスジャパンさんの講習を受け、パッシブハウスの設計手法は理解しているつもりですが、恥ずかしながらパッシブハウスの性能は未体験。これじゃマズイでしょ!と思っていたので、またとない機会です。
週末、いばらきパッシブハウス、ちちぶパッシブハウスの見学に行ってきました。
厳しい基準をクリアするために同じような住宅になるのでは?と考えていたのですが、それは違いました。

訪ねてみると、敷地、建て主の趣味嗜好、に合った住宅でした。

いばらきパッシブハウス 株式会社島田材木店

いばらきパッシブハウスは郊外の住宅街に建てられています。西面以外は建物が密接しておらず、解放された恵まれた環境です。

外観内観ともスッキリしたデザイン、吹き抜けを利用したハンモック、広いデッキ等、楽しい暮らしぶりが想像できます。
竣工されてから7年ほどたっているようですが木部が良い雰囲気に育っていました。オリジナルキッチンの杉柾目、チークの床が素敵でした。メーカー建材や、プリントの木目では味わうことが出来ません。やはり天然素材は良いですね。
高性能の建物と自然素材の組み合わせはとても魅力的ですね。
興味のあった換気エアコンのシステムについても詳しく説明していただきました。
原理は一種換気のシステムに温度調整のシステムを付加する単純そうなものですが、ダクティング等、実物は大変そうでした。
現在の性能に満足されているようですが、さらに小さな改良をコツコツと積み重ねていらっしゃるのが印象的でした。

室内の温熱環境での注意点は、普通の家と比較してパッシブハウス級の性能になると加湿が重要になるとのことでした。

ちちぶパッシブハウス 高橋建築株式会社

ちちぶパッシブハウスは市街地から少しはなれた山里の中にありました。
ほぼ南面にむいた建物配置と、南面の大開口木製サッシ、日射取得が良さそうです。
なるほど、日本のパッシブハウスの中で一番暖かいと言われるわけです。当日、室内は暑いくらいで窓を開けていました。
室内は無垢の木がふんだんに使われ、大黒柱、オリジナルの造作建具が見事でした。
窓から見える山里の風景と室内がマッチしており、山里には繊細なデザインよりも、無垢の木が使われたおおらかなデザインが似合っています。
このことは建物見学希望者が絶え無い事が証明しているように思えます。建物性能もちろんですが、地域にあったデザインも人気の一つなのでしょう。

景色が千葉の夷隅の山里と似ているせいか、とても落ち着いた居心地でした。千葉よりも気温差が大きいので紅葉が綺麗そうです。

太陽に素直な設計が大切

パッシブハウスの重要なポイントは、太陽の動きに合わせ、素直に建物をデザインすることがです。
断熱や気密はお客様の暮らし方に合わせて調整することができますが、建物配置は途中から調整する事が困難です。
千葉は茨城、秩父と比較すると温暖な気候なのでパッシブハウスクラスの性能は需要が少くないと思いますが、太陽に素直な設計は必要です。
今後、千葉らしい住宅の性能も検討する必要があります。

設計時はシミュレーションを重ね、太陽に素直な設計を目指したいと思います。

最後になりますが、オープンハウスに協力してくださった皆様、お陰さまで貴重な体験ができました。ありがとうございました。