思い出を残したい
建物探訪して思い出したこと
大正時代の建物をリノベーションしている建物で間取りは大きく変更されています。
竣工から10年以上、年月を重ねて埋め木をした新しい部材も良い風合いになってきています。
大正時代の建物をリノベーションしている建物で間取りは大きく変更されています。
竣工から10年以上、年月を重ねて埋め木をした新しい部材も良い風合いになってきています。
訪ねてみると、敷地、建て主の趣味嗜好、に合った住宅でした。
室内の温熱環境での注意点は、普通の家と比較してパッシブハウス級の性能になると加湿が重要になるとのことでした。
景色が千葉の夷隅の山里と似ているせいか、とても落ち着いた居心地でした。千葉よりも気温差が大きいので紅葉が綺麗そうです。
設計時はシミュレーションを重ね、太陽に素直な設計を目指したいと思います。
最後になりますが、オープンハウスに協力してくださった皆様、お陰さまで貴重な体験ができました。ありがとうございました。
ビジネスの有名なフレームワークの一つにPDCAサイクルがあります。計画→実行→評価→改善→計画→と業務を改善していく手法です。
PDCAサイクルを建物の建設に当てはめてみると、設計・施工はPD、暮らし始めた状況を計測することがC、それに基づいて改善することがAになります。建物性能を改善するためにも、PDCAサイクルを回して改善していくことが大切だと考えています。
建物の使い勝手については人それぞれの感覚に寄るところが多いので計測が難しいですが、建物内の環境、室温・湿度については計測することができます。
このような理由があり、御引渡し前の建物に室温・湿度を測定記録する装置を設置させていただきました。
本来ならば建物の数ヶ所に設置するのが良いのですが、理由もあり(結構なお値段がしますので)1ヶ所だけ設置させていただきました。
測定データは次の設計に生かす事ができる貴重なものなので、御協力は大変有難いです。
今回は無断熱住宅をリフォームしたので室内の室温・湿度環境は劇的に改善しています。そのことをお伝えする時、暖かい家になりましたよ!では無く、一歩すすんで実際の状況をしっかりと把握し数値化してお伝えしたいと考えています。
室温・湿度を計測するもう一つの理由は、設計者として設計時に目指した数値目標を体感として覚えておきたいからです。
建物設計時はソフトを使用しながら数値の改善を目指すのですが、完成後、暮らし始めた家の中で、その数値がどの程度の温熱環境なのか体感することが大切だと思います。そのためにも完成後に室温・湿度を計測しています。
温熱ソフトを使った設計では数値を追い求めてしまいがちなのですが、この辺でいいでしょう みたいな丁度良い体感温度を見付けたいと思っています。
現在は本格的な冬の前なので外気温の変化はほとんどありませんが、一冬のデータを記録させていただきたいと思います。
どんな職業でもトップスターと呼ばれる人がいます。同じ仕事をしていて憧れるような人達です。住宅設計の中にもトップスターの建築家がいますが、堀部安嗣さんもその一人だと思います。
そんな建築家の堀部安嗣さんが設計した住宅が見学できると案内が届きました。滅多に無いチャンスです。スケジュールを調整して手の物語さん主催「びおソーラー設計者のつどいin鎌倉」に参加してきました。
外観はシンプルな切妻屋根の家形で周辺の戸建て住宅と比べると小ぶりに感じます。外壁はシンプルな板張りで派手さは全くありません。ですが軒先の見付を小さく収めていたり、開口部周りが一工夫されていて美しく見えます。
プランは4間角の真四角な外郭で、階高も低いので外観が小ぶりな印象が納得できます。小住宅に分類されると思います。
また、詳細は控えますがこの螺旋階段に仕掛けがありまして、堀部建築の荘厳な高い精神性を表現しているように感じました。
この住宅は天井の高さを低く押さえて設計されていました。天井が低いと狭苦しさを感じそうですが、それとは逆に心地良さを感じます。よく目にする住宅の広告では天井は高いほうが良い!みたいな潮流があります。高い天井高は解放感があり、その気持ち良さも解ります。ですが低い天井高の包まれるような居心地の良さはまた格別なんです。これは体験してみないと解りません。
リビングはもちろんですが、キッチンが南に面していて窓から美しい景色が望めます。天板に小さな段差がついていたりと細かな工夫が沢山あり、暮らしが楽しめそうです。
堀部建築の特徴、建具等の細かい納まり、素材の選定は見事で、完成度の高さに言葉がでません。一つ一つの部材が美しいだけで無く、毎日の生活でその部材に触れる度に喜びを感じそうでした。
引き渡しを終えた後も、幸せそうなオーナーさんと堀部氏の笑顔の会話が信頼関係が良好な事を物語っていました。
残念ながら住宅の見学会なので残念ながら写真は一切無しですが、堀部建築の余韻を味わいながら訪れた妙法寺の苔階段をポストします。この苔階段も踏むことを許されない荘厳さを感じました。