建物探訪 PHJ関東支部見学会レポート──現場で見た“あれこれ”について

東京23区にパッシブハウスを建てるには?

2025年3月26日、パッシブハウス・ジャパン関東支部の見学会(2025 Vol.1)に参加しました。設計はArchiAtelierMAの丸山晃寿さん、場所は東京都練馬区。
今回は、都市部──それも23区内で建てられたパッシブハウス(申請予定)ということで、設計・施工面での工夫や制約への対応に注目して見学してきました。

都市部でパッシブハウスを建てるということ

準防火地域での建築という条件の中、外壁に木材を使い、かつ高断熱・高気密を実現し、さらに構造といった複数の性能を両立させながら、快適性と意匠性のバランスも追求された設計で、都市部でのパッシブハウスの可能性を感じる住宅でした。

東京23区内 練馬区に建つパッシブハウスの外観。飫肥杉の縦張とそとん壁を組み合わせた落ち着いた外観意匠。
木製サイディングとそとん壁を組み合わせた、都市型パッシブハウスの落ち着いた外観。(東京都練馬区)

見学会では、第2部に参加。以下、私が印象に残った点をまとめておきます。


室内の体感と設計の工夫

  • 家族すべてに個室が確保されたプランで、全館空調の設計が建築設計ときれいに統合されていた
  • 見学当日は外気温が24℃まで上昇。しかし、エアコンは稼働せず、換気のみの運転。それでも室内は快適で、断熱性能によって前日までの蓄熱だけで不快感がまったくなかったのが印象的だった。

細部の工夫と素材の魅力

  • 防火の制限に対応するため、木製サッシと防火仕様の樹脂サッシを使い分けていたが、南面ファサードは自然に仕上がっていて違和感がなかった
  • 外壁は飫肥杉ファーサードラタン縦張とそとん壁かき落としという組み合わせで、とても落ち着いた表情をつくっていた
  • 室内仕上げは左官材。特に興味深かったのが、パーシモンEウォール柿渋仕上げ。消臭・抗菌など多機能性を持ち、素材としての面白さを感じた。
  • その他にも再生和紙など国産材を積極的に採用しており、こうした素材選びの工夫には強く惹かれるものがあった。わたしも天然素材素材を積極的に取り入れるようにしているが、それよりも深く研究されていてこれからの参考になった。
木製階段とモザイク調タイル壁が並ぶ空間。廊下から階段室へのつながりがスムーズにデザインされている。
廊下~階段室へのつながり。素材や仕上げの組み合わせが空間に変化を生んでいた

空間の質を高める工夫

  • 様々な種類のタイルがアクセント的に使われており、空間の質を上げていた
  • 階段上部の吹き抜け+ハイサイドライトからの光がとても印象的で、美しかった。
  • 再生和紙を使った建具、上部アーチの出入口など、和室がとても丁寧につくられていて、特に心に残った。
吹き抜け上部に設けられたハイサイドライトから自然光が差し込む室内。左官仕上げの壁面がやわらかく光を受け止めている。
ハイサイドライトからの光が、室内に静かな陰影を生んでいた

丸山さんの設計哲学と施主との関係性

この建物には、設計者・丸山さんの考えが丁寧に反映されていると感じました。性能や仕様だけでは語りきれない部分に、施主様との信頼関係や対話の積み重ねがにじみ出ていたように思います。強く主張するわけではないけれど、住まい全体に穏やかな一体感があり、印象に残る一棟でした


都市部でパッシブハウスを建てるには、さまざまな制約があります。それでもなお、こうした具体的な事例に触れることで、今後の可能性が広がっていく──そう感じさせられる見学会でした。

📎 関連記事建物探訪 パッシブハウスオープンウィークスでスズモクさんの4棟目を見学

建物探訪 新住協 関東・東京合同住宅見学会に参加しました

先日、新住協 関東・東京合同住宅見学会に参加しました。今回は、北村建築工房さん、鈴木アトリエさん・山田建設さん、あすなろ建築工房さんが手がけた住宅を訪問。大型バスで移動しながら、4件の住宅をじっくり見学させていただきました。

北村建築工房さんの住宅 急傾斜地をうまく使っています

新住協の住宅見学会とは?

新住協(新木造住宅技術研究協議会)は、快適な省エネ性能の高い木造住宅をローコストで普及を目指している団体です。見学会では、実際の住宅を訪問しながら、設計や施工の工夫、省エネ性能の検証方法について学ぶことができます。

横浜の住宅設計と敷地の活かし方

横浜は高低差のある敷地が多く、傾斜地に建つ住宅も珍しくありません。このような敷地では、設計だけでなく施工のノウハウも必要となります。今回の見学会では、横浜で活躍する設計者や工務店ならではの敷地の活かし方を見ることができ、とても勉強になりました。

高低差を活かした設計は流石でした。ガルバの小波板の外壁も雰囲気良いです

エコハウスの本質は性能計算にある

今回の見学会では、各社が物件概要を作成し、新住協のQpexによる冷暖房エネルギーの性能計算結果も添付されていました。これは、単なる数値比較ではなく、実際の住まいのエネルギー消費を予測するためのものです。

QPEXでは、断熱材の種類や厚さを入力すると、即座にその部位の熱貫流率や暖冷房エネルギーが計算され、設計中のシートに反映 されます。
そのため、設計のある段階で、住宅の暖冷房エネルギーを想定しながら、省エネ性能を調整することが可能 です。
こうした試算を行うことで、予算の許す範囲で、最適な省エネ性能を設定 できます。

QPEXを使うことで分かること
✅ 熱交換換気設備を採用してもUA値は変わらないが、暖房エネルギーは大きく削減される
✅ 南の窓を大きくするとUA値は上がるが、日射取得が増えるため、陽当たりの良い窓なら暖房エネルギーは減る

このような設計上の影響は、QPEXを使って試算しないと見えてこないもの です。
勘や経験だけではなく、数値で根拠を持って設計することで、より最適な住宅性能を実現 できます。

施工中の現場も見学できます。あすなろさんの現場は施工もそうですが、現場も環境も工夫されていて流石。キムラの調湿気密シートを採用されてました。

換気設備の工夫

換気方式についても、それぞれの住宅で異なるアプローチが取られていました。

特に3階建ての住宅では、デマンド換気を採用することで、各フロアの空気の流れを最適化している点が興味深かったです。

唯一傾斜地では無かったけど、横浜の地価を感じる建築でした。木造3階、やはり空調計画が難しいです

暮らしながら住宅を育てる

鈴木アトリエさん・山田建設さんの住宅では、実際に住まわれているお宅を見学できました。

特に印象的だったのは、月見台の増設や建具の改良など、住みながら少しずつ住まいを改善していること。 住まい手が手を加えながら暮らしを楽しんでいる姿から、設計者・工務店との良好な関係が見えるようでした。

「住宅空調設計講座」では、暮らしを予測する設計を目指しましたが、やはり実際の暮らし方によってその「予測」は変わります。住宅は完成した時点で100%になるものではなく、暮らしの中で育てていくもの。そのため、住み手のライフスタイルに合わせて柔軟にアップデートできる設計がとても大切だと感じました。

スキップフロア+カラーコーディネートで豊かな空間。施工も丁寧でウットリ

最後に

移動中も設計の話で盛り上がり、濃密な一日でした。今回の見学会を企画・運営してくださった幹事・関係者の皆様、ありがとうございました!

関連記事
✅ [暮らしをアップデートする設計]
住まいは完成時が100%ではなく、暮らしながら少しずつ改善していくことが大切。リノベーションや修繕の考え方を詳しく解説しています。

建物探訪 パッシブハウスオープンウィークスでスズモクさんの4棟目を見学

茨城・坂東でパッシブハウス(PH)を手がけるスズモクさんの4棟目のPHを見学してきました。
今回はPHオープンウィークスの一環としての訪問。実際に体感してみて、設計の工夫や空調の調整など、改めて学びがありました。

スズモクPH外観

建物概要

・延床面積 29.80坪
・UA値 0.16(W/㎡K)
・C値 0.1(cm²/m²)
・換気システム:1種換気(ローヤル電機)
・空調:ルームエアコン2台(壁掛け+床下エアコン)
・キッチン:循環式

開口部の設計と日射コントロール

・LDKの開口部は、南側にスマートウィン(佐藤の窓)+外付けブラインド(ヴァレーマ)を採用。
 → 敷地が西側に振れているため、日射取得のために南面の窓を活かす工夫。
西側には開口部なし。
 → 直射日光による室温上昇を抑える、パッシブデザインの考え方。

LDK全景:外付けブラインドでコントロールされた室内環境

設計時のシミュレーションが重要

こうした日射コントロールを適切に行うには、DesignPHを使ったシミュレーションが必須になります。
特に南西や北東からの日当たりは、シミュレーションを行って初めて具体的な影響を確認できます。
設計段階で正確な日射取得量や影の動きを把握することで、冬の日射取得を最大化し、夏の日射を適切に遮る設計が可能になります。

4棟目の経験がもたらす判断力

敷地を見ただけでPH認定が可能か、だいたい分かるようになってきた」とのこと。
4棟目ともなると、土地の形状や周辺環境を考慮しながら、PHの条件を満たせるかどうかが直感的に判断できるようになるらしい。経験の積み重ねが活きる部分ですね。

訪問時の体感 – 輻射熱の心地よさ

・PH申請予定の建物だったので、断熱仕様の詳細は聞いていませんが、室内に入った瞬間の快適さが別格でした。
・午後の訪問でしたが、外付けブラインドで日差しを調整し、室温が上がりすぎない工夫。
・床下エアコンの稼働音はほぼ感じず、運転しているかどうかも分からないくらい静か。
・シャツ1枚で十分暖かく、椅子に座っていても足元からじんわり伝わる輻射熱。
「十分断熱された部位が輻射暖房になる」という宿谷先生の話を実感する空間でした。

この「足元からじんわり伝わる暖かさ」が、まさにパッシブハウスの特徴。
エアコンの風を感じることなく、壁や床から伝わる輻射熱のおかげで、自然な暖かさに包まれる感覚 でした。
特に印象的だったのは、部屋全体の温度が均一だったこと。立っていても、座っていても、寒さを感じる場所がほとんどない。
これが適切な断熱・気密・日射取得のバランスが取れた空間 なんだと実感しました。

LDK全景

PHレベルの建物だからこその注意点

北側・西側の壁面でも、日射による室温上昇が起こる点に注意が必要。
・PHレベルの高断熱性能だと、直射日光が当たるだけで壁が蓄熱し、輻射熱の影響が大きくなる。
・窓だけでなく、壁の蓄熱や日射調整も含めた設計が重要になる。

👉 こうした問題を未然に防ぐために、DesignPHを活用したシミュレーションが不可欠。
シミュレーションを通じて、南西・北東からの日射がどれだけ影響を与えるかを確認し、適切な日射遮蔽計画を立てることができる。

北側窓:APW430+ブラインド

設計だけでなく、運営や経営の話も

スズモクさんとは、建物の話だけでなく、HPやYouTube運営、会社経営の話も。
私の悩みも聞いていただき、たくさんの気づきをもらいました。こういう対話が、次の設計や活動につながるのを実感。


私自身、パッシブハウスの可能性を探求しながら設計に取り組んでいます。住まいの快適さや省エネ設計に興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。

パッシブハウスの設計には、土地の特性や日射のシミュレーションが欠かせません。
私自身、こうした体験を通じて「本当に快適な家づくりとは何か」を探求しながら、設計に取り組んでいます。

「自分の家にパッシブハウスの考えを取り入れたい」「高断熱住宅についてもっと知りたい」
そんな方は、ぜひ オンライン無料相談 をご活用ください。

📌 オンライン無料相談はこちら

また、パッシブハウス設計のシミュレーションについて詳しく知りたい方は、以下の記事もおすすめです。

📖 関連記事
🔹 日当たりをシミュレーションする
🔹 パッシブハウス設計のためのDesignPHとSketchUp活用ガイド

🔹 2017年にPHを初体験した時の記事:パッシブハウス体験しました 第5回国際パッシブハウスデー

🔹 PHJ高橋建築さんのPHを見学した時の記事:建物探訪 秩父の高橋建築さんの高性能住宅を体感してきました

ご興味のある方は、お気軽にご相談ください!

丹波山村村営住宅見学会レポート:大型パネル工法と地域材の未来

大工仲間に誘われて、丹波山村村営住宅の見学会に行ってきました。今回見学したのは、大型パネル「ハーフ住宅」を活用し、スピード建設が行われたプロジェクトです。今年度4月に事業採択され、8月に上棟、そして年明け1月10日には完成見学会という驚くべきスピード感!公共事業では珍しいプロポーザル方式が採用され、この結果、効率的な予算化と短期間での建設が可能になったそうです。

上野原I.Cから国道139号を経由して向かいました。山深い道中はヘアピンカーブの連続。途中には、金属製の屋根をかぶせた茅葺きの古民家や、松本~高山周辺で見られる切妻の軒が深い古民家など、地域の個性豊かな景観が広がっていました。一方で、ハウスメーカーのような住宅はほとんど見かけません。
山が深くなるにつれ、集落の間隔は広がり、山々の存在感が増していきます。道中では落石対策工事を多く見かけましたが、こうした地域では土木の仕事はあっても建築工務店の仕事は少ないのかもしれません。

小菅村庁舎近くの木造大断面集成材を使った建物

現場では、大型パネル工法による効率的な施工方法について学びました。一緒に参加した大工仲間たちと工事手順や納まりについて議論を重ねた結果、「熟練した工務店と大工だからこそ実現できる工期だ」という結論に至りました。それでも私たちも努力次第で挑戦できるはず。新年会を兼ねて勉強会を開こうという話になり、私は丹波山村モデルをモデリングしてさらに検討してみたいと思っています。


また、事業関係者の話を聞くと、工務店や大工が得意とする住宅分野でプロポーザル方式を採用したことが、今回の成功の鍵だったそうです。海外では、公営住宅こそ高性能住宅(パッシブハウス)が採用される例が多く、こうしたプロジェクトが地域にとっても建築業界にとっても大きな一歩になると感じました。

ここまで見学会で感じたことをお伝えしてきましたが、さらに考えを深める中で、地域と建築の関係について新たな視点が見えてきました。

丹波山村村営住宅を訪れる道中では、集落に点在する古民家や小さな住宅が印象的でした。それらは地域の風土や暮らしに根付いた、控えめで素朴な存在感を持っています。一方で、村営住宅や村庁舎のような施設は、大規模で立派な建物です。特に庁舎はその存在感が際立っていて、道中で見た集落とのスケール感の違いに少し驚かされました。


この違和感は、地域の建物の「役割」によるものかもしれません。庁舎や施設は、地域の中心機能を担う場であり、建物の規模やデザインにもその意図が反映されています。しかし、その大規模さが、時に周辺との調和を考えるきっかけにもなります。


また、今回の村営住宅では、当初は山梨県産材の利用が検討されていましたが、最終的には集成材工場の関係で長野県の齋藤木材工業が供給するカラマツが採用されました。地域材を使う意図があったものの、実際の供給体制の問題などもあり、すべてが地元産材ではないという現実があります。こうした背景も含め、建築が地域の風景や文化にどう関わるかを考えることが必要だと感じます。

丹波山村HPはこちら


丹波山村庁舎の詳細はこちら

丹波山村庁舎 内観

地域材を活用する上で直面する課題の一つが、効率的な供給網の構築やコストの管理です。こうした課題を解決する手段として、デジタル技術の活用が注目されています。


たとえば、私が以前参加したVUILDの「まれびとの家」プロジェクトでは、デジタルファブリケーション(デジタル設計と加工技術)を活用し、地域材を効率よく加工し建築に取り入れる取り組みが行われました。このプロジェクトでは、地域材を短期間で製品化する手法が確立され、建築の迅速な施工と材料の有効活用が実現しました。


一方、今回の丹波山村村営住宅では大型パネルが活用されています。大型パネルの主な特徴は、「山から建築までのデータ共有」を実現する点です。

現在、「新しい林業」事業として木材の伐採場所や加工情報をデジタルデータで一元管理することで、材料のトレーサビリティを確保し、地域材の利用率向上や持続可能な森林活用を可能にする試みが林野庁の実証事業が行われています。このデータ共有の仕組みが実現されると、材料の流通と施工プロセス全体が効率化され、大型パネルの活用が建築全体の合理化に貢献しすることになります。さらに、大型パネルは供給網全体の透明性を向上させ、建築プロセスをよりスムーズに進めるための重要な基盤を提供することになります。
また、大型パネルの利用は建築プロセスの効率化にも貢献しています。工場でプレファブリーケーションされたパネルを、大工が迅速に組み立てることで、上棟までの工期を大幅に短縮しました。この方法により、大工が不足している地域でも、短期間で効率的に建築を完成させることが可能になっています。この効率化は、地域の建築需要に応える上で、非常に重要な一歩となっています。


こうした取り組みを通じて、建築業界全体が持つ課題(コスト、材料供給、効率性)を解決する糸口が見えてきます。地域材を最大限活用し、デジタル技術を効果的に取り入れることで、地域と建築が新たな形で結びつく未来を作り出すことができるでしょう。

VUILD:「まれびとの家」の詳細はこちら

大型パネルの詳細はこちら

参考図書:森林列島再生論


丹波山村村営住宅の見学会を通じて、大型パネル工法やプロポーザル方式の可能性を学ぶとともに、地域材活用の課題や地域と施設のギャップについて考えさせられました。デジタル技術の活用や効率的な仕組みづくりを通じて、地域と建築の新たなつながりを生み出していくことが求められます。
今後もこうしたプロジェクトに注目しながら、地域材を活用した建築の未来を探っていきたいと思います。

歴史ある酒蔵がアートスペースに – 猪苗代町「はじまりの美術館」探訪

はじまりの美術館 アプローチ

美術館の概要と現在の企画展

福島県猪苗代町のはじまりの美術館に行ってきました!
どこか懐かしく、でも新鮮な体験ができるこの美術館は、建築好きやアート好きにとって一度は訪れたい場所です。

企画展「ここから、まざりあう」

「はじまりの美術館」はアール・ブリュットの美術館ですが、今回は企画展を開催中でした。

ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代 2024

展来会概要はこちらから 「ここから、まざりあう」

出展作家:

  • 淺井裕介+はじまりの美術館
  • ウォールアートプロジェクト
  • 水川千春
  • ワィエダ兄弟

展示作品との出会い

参加されていた作家さんの世界観が大きく、目の前に広がる作品の深度にクラクラしながらも時間をかけてゆっくりとレベル調整。どの作品も素晴らしかったのですが、特に印象に残った水川千春さんの作品についてご紹介します。

水川千春さんの作品について


水川千春さんの作品は和紙に水で絵を書き、あぶり出しによって色が浮かびあがってくる手法。小学校の頃のミカン果汁であぶり出しをした記憶が何故か浮かびあがり興味が湧きましたが、そんなボンヤリとした作品ではありません。正面に描かれた磐梯山は精緻な線で描かれていて、あぶり出しのグラデーションの濃淡との対比が見ていて飽きません。焦げた臭いが微かにするのでそれも薪ストーブを焚いているような感覚もあり、猪苗代の冬に訪れる磐梯山の雪景色を思い出しました。

水川千春さんの作品
水川千春さんの作品詳細。精緻なラインと炙り絵もコンストラクトが幻想的

地域と繋がるアートプロジェクト

去年までは猪苗代の小中学校にアーティストを招待して壁画を作成するプロジェクト(ウォールアートプロジェクト)もあったようで、見逃していたことが残念です。

プロジェクトのアーカイブ記事はこちらから 猪苗代アートプロジェクト

竹原義二による建築の魅力

小さな美術館ですが、竹原義二さんの建築は見どころが多く、東北で竹原建築を観ることができる数少ない場所だと思います。建築探訪好きはもちろん、古民家好きにもお勧めです。

古民家の現代的解釈

築約140年の酒蔵「十八間蔵」を改修して誕生した小さな美術館の通り、立派な通し梁や架構の大工仕事はもちろん、空間構成の素材としてコンクリートブロック、鉄骨も取り入れられています。入れ子になったこのボックス構造も構造体として荷重を受けているのかな?これは調べてみたいですね。入れ子になった空間によって、古民家のダイナミックな架構だけでなく、歩きまわることによって素材ごとに空間が変化していく面白さを楽しめます。古民家のイメージは立派な梁やダイナミックな架構の大きな空間を想像するかと思うのですが、実際は建具の高さも低く小さな部屋で構成されているので、その空間を異素材で表現しているのかと想像します。

気になる外部建具・断熱方法

サイズの大きな外部建具は新しい物ですが、サイズの小さな明り取りの小窓は古い物をアウトセットさせて取り付けてあり新旧の対比と工夫が綺麗でした。ガラスももちろんペアガラスにアッデートされていました。

はじまりの美術館 小窓

断熱については室内側から軸組が全て見えているのでおそらく付加断熱でしょう。軒の出も頬杖で補強されていたので屋根から壁までグルっと付加断熱でくるまれてるのかな。床にも吹き出しグリルが設置されていたので、冬は床下を温かい空気を循環させて床も暖かくなるはず。※脚注 付加断熱:断熱効果を高めるために外部に追加した断熱材

古材の見せ方

そのほかにも見どころが沢山あります。新旧部材、礎石、柱の取り合い、古い伝統の飾りなどまだまだ見逃しているような部分もありそうです。トイレの空間も古民家の軸組の良さを生かした、設備の取り付け方と可愛い小物のディスプレーも一見の価値ありです。

ユニークな展示体験

展示室には靴を脱いで上がるアットホームなスタイルです。床仕上げも空間によって異なってています。もちろん普通の木床仕上げではありません。

踏触で楽しむ仕組み

手斧で仕上げた滑らかなナグリ床は大きな丸の彫刻刀でザクザクと削ったような仕上げ。角材の小口面表してタイルのように敷詰めたゴツゴツとした床については、遠目から見ると100角くたいののタイル仕上げのようですが近づいて良く見ると模様に見えていた物は年輪と分かり驚きました!通常はこの向きで床仕上をしませんから、きっと施工は大変だったろうなと余計な心配をしてみたりで、一見の価値ありです。

その仕上げは少し足裏を刺激してくれるようで、マッサージを受けているような痛気持ち良さがあり、慣れるまでくすぐったい不思議な感覚。視覚だけでなく、足裏の触覚も変化して楽しめます。手斧仕上げのスペースはピクチャーウインドの前に座りこんで鑑賞でき、縁側に座っているような懐かしい気持ちになりました。目線が地上のレベルに近いので、雪の降る日ここから積もっていく雪景色をゆっくりと眺めるのも良さそうです。

はじまりの美術館 ピクチャーウインド
ランドスケープを眺めながらゆっくりできるピクチャーウインド

お土産と周辺散策

カフェ・ショップコーナーも併設しており、コーヒーも飲みながらのんびりできます。ショップコーナ―ではアール・ブリュット好きの私は可愛らしい手作りコースターを購入しました!可愛くてコーヒーカップを置くことができそうもありません…


美術館周辺には美味しい食堂もあり、猪苗代町内を前述のウォールアートプロジェクトの作品を探しながらの散策も楽しいです。猪苗代町はユニークなカフェが点在しているのでレンタカーで探索もお勧めです。

この場所で得た感動をぜひ味わってみてください。猪苗代の自然と歴史ある建築の中で、アートと建築の融合を体感できる特別な場所です。

#WAF猪苗代  #はじまりの美術館

#WAF猪苗代 駅前の壁画
猪苗代駅前のウォールアートプロジェクト作品。すぐに見つけられます!#WAF猪苗代
この日は快晴、きれいな夕日と磐梯山を東側から見る。

パッシブハウス認定と断熱性能の試行錯誤、北海道建築探訪 | 幸総合設計

パッシブハウス認定に向けた挑戦

パッシブハウス認定を目指して、ヒートブリッジやインストールψの解析に取り組んでいます。これはパッシブ設計における重要な要素であり、特に日本の寒冷地での性能を左右するものです。

案件が保留となり多少の時間ができたため、この機会に解析をマスターしようと考えていましたが、先輩コンサルの経験を追体験しているようで、その道の険しさを実感しています。

解析の試行錯誤

ソフトの習熟には時間がかかるタイプなので、解析作業にも多くの試行錯誤がありました。肝心なポイントを見逃して最初からやり直すこともあり、時間だけが過ぎていく日も多々ありました。それでも、パッシブハウス認定に求められるヒートブリッジやインストールψの解析は非常に重要な要素なので、粘り強く取り組んでいきたいと思っています。ソフトの習熟に時間がかかるタイプなので、ソフトの習熟だけでも精一杯。肝となるポイントを見逃して最初からなんて事も数回。時間ばかりが過ぎていくなんて日が多かったです。


北海道での建築探訪と温熱環境の発見

2月の後半は家族と一緒に冬の北海道へ。旅の中盤には寒波に見舞われ、冬の北海道の厳しさを味わいましたが、それでも楽しい旅となりました。

家族との旅行でしたので、建築オタク旅とはなりませんでしたが、外気温がマイナスでも建物内は半袖でも過ごせるような暖かい北海道仕様ならでは 名物 ”おうちアイス” も経験!
愛車の95プラドで峠を越えながら、旧いクルマを大切に使い続けることの楽しさも感じつつ、ゴールデンレトリーバーのテンテンとも一緒に網走で氷点下の散歩を楽しみました。寒さの中でも堂々と歩くテンテンの姿は頼もしい限りです。

雪煙でバックドアが真っ白。さらに過酷な雪道に…
愛車の95プラドで峠を越えます。旧いクルマを大切に乗ってます。4輪駆動車でも緊張の峠越えでした。
-6でも平気なワンコと凍える私
網走の能取湖湖畔をゴールデンレトリーバーのテンテンとお散歩。氷点下5度でも平気そうでした。

北海道の建築と温熱環境に関する発見

以下は北海道での建築や温熱環境に関する印象的なポイントです:

・樹脂サッシとペアガラス:樹脂サッシのペアガラスが一般的で、トリプルガラスはあまり見かけませんでした。特にYKKの製品が多かったように感じます。

・リノベーション物件:樹脂サッシ+ペアガラスの二重サッシが多く、旧い木製引戸や単板ガラスと組み合わせ、レトロな雰囲気を残しながら断熱性能も上げているのが見事な演出。少し室温が下がるものの、適材適所と感じられる工夫がなされていました。

・賃貸アパート:賃貸でも樹脂サッシ+ペアガラスが標準で、FIX窓とすべり出し窓の組み合わせが多く見られました。バルコニーや引違いの掃き出し窓は無く、暖房はFF式ストーブ(灯油)が主流です。

・非住宅の施設:パネルコンベクター(コロナ製)が多く使用され、網走の旅館でもFF式ストーブが採用されていました。また、宿泊施設では夏用のエアコンが設置されているものの、冬は使用されていません。

・パネルヒーターの快適さ:湿度コントロールがどのように行われているかは不明ですが、パネルヒーターによる室内環境は非常に快適でした。

北海道の建築探訪は、関東とは異なる熱源やサッシの設計を見るだけで十分に興味深く、温熱環境の違いを実感しました。

北海道の建築と温熱環境に関する発見

実際に北海道を旅してみて、書籍や講座で聞いた設計手段や設備について、体感することで少しずつ腑に落ちてきた気がします。「百聞は一見に如かず」とはこのことでしょうか。

この経験をさらに深めるため、次回は「ミライの住宅さん」主催の北海道断熱修行の旅にも参加を検討しています。より深く北海道の断熱技術を学び、自身の設計に活かしていきたいと思います。

建物探訪 森のカフェ 軽井沢南ヶ丘 

先日、森のカフェ 軽井沢南ヶ丘に建物探訪してきました。今年は暖冬ですが丁度寒冷前線の影響で軽井沢は―5℃との事前情報。パッシブハウスを体験するにはちょうど良いタイミング。

ただの見学ではなく、寒冷地でのパッシブハウスの室内環境を実際に体験しながら、宿谷先生の講義を受けるという贅沢なツアー。厳冬期の住まいの暖かさを、理論だけでなく肌で感じながら学び直す機会となりました。

森のカフェ 軽井沢南ヶ丘はパッシブ認定を受けた本物のパッシブハウス。設計者はオーナーで、建築士の菊池さん。建物の性能はパッシブ認定で証明済み。それに加え、ディテールはもちらん、インテリアの分野でも活躍されているだけあり色彩のコーディネートが素晴らしい。

リビングの一面がドーンと本棚になっているのですが、一部が窓になっており目線が抜けて外の景色が見えるせいか、圧迫間が無い印象。事前に写真で拝見してたよりも軽やかに感じます。

外観はいたってシンプルですが、隣地との関係や、軽井沢独特の斜線規制等、クリアするべきことが沢山あり苦労されたそうです。

パッシブ認定を受けるにあたり、そのためのディテールも。

引き算されたシンプルな形ほどデザインに時間が必要な事はすべて一緒だなー とフムフムひとりで納得。

エクセルギーの視点で考える住まいの快適さ

宿谷先生の講義では、寒冷地での住まいの暖かさをエクセルギーの視点で解説。数値的な性能だけでなく、私たちがどのように温かさを感じるのかという「体感」も重要であることを改めて学びました。

「包まれるような温かさ」──これは、菊池さんご夫妻が外出から帰宅したときに感じるものだそうです。それこそが、まさにエクセルギー的な暖かさ。宿谷先生は、この体験こそが重要だと話していました。

この勉強会は室内環境をシミュレーションソフトで結果を求めるだけで終りにせず、壁の中でどのような現象が起きていて、私たちがどのように受け取っているかを勉強しています。数値だけでなく人が感じる感覚を大切にする学びは新鮮。今までの知識をアンラーンしているような学びがありますがとても楽しい講義です。

美味しい食事と心地よい時間

そして菊池さんのご主人が腕を振るうランチで心とお腹に栄養補給。いまはカフェの営業はお休みしているそうですが、特別に。

サンドイッチのパンをトーストの違いで楽しませてもらったりと心配りを感じます。コーヒーも丁寧な淹れたてで美味しかったです。豆はなんだったのかな?勉強で余裕が無くて聴き忘れてしまいました。

お勧めはホットワイン。ぶどうジュースがベースで、ノンアルコールでも甘すぎず満足。軽井沢までクルマで来ても、ドライバーも楽しめると思いますので是非!

また学びの旅へ

皆で記念撮影。画像は菊池さんからお借りしました。

会に誘ってくれたのはPHJの仲間「これすま=これからの住まい」の丸山さん。設計者だけの勉強会も楽しいですね。

毎日PCの前なので、気分転換と勉強ができて楽しかった。またどこかに行きましょう!

最後に、菊池さんご夫妻には、貴重な場を提供していただき、心から感謝しています。ありがとうございました。



2025年更新:宿谷先生のエクセルギー講座に再び参加しました。
そこで学んだ新しい知見や考え方をまとめています。
最新のエクセルギー講座についてはこちら

シックハウスは終わっていなかった

パッシブ技術研究会が主催する一般向け勉強会、林基哉 先生の講演を聴き、改めてシックハウス対策について考えました。

シックハウス対策としてF☆☆☆☆建材を使って、必要な換気扇をつければ建築基準法上は問題ありません。

事実、シックハウス対策が義務化された頃から内装仕上、小屋裏材等は急速にF☆☆☆☆化が進みました。そして24時間換気設備を設ければシックハウス対策は終わったと考えている人も少なくないと思います。

持ち込みの家具等には規制が無いので注意が必要くらいの意識はありましたが、そう、私もその一人でした。

ですが基準法をクリアした建物でもシックハウスは起きるとのこと。

思いがけない場所から化学物質を引っ張ってきてしまったり

”臭い”もシックハウスを誘引する一つの因子になるそう。

特に気密化された建物では室内環境に注意が必要と改めて再認識。

 

建物性能をあげていくと使用部材が多くなっていきますし、構造も複雑に。

その結果、意図しないシックハウスが生まれてしまうことも。

 

高断熱、高気密、換気はトータルで計画しないとバランスがとれないとダメなんです。

”この装置をつければ全て解決”って仕組みはないんです。

 

そして今回の勉強会の楽しみの一つとして、会場が自由学園明日館でした!

フランク・ロイド・ライトが設計した建築です。

小さな教室でしたが窓枠などライトのデザインに感動…

天井も低めですが、勾配天井になっていて圧迫感はありません。

その勾配に誘導されて、自然と目線が正面に向かい、黒板に目線が誘導されるように感じましたが、実際はどうなんでしょうかね?

高気密高断熱ではない名建築で、高気密高断熱の事を考える豊かな時間でした。

工bar〜工場が一夜限りのbarになります〜

大人の秘密基地

週末、お招きをいただき、一夜限りのバー”工bar”にお邪魔してきました。

入場門から見えない奥のほうにある工場へ進むと灯りが見えます。ひっそりと営業中ですが、中に入ると沢山に人で賑わっています。まるで秘密基地みたい。カッコ良すぎです!

大人の遊び心

普段は鯰組さんの工場(こうば)として使われているのですが、照明デザイナー、フラワーデザイナー、花器デザイナー、ケータリング、バー、ワイン醸造家などなどが集まり、工場が”工bar”にデザインされていました。

工場や建設機械は実用的なデザインで魅力がありますが、やはりデザインすると別世界、特に照明の効果は絶大ですね。

照明は工場や現場で使われている仮設の照明を使っているそうですがこの雰囲気。テーブルのキャンドルの明かりでお酒が飲めるなんて幸せです。

バーカウンターも工場の加工機に組み込まれたりと工夫が沢山です。しかもバーカウンターは全て無垢材。私は丸太をひいた加工前の無垢板で一杯いただきました。なんて贅沢!

DJブースもあり、フォトコンテストも開催、盛りだくさんスギ(笑)プロジェクターでは インスタに投稿をするとスライドショーで写してくれました。

しかも餅つき臼と杵の本格的な餅つき大会まであり、久しぶりに餅つきもやらせていただきました。つきたてのお餅も美味しかった!

遊び心が沢山ある、とても楽しい素敵な工barでした。工barのきっかけは新丸ビルにある現バーを鯰組さんが施工したのが発想の始まりだそうです。

鯰組さんの工場ということですが、企画運営や準備はさぞかし大変だったと思います。貴重な機会を本当にありがとうございました。

主催:(株)鯰組さん
協力:(株)タニタハウジングウェアさん
照明デザイン:廣木 花織さん
ケータリング:アホウドリさん
出張バー:ジムルームさん

 

 

 

 

建築探訪 千葉県文化会館

千葉県文化会館&中央図書館:近代建築の魅力を探る

近代モダン建築の宝:大高正人が設計した50年の歴史

建築家・大高正人さんが設計した千葉県文化会館と千葉県立中央図書館を建築探訪してきました。
どちらも大高雅人さんの設計した築50年になる貴重な近代モダン建築です。

千葉県文化会館では石橋館長にお話を聞くことができました。
昨年は50周年のシンポジウムも開催され、その参加者の多さに驚いたとのこと。
オリジナルの保全に努める一方、現在のニーズに合わせた改修を施し、丁寧に運営されています。

荘厳なエントランスホールとコンクリートの表現力

エントランスホールは、まるで宗教建築のような荘厳な雰囲気を漂わせています。建物はコンクリート打放しですが、表面ツルツルの仕上げではなくて、表面を細かくはつった、はつり仕上げ等もありその表情は豊かです。柱や壁も垂直ではなくて少し斜めになっていたり、曲線を描いていて有機的。

水底のような空間:トップライトが照らすホワイエ

大ホールのホワイエは、トップライトから差し込む水色の光と壁面の水色が相乗効果を生み、まるで水底から水面を見上げているような不思議な感覚に包まれます。

コンクリートの表面が荒々しく力強く感じます。現代の建築にはない表現力が感じられ、まさに近代モダン建築の真髄です

千葉県文化会館と共に、大高正人が設計した 千葉県立中央図書館 も近代モダン建築の代表作として知られています。プレキャスト工法の斬新な構造やワッフル状スラブのディテールに注目。建築技術の視点からも楽しめる建築です。
👉 [千葉県立中央図書館の建築探訪はこちら]

築50年を迎える建築の課題と対応

ですが築50年になる近代モダン建築なので、問題点となるのが設備面の不具合です。人間も50年の年月を重ねれば不具合が出てきますから、建築も同じです。

トイレは竣工時の数では足りなくなっていて、数回増設をしているようです。当時と違って基準も変わり、現在のホールはトイレの数が多いですからね。
ホールの空調関係は、暑さ寒さなどの室温問題で利用者さんからクレームがあるようですが、配管類が埋め込みのために設備更新が難しいようです。旧式の空調設備を運用しているようですが細かい設定ができないようで、運営者としての苦労も多いようです。現代の空調設備ではボタン一つで細かな設定が可能なため、それと比較すると温度調整が難しいようです。

建物案内のピクトサインも、オリジナルはもっとシンプルなデザインだったそうです。こちらも利用者さんの声で現在のピクトサインになったようです。

また補修部材の多くが廃版になっており、床のPタイルの補修なども苦労されています。
オリジナルの近代モダン建築の雰囲気の良さは残していきながら、建物利用者の要望をどの程度反映させていくことができるか課題となっているようです。

近代モダン建築の保存と未来

近代モダン建築は、歴史的価値だけでなく、建築技術の発展の証としても重要です。特に千葉県立中央図書館と千葉県文化会館は、千葉の文化的景観を形成する「千葉文化の森」としての価値もあります。

しかし、設備の老朽化や耐震問題により、解体・建て替えの可能性が議論されています。建築の保存と活用のバランスを考えながら、どうすれば未来へ受け継げるのか、一緒に考えてみませんか?

温熱改修のアイデアと難しさ

今回はパッシブハウスジャパンの高本さんと一緒に見学したのですが、高本さんから”この建物の温熱改修依頼がきたらどうします?”なんて問いかけが!さすがの温熱の専門家です。

コンクリート打放しが特徴の近代モダン建築。コンクリート打放しの構造が熱橋となるため、その対策が課題となります。ある程度の熱橋は我慢する、いや、カーテンウォールで覆ってしまう等アイディアが浮かびます。ファイナルアンサーは”ガラスだけは複層にしてコンクリートの熱橋問題は目をつぶる”では専門家として失格?

唯一無二の近代建築を未来へ:保存と活用の可能性

千葉県文化会館と千葉県立中央図書館は、同じく大高正人が設計した近代モダン建築です。両建築は一体的に計画され、それぞれ異なる魅力を持っています。

👉 [千葉県立中央図書館の建築探訪はこちら]

不思議ですが建物は使っていないとドンドン傷んできます。室内の空気が停滞すると湿気も停滞してカビ等で建物をむしばんでいきます。

千葉県文化会館は唯一無二の貴重な近代モダン建築。オリジナルの良さを残しながら性能面を改善して、少しでも長く利用されることを願います。

千葉県立中央図書館と千葉県文化会館を未来へ残すために

千葉県立中央図書館は DOCOMOMO Japan に選定された近代モダン建築であり、プレキャスト工法の先駆けとしても貴重な建物です。また、千葉県文化会館と共に「千葉文化の森」を形成する重要な建築群であり、一体的な保存が求められます。

現在、千葉工業大学・藤木竜也准教授による『千葉県立中央図書館保存活用検討報告書』が発表されています。 詳細はこちらのBlogをご覧ください。
🔗 [千葉県立中央図書館保存活用検討報告書]

これらの建築が今後も大切にされるよう、関心を持ち続けることが大切です。 保存活動を支援する方法として、以下のようなアクションが考えられます。

  • SNSで建築の魅力を発信する(#千葉文化の森 #近代モダン建築 などのハッシュタグを活用)
  • 保存活動を行っている団体・大学の情報をシェアする
  • 建築探訪や見学会に参加し、関心を持つ人を増やす

この文化的な財産を未来に残していくために、一緒に考えてみませんか?