年末年始の休業日のお知らせ

YouTubeから歴史を振り返ってみる

当社の業務は本日迄となりました。本年は大変お世話になりました。

2022年12月28日(水)より2023年1月8日(日)まで、年末年始休業とさせていただきます。 

今年もblogの更新など、情報発信が少なかったのが反省点。来年こそはと考えています。

賛助会員として参加しているパッシブハウスジャパンもYouTubeにて情報発信をしています。

パッシブハウス・ジャパンYouTubeチャンネル

私もYouTubeチャンネルを登録しているのですが、YouTubeの仕様が変わったのか、最近になって過去のパッシブハウスについての動画があがってきます。

私は高断熱高気密に目覚めたのが遅く、過去のパッシブハウスの取り組みを詳しく知りませんでした。過去の動画があがってくることで、歴史を知ることができてとても参考になります。

忘備録を兼ねてリンクを紹介したいとおもいます。お時間のある時にでも是非ご覧になってください!

来年も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

パッシブハウス

パッシブハウス(PassiveHouse)特集_TVK

さんむの家 愛着を上手に引き継ぐには

さんむの家 LDK

住み心地、断熱、耐震、全ての性能を向上させる改修工事

第4回日本エコハウス大賞 奨励賞

DATA

所在地:千葉県山武市
構造 :フルリノベーション 木造在来工法(2階建)
延床面積: 100.19m2(30.25坪)
撮影:花澤一欽
竣工 :2017年
施工:(株)進和建築

性能データ

1次エネルギー消費量(年間) 177.08kWh/m2
熱損失係数(Q値) 2.56W/m2・K
外皮平均熱貫流率(Ua値) 0.57W/m2・K
相当隙間面積(C値 実測値) 2.5cm2/m2

断熱性能

屋根 :フェノバボード 60mm
外壁 :アクリアネクスト 105mm
床 :アクリアUボード 80mm
窓 :樹脂窓 (APW330)
玄関ドア :木製断熱ドア (ユダ木工 U値=1.92W/㎡K)
冷暖房 :壁掛けエアコン
給湯 :ガス給湯器(エコジョーズ)
換気 :第3種換気

パッシブハウス設計のためのDesignPHとSketchUp活用ガイド

1.Zoom勉強会でDesignPHの使用法を学ぶ

STAY HOME週間中、Passive House Japan(PHJ)のメンバー有志が主催するDesignPH勉強会に参加しました。私自身はDesignPHライセンス未所持ですが、導入を検討中のため見学させていただきました。

2. DesignPHとは?SketchUpでの3Dモデリングに便利なプラグイン

DesignPHSketchUpプラグインとして使用するソフトです。SketchUp+ DesignPHを使うことでパッシブハウスの設計を3D上(SketchUp)でモデリングできます。モデルを作成した後、そのデータをPHPP(パッシブハウス設計用のエネルギーバランスソフト)にエクスポートして、エネルギー設計を詳細に進めることができます。PHPPはExcelベースをデータをセルに入力する方式です。

※建物燃費ナビもPHPPがベースで、入力方法がCADベースになっています。このCAD機能をSketchUpに置き換えたものと考えると理解しやすいかもしれません。DesignPHは、PHPPのセルへの入力をSketchUp上で直感的に入力できるツールです。

ソフトの準備

※SketchUpはデスクトップ版のMake 2017、DesignPHはDemo版(2週間有効、機能制限有)を使っています。ソフトは実際に試してみることで理解が深まりますので、ぜひ試してみてください。

■SketchUp Make 2017 ダウンロードはこちらから https://www.sketchup.com/download/all(こちらからMake 2017を選択)

■DesignPH Demo版 ダウンロードはこちらから https://designph.org/DEMO_download(試用期間14日 機能制限アリ)

DesignPHのDemo版を使っていますので、機能が限定されています。今後、正規版を導入しましたら追記予定です。

3.DesignPHでのモデリングからPHPPへのエクスポートまでの方法

SketchUpでモデリング

サッシ開口部は四角の外形だけで大丈夫

まずはSketchUpで簡単な外観モデルを作成します。この時、あまり複雑な形状で無いほうが良いです。開口等もサッシ開口だけで十分です。他のCADからDXF出力した場合、余分な線を整理しておくと後々の作業が楽になります。建物の方位や開口部の位置を検討し、簡単な外観モデルを作成していきましょう

属性の割当て

簡単なサッシ開口の四角にワンクリックでサッシモデルを挿入できます

作成した外観モデルに壁、屋根、開口部ごとに属性を割当てます。この時、壁、屋根、開口部にワンクリックで属性を割り当てることができます。

※私はDemo版だったので属性をカスタマイズすることができませんでしたが 、Passivhaus Institutの認定済みコンポーネントを割り当てることができました。

窓についてはワンクリックで、サッシ枠とガラスが別々に表現されますボリューム作成段階ではサッシ開口のみで十分で、時間の短縮にもなるの便利な機能です。また庇などのサッシ開口部に影を落とす部位もモデル化できます

計算結果を見てみると庇などの端部からガラス中央にラインが見えます。これが計算部分ならば、屋根の厚み等は必要ないようです。まあ、これはこれで外壁面積等計算に影響しそうですが、難しいことは考えずに最後まで進んでみます。

建物の内部壁についてはモデル化する必要はありません。

暖房されていない部屋については、温度係数を入力するだけでモデル化できます。

※これは試すことができませんでした。

周辺環境の入力

DesignPHでは周囲の建物等、障害物からの影響も計算してくれます。なので、計画建物に影を落とす、周辺建物等もモデリングする必要があります。

Google Earthからおおよその地形モデルをインポートすることもできます。その後、DesignPHは計画建物への日影の影響も考慮しながら、日射取得熱等を計算してくれます。

※Demo版ではこれも試すことができませんでした。参加者の中には広範囲の地形モデルをインポートして山からの日影の影響を確かめている強者も…

※気候データについては、プラグインでデータが用意されています。ですが日本ではあまり細かい分類が無いようでした。またアメダスから気候データを読み込むこともできないようです。

4. エネルギー計算とPHPPへのエクスポート計算

外観モデルを完成させたら、エネルギー計算を実行、建物のエネルギー消費量を評価することができます。DesignPHによる計算はソフト内で行われていて、PHPPへの出力は必要ありません。結果はPHPPほど正確ではないと思いますが、この段階で簡単に数値を把握することができれば良いでしょう。なので計算結果が15 kWh / m2であっても、計画した建物がパッシブハウスレベルかの判断はできません。この次のステップでPHPPでの計算が必要になるからです。そのためにもこの段階では、さらに建物性能を高めておく必要があるかとおもいます。

DesignPH内で事前エネルギー計算を実行後、データを.pppファイルとしてエクスポート、PHPPに直接インポートできます。

※この作業もできませんでした。

5. DesignPHを使ってみた感想

※今回はDemo版での感想になります。

・使いやすさ
DesignPHは、SketchUpのプラグインとしてとても使いやすいと思います。

認定パッシブハウスを設計する時はDesignPHだけでは足りません。PHPPでの計算等、複雑な検討が沢山あります。ですが初期段階からパッシブハウスの設計に利用すれば、失敗が少なくなると思います。

・設計者へのおすすめ
若手設計者や学生も挑戦しやすく、パッシブハウス設計の基礎を理解しやすいです。温熱設計に興味をもったらSketchUp+ DesignPHにチャレンジしてみてもらいたいです。パッシブ設計に馴れていなくても、DesignPH内ならば手軽に結果をみることができます。未来の設計者がパッシブハウスへ興味をもってくれると良いなと思います。

・非住宅建物への応用可能性

住宅以外の建物、複雑な形状の建物等は評価するソフトが少ないのでDesignPHが有効かと思います。普通の住宅レベルならば、もちろん”建物燃費ナビ”が早くて有効です!

日当たりをシミュレーションする 建物編

今日は4月16日。緊急事態宣言が出てから約1週間がたちました。外出を少なくして他人との接触を80パーセントまで減らして爆発的な拡大を防ぐとの事。これが達成できれば爆発的な感染を避けることができるそうです。

業務打合せにはZOOMを主に使っていますが、お客様との打合せが目下の課題。PCを持っていないお客様とどのように打合せするのか多くて思案中です。

※緊急事態宣言が全国に広がりそうなニュースが入ってきましたね。。。

日当たりをシミュレーションする 建物編

日当たりをシミュレーションするの続きになります。

前回は敷地に対するシミュレーションを行い、建物を配置してみたところ、思いがけない方向から日影が飛んでくることが判明したお話でした。

くりかえしますが、パッシブ設計のポイントの一つに日当たり条件があります。理想的には大草原の中にポツンと建つような、隣地に何もなくて建物を南側に正対する配置ができれば、日射について大きな問題は少ないでしょう。ですが、そういった条件の敷地は非常に限られています。
そのため、敷地の日当たり条件を丁寧に検討した後、建物形状や窓の配置を決める設計が必要になります。

次に、前回と同じようにシミュレーションを行い、その結果をご紹介します。

シミュレーション結果:12:00の状況

シミュレーションを行った結果、建物の半分以上が北側の建物からの日影の影響を受けていることがわかりました。この後、14:00には全体的に日射を受けることができますが、15:00には別の建物の影響を再び受ける状況になります。。

 

太陽から取得する日射熱

1階の窓からはほとんど日射熱を得ることができないことがわかりました。しかし、屋根面からは日射熱を取得できる可能性があるため、屋根面に窓を設置するという解決策を考えます。この場合、ハイサイドライトと呼ばれる窓を設置することで、北側建物からの日影の影響を避けることができます。

 

ハイサイドライトの効果

シミュレーションを重ねた結果、ハイサイドライトからの日射を得ることで、室内温度に大きな違いが生まれることがわかりました。日射熱の取得量は、ハイサイドライト設置時は7,200whで、設置しない場合の4,600whと比べて約1.5倍になります。また、室内の温度も14:00に約3℃の差が生まれ、最高室温は日射熱が最大になる12:00から約2時間後に達するという興味深い結果となりました。

 日射熱の取得状況です。

ハイサイドライトに日射を受けることができて日射熱も得ることができそうです。

どうにか解決できそうです。

 

建物内の温度分布状況はこのようになります。

左図がハイサイドライト設置。右図は特に対策していない状況です。

日射熱はハイサイドライト設置7,200wh。対策なしだと 4,600wh。約1.5倍になります。

 

室内の温度はこんな状況です。

ハイサイドライトからの日射熱で14:00に3℃ほどの温度差が出てきます。

最高室温が日射熱最大の12:00から2時間遅れの14:00になることも興味深いです。

パッシブハウスとシミュレーション

今回のような敷地状況では日当たりの条件が厳しいと思われるかもしれませんが、パッシブハウスもこのようなシミュレーションの延長線上にあります。「たかがシミュレーション」と言う声も聞かれますが、事前に検討を行うかどうかで設計の精度や建物の性能には大きな違いが出るのです。

パッシブデザインは「自然の力」を理解し、それを活かした家づくりです。これからも、「自然の力」を最大限に取り込める、丁寧な設計を心がけていきます。

 パッシブ設計は「自然の力」を理解し活かした家づくりです。

これからも「自然の力」を取り込める、ていねいな設計をこころがげて生きたいと考えています。

 「パッシブデザインには 日射のコントロール が不可欠です。」
シミュレーションを活用し、どのように 日射取得を最適化 しているのか、詳しく解説しています。
▶ 日当たりをシミュレーションする

相談、お問い合わせはお気軽にどうぞ。

オンラインでの打合せも可能です。

お問合せはこちらです。

 

 

 

 

 

 

 

日当たりをシミュレーションする

パッシブデザインに欠かせない日射の検討

今日は4月2日。年度初めですね。今日はとても風が強かったです。桜は満開ですが強風に耐えてます。
コロナウイルスのニュースがいやでも飛び込んできます。色々不安なことが多いと思いますが自分でコントロールできることに集中して日々過ごしています。

私はリラックスするためにヨガを日課としています。ヨガを習い始めてから3年くらい、太陽礼拝を毎朝の日課としています。太陽礼拝を簡単に説明するとヨガのラジオ体操みたいなものなんですが毎日やることでその日の体調変化にも気づきやすくなったりします。

来年はコロナウイルスもきっと収束して、どんなことを書いているのでしょうね。

そんな中でも粛々と設計を進めています。今回は、シミュレーションソフトを使ったパッシブデザインに最も重要な、日射取得の検討についてお伝えします。

敷地状況を把握する

敷地の形状を地図で確認しました。

南北方向のずれが少なく、日射取得の条件条件は良好です。パッシブ設計では日当たり条件は重要なポイントの一つであり、建物が南面に正対するほど有利になります。

しかし、今回の敷地では、すべてが理想的というわけではありません。

現地調査の結果、次のような状況が判明しました。

  • 北面・西面 :道路に接している
  • 南面・東面 :宅地に囲まれている

市街地ということもあり、既存の建物が敷地に接近して建てられており、一見して隣地からの日陰の影響を強く受けることが判明しました。西側には6メートルの道路がありますが、驚きの結果が待っていました…。

更地の敷地をシミュレーションする

配置計画の前にやるべきこと

まず、現地で周辺の隣接敷地を調査し、隣接建物の配置や高さを計測しました。そのデータを基に隣地建物を配置し、建物の影響を検討します。

しかし、いきなり建物を設計するのではなく、更地の状態 でまずシミュレーションを行い、隣地建物の日陰の影響 を把握することが重要です。

このシミュレーションをもとに、隣接建物の日陰を考慮しながら、建物の配置計画を進めます。
「ここしかない」という配置計画を見極め、自然に素直な設計を目指す。
これが、パッシブデザインにおける重要なステップです。

シミュレーション結果:冬至での検討

基本案が決まったら、次に 冬至(太陽高度が最も低い日) でのシミュレーションを実施します

11:00頃

11:00を過ぎると、南西の角に日が当たり始めますが、1階の南面にはまだ日射がほとんど当たっていません。北側建物からの日陰の影響が大きく出ています。

 

 

 

14:00頃


14時になると、ようやく南面全体が日射を受けます。しかし、今度は南西の建物からの日陰が建物に影響を与え始めています。

 

 

15:00頃

15時には、南西の建物からの日陰の影響で、1階の南面には全く日射が届かなくなります。

 

 

 

 

日陰は予想しないところから現れる

シミュレーションを行う前は、北側建物の日陰が通り過ぎた後、11時過ぎには日射を邪魔するものはないと想定していました。しかし驚いたことに、西側道路を挟んで南西にある建物から、予想を超える日陰が広がっていたのです。

「これは?シミュレーションソフトの間違いかな…」と思いましたが、現地で確認したところ、ほぼ同じ状況が確認できました。この経験から、シミュレーションソフトの精度を改めて実感しました。

想像だけでは予測しきれない影響が、建物の設計に大きく関わってくるのです。。

外皮性能だけでは快適な家はつくれない

パッシブ設計には日射のコントロールが不可欠

冒頭でも触れたように、パッシブ設計では日当たり条件が重要です。この条件を満たすためには、シミュレーションソフトを活用することが不可欠です。いくら外皮性能を向上させても、冬に日射を確保できなければ、暖かい家にはなりません。

もちろん、暖房設備をフル稼働すれば室温を一定に保てますが、それでは経済的に非効率です。

だからこそ、太陽からの日射を最大限に利用し、自然に素直な設計、つまりパッシブデザインが求められます。
このシミュレーションを通じて、パッシブデザインにおける日射のコントロールがいかに大切か を改めて感じました。

次回予告 & 関連記事

次回は、さらに詳しく シミュレーションを活用するポイント をご紹介します。

▶ シミュレーションで設計を最適化する方法
パッシブデザインを実現するためのシミュレーション活用について、さらに詳しく解説します。
日当たりをシミュレーションする 建物編

暮らしとともに育つ家──アップデートしやすい設計の考え方

住宅や建築の設計をしていて常々感じるのは、家が究極の一品製作品だということ。
家電や自動車はメーカーが巨額の開発費を投じて作る工業製品ですが、住宅は一品もののオーダーメイド。
同じ形の土地でも、敷地が変われば条件も変わり、まったく同じ家にはなりません。

暮らしをアップデートする

建物が完成して暮らし始めると、「もう少しこうしたい」と思う部分が出てくることがあります。
それを手を入れながら自分たちの暮らしに近づけていくことも、家を楽しむひとつの形ではないでしょうか。
住宅は、完成した時がゴールではなく、暮らしながら少しずつ完成に近づいていくもの。
家族の成長に合わせたり、好みに寄せたりしながら手を加えていくことが大切だと思います。

とはいえ、未完成の状態でお渡ししているわけではありません。
設計前にはしっかりヒアリングを行い、ご要望を反映します。
ただ、予算の関係ですべてが叶うわけではないのも事実です。

そこで、設計では 「後から変えにくい部分はしっかり作る」 ことを重視しています。
例えば、耐震等級や壁の中に隠れる断熱材など、建物の性能に関わる部分にはしっかり予算をかける。
一方で、内装や仕上げなど 後から変更しやすい部分は、暮らしの変化に合わせて手を入れられる ほうがいい。
そんな考え方で、アップデートしやすい設計を心がけています。

設計の工夫 〜シミュレーションの活用〜

後から変えにくい部分は、設計段階でしっかりと決める。
耐震等級や壁の中の断熱材など、建物の性能に関わる部分は後から手を加えるのが難しいため、設計時にしっかりと検討し、最適な形を追求することが重要 です。

そのために、パッシブ設計を確実に機能させるためのシミュレーション を活用しています。

まずは敷地環境を知る


最初に行うのは、パッシブデザインで大切な日射取得を左右する敷地環境の確認 です。
周囲の建物が敷地にどんな影響を与えるか、シミュレーションで確認します。
南側だけでなく、東・西側の建物の影響も大きいことがあるので、事前の予測と合わせて検討します。
「この方向なら日射を取り込めるはず」と思っていても、シミュレーションをすると意外な影響が見えてくることもあります。
数値や視覚的な分析をもとに、パッシブデザインに基づいて最適な建物配置や窓の設計を進める ことが、アップデートしやすい住まいの第一歩です。

住まいをアップデートしやすい設計を考えるためには、敷地環境を正しく把握することが大切です。
→ 詳しくはこちら『敷地と環境を活かす建築デザイン:シミュレーションの力

建物の性能を決める

次に行うのが、屋根・外壁・床・開口部などの外皮性能を決定する作業 です
ホームズ君新住協のQPex を活用し、断熱材の種類や厚さ、開口部の仕様を細かく計算。

設計の過程では、ホームズ君とQPexを行ったり来たりしながら、仕様を決めていく ことになります。
QPexは断熱材の種類や厚さ、開口部の仕様を入力すると、Ua値や暖冷房エネルギーの計算ができる ので、とても便利です。


特に、断熱性能は一度施工すると後から大きく変更できない部分 なので、設計段階でしっかりとした検討が必要です。
ここでのシミュレーションは、「将来的にメンテナンスしやすい設計」と「変えにくい性能を最適化する設計」のバランスを取る ために重要な工程になります。

室温シミュレーションで快適性を確認

次に、ホームズ君を使った室温シミュレーション を行い、計画した仕様が快適性を満たすかを検証します。
シミュレーション結果をもとに、開口部の配置や断熱仕様を微調整し、エネルギー効率と快適性を両立する最適なプラン を探ります

さらに、パッシブハウス・ジャパンの「建物燃費ナビ」も活用し、エネルギー消費量を確認。

次に 建物の性能を決定する作業。こうして 性能を数値で検証しながら設計することで、住み始めてからの快適性が確保される ことにつながります。

施工が伴ってはじめて性能が生きる

そして、どれだけ良い設計をしても、施工が適切でなければ性能は発揮されませんシミュレーション結果を現場で正確に再現できるかどうか も、住まいの性能を決定づける重要なポイントです。

このため、施工時にも適切な断熱・気密施工が行われているか確認しながら、設計の意図をしっかりと伝えることを心がけています。

家は、暮らしとともに成長する

家は、完成した瞬間がゴールではなく、暮らしとともに成長し、アップデートしていくものです。
設計の段階で 「変えられない部分はしっかり」「変えやすい部分は柔軟に」 を意識することで、住まいはより快適になります。
あなたの暮らしにフィットする家を、一緒に考えてみませんか?
まずはお気軽にご相談ください。

家を計画するなら、まずは敷地環境を知ることが重要です。
『日当たりをシミュレーションする:敷地編』を読む

あなたの住まいも、アップデートできます。まずは無料相談から始めませんか?
設計のご相談はこちら

”換気と住宅にまつわるお話 ~パッシブハウス・ジャパンより

先日、コロナウィルスの感染拡大を受け、パッシブハウス・ジャパンより
”換気と住宅にまつわるお話”がFacebookに投稿されました。
ご覧になっていない方に向けて再掲させていただきます。※一部、見出しを付けています
とてもわかりやすい内容ですのでご覧いただければと思います。

20200307追記

パッシブハウス・ジャパンのHPにも掲載されています。

特別寄稿  ~住宅と換気にまつわるお話~

 

 

以下貼り付け
——————–

 

住宅と換気にまつわるお話

非営利型一般社団法人パッシブハウス・ジャパン

森みわ・松尾和也・竹内昌義

2020年3月4日

今回のコロナウィルスの感染拡大を受け、「住宅や建築空間の換気は十分なのか?」といった不安をお持ちの方が増えているように見受けられます。これまで住宅をはじめとする建築の換気設備について、あまり意識をした事が無い方が圧倒的多数だと思いますので、ここでパッシブハウス・ジャパンより、主に住宅を例として換気のしくみについて解説させて頂きます。

なぜ換気が必要なのか?

室内に人が滞在すると臭いが籠ったり、CO2濃度や湿度が上昇し、家具や建材からはホルムアルデヒドをはじめとするVOCが発生したりすることから、健康的な住環境を確保するため、日本では建築基準法により24時間換気設備の設置が義務付けられているのは皆さんもご存知かもしれません。

具体的には、1時間に建物内の気積の半分の空気の入れ替えが必要で(これを0.5回/hと表します)、2時間に1回、建物内の全ての気積分の空気が入れ替わる計算となります。

換気のしくみ 日本の一般的住宅場合

日本の通常の住宅(一般的な既存建築、または施主が特に何もこだわらずに建てた新築)において、この要求を満たすための換気設備というのは基本、トイレや浴室の天井等に設けられた排気ファンと、それに対応する居室の壁に取り付けられた自然給気口と呼ばれる穴ぼこです。

匂いや湿気が発生するトイレや浴室から、排気ファンで空気を引っ張れば、自然と居室の穴ぼこから新鮮空気が入ってくるであろうという、希望的観測に基づくコンセプトと言えます(これを業界では三種換気と呼びます)。

この換気方式を成立させるためには、排気ファンで空気を引っ張った際、建物内が負圧状態になる事が条件になるのはお判り頂けるでしょうか?ストローに穴が空いていては、何時まで吸ってもジュースが口元まで上がってこないのと同じで、もし家じゅう隙間だらけで、高気密とは無縁な作りであったら、恐らく新鮮空気はトイレの窓の隙間等(よりによってそこにガラスルーバー窓?!)から入り込んで、トイレの臭いは取れたけれども居室の空気は入れ替わらないという現象が起きます。

日本の一般的住宅での換気の現状ー三種換気について

大半の気密性能が伴わない三種換気の住宅では、特に2階の自然給気口からは新鮮空気が入ってこないばかりか、場合によっては自然排気口になっている家もある程です。

更に冬期になると、居室の壁の穴ぼこから冷たい外気がスースーと入ってきて不快であるという事で、住まい手がこの穴ぼこを塞いでしまうケースが多発します。断熱性能の伴わない家を、一生懸命温めようとする結果、換気と暖房が両立しなくなり、住まい手は空気の質よりも、空気の暖かさを選択してしまいがちなのです。

「日本の伝統家屋はもともと隙間だらけで勝手に換気がなされ、大変理に叶っていた」という意見は、重要文化財級の伝統家屋のお話であり、現代の一般的な建築(即ち、相変わらず隙間だらけではあるものの耐震性能の向上により伝統家屋ほどスカスカでもない建築)においては、この勝手な換気は成立していないケースが大半と認識して頂くべきでしょう。

一種換気・二種換気って?

そもそも換気があまり機能していない現代の日本の家が、省エネルギー性や快適性向上の観点から近年、高気密高断熱化の傾向にあり、その過程で計画的な換気の重要性が理解され始めました。現在では熱交換技術の発達もあり、排気側だけでなく、給気側もファンで引っ張る“一種換気”というシステムも導入事例が増えています。

これらの建築では、施工後に実際の換気風量を測定し、各部屋に必要な給気量または排気量が確保されているかを確認する必要があり、ドイツのパッシブハウス認定でもこれが義務付けられています。

また、余談ですが医療施設などでは新鮮空気を給気側のファンで室内に押し込み、建物内を若干の加圧状態にする事によって、外部から埃などが入り込まないようにする“二種換気”なる方法も以前から採用されています。

三種換気のチェック方法

今皆さんがお住まいの住宅で、換気性能に関して不安がある方は、まず三種換気の場合、居室の自然給気口が塞がっていないかをチェックしてみてください。

排気ファンに繋がる吸い込み口にフィルター等が設けられている場合は、埃等で目詰まりしていないかもチェックします。

浴室やトイレ、廊下など、排気経路の窓が常に開いている、または床が隙間だらけだと、居室の自然給気口からは新鮮空気が入りませんので、注意が必要です。

それでもやはり気になる方は市販のCO2センサーを購入してみることで、人が滞在している部屋できちんと換気が出来ているかを確認することが出来ます。就寝中も寝室でCO2濃度が1000ppmを超えない状態が理想です(但し小さいお子さんと川の字で寝ている家庭ではCO2発生量が多すぎるため、1500ppmが妥当)。

一種換気のチェック方法

一種換気の住宅で、竣工時に換気風量チェックを行っていない場合は、今から測定の依頼をするのも不安解消に効果的でしょう。パッシブハウス・ジャパンでは風量調整レポートの書式を無償配布しておりますので、お問い合わせください。

今は暖房シーズンですので、これらの対策無しに、窓を常に開放する事は過剰換気(即ち過乾燥)のリスクと暖房用消費エネルギー増大の観点からあまりお勧め出来ません。

住宅の空調について

さて、換気の話は以上ですが、冷暖房期には室内を快適な温度に保つために、空調を行います(床暖房等の輻射暖房のケースはこれに当てはまりません)。

通常のルームエアコンの仕事は、室内の空気を加温もしくは冷却し、それをまた室内に放出するというもので、換気機能は一切ありません。ルームエアコンを一部屋に1台ずつ設置するような、日本の住宅で一般的なやり方では、その部屋の中の空気をぐるぐる回しているだけですが、床下エアコンやダクト式エアコンのように、1台のエアコンで住宅内の複数の部屋を暖めようとする設計では、複数の部屋の空気がぐるぐると回ります。

住宅の断熱性能が向上すると、そもそも1台のエアコンで家一軒が空調出来てしまうため、このような方式に移行していきます。

ビル空調のしくみ

また、ホテルやオフィスのような大型施設では、もともと断熱性能とは無関係に、ビル空調方式と言って複数の部屋から集めた空気を空調し、また複数の部屋に空気を再分配しています。

このやり方はダイヤモンドプリンセス号のようなクルーズ船に限った手法ではなく、非住宅建築ではごくごく一般的な手法なのです。この換気機能と空調機能は、全く異なる目的のために設計されており、目的が異なるため、換気に必要な空気の送風量と、空調に必要な空気の送風量とは、全く次元が異なります。

簡単に言うと、先ほど述べた0.5回/hの換気量に必要な空気の送風は、建物を空調する(例えば冬は室温20℃以上、夏は25℃以下等に維持する)ために必要な空気の送風量よりも圧倒的に少なく、その差は、建物の断熱気密性能の低下によってどんどん大きくなります。

その結果、もしもビル空調方式で、換気と空調という二つの機能を融合し、同じ送風ファンで供給する設計とする場合、そのシステムが扱う送風量の、恐らく3割が換気用の新鮮空気、残りの7割は空調用にぐるぐる循環する空気、という事になります。

これを言い換えると、必要換気量の3倍の量の空気を空調機に通すという意味です。この空調用にぐるぐる循環する空気の経路に、ウィルス等を除去する電気的なフィルター等を取り付けている事例もまれに見かけますが、まだまだ一般的ではありません。

パッシブハウスの空調のしくみ

一方、換気風量のみで空調するという一見無謀なテーマに20年間以上前から取り組んでいるのがドイツ発祥のパッシブハウスです。

これはもともとウィルス感染対策が目的ではなく、純粋に健康的で省エネルギーな建築を追い求めていった結果、断熱気密性能の担保に加え、風や太陽といった自然エネルギーを活用する、いわゆる“パッシブデザイン”を駆使することで、冷暖房需要を極限まで減らせることに着目し、換気装置に補助熱源が取り付けられたという経緯でした。

パッシブハウス性能にまで至らなくても、近年の国内の高性能住宅では、必要換気量の1.5~2倍の空気の送風量で全館を空調出来る状態にはなりつつあります。建物の断熱気密性能が向上すると、これまでよりも少ない循環風量で設定室温に達する事が出来るということです。

まとめ 

繰り返しになりますが、気密性能の伴わない建物では、従来型の三種換気であっても必要な換気量を確保できていないこと、冷暖房期に空調用の空気が建物内を循環する割合は、建物の断熱気密性能が不足する場合程大きくなる事を皆さんにご理解頂きたいと思います。

最後に コロナウイルスへの対策として

また今回のコロナウィルス感染への対策として、換気量に意識が向きがちですが、換気回数を上げるとその分室内の水分量は減り、暖房期には室内が過乾燥に陥る傾向もあるので十分注意が必要です。感染予防には過乾燥は禁物だからです。

免疫力の低下によりウィルスに感染しやすくなっては本末転倒です。是非とも適切な換気量且つ十分暖かい家の中で過ごし、生活習慣の見直しで体温を上げる工夫も取り入れながら、皆さんの免疫力を高めて頂きますようお願いいたします。

また、宅内での飛沫や接触による感染の予防のため、手洗いとうがいの習慣もお忘れなく!!

そして体調がすぐれない時は無理をせず、休息を取りましょう。それが皆さんのご家族や周りの人に迷惑を掛けないためにも一番重要な事かも知れません・・。

非営利型一般社団法人パッシブハウス・ジャパン

森みわ・松尾和也・竹内昌義

建物探訪 森のカフェ 軽井沢南ヶ丘 

先日、森のカフェ 軽井沢南ヶ丘に建物探訪してきました。今年は暖冬ですが丁度寒冷前線の影響で軽井沢は―5℃との事前情報。パッシブハウスを体験するにはちょうど良いタイミング。

ただの見学ではなく、寒冷地でのパッシブハウスの室内環境を実際に体験しながら、宿谷先生の講義を受けるという贅沢なツアー。厳冬期の住まいの暖かさを、理論だけでなく肌で感じながら学び直す機会となりました。

森のカフェ 軽井沢南ヶ丘はパッシブ認定を受けた本物のパッシブハウス。設計者はオーナーで、建築士の菊池さん。建物の性能はパッシブ認定で証明済み。それに加え、ディテールはもちらん、インテリアの分野でも活躍されているだけあり色彩のコーディネートが素晴らしい。

リビングの一面がドーンと本棚になっているのですが、一部が窓になっており目線が抜けて外の景色が見えるせいか、圧迫間が無い印象。事前に写真で拝見してたよりも軽やかに感じます。

外観はいたってシンプルですが、隣地との関係や、軽井沢独特の斜線規制等、クリアするべきことが沢山あり苦労されたそうです。

パッシブ認定を受けるにあたり、そのためのディテールも。

引き算されたシンプルな形ほどデザインに時間が必要な事はすべて一緒だなー とフムフムひとりで納得。

エクセルギーの視点で考える住まいの快適さ

宿谷先生の講義では、寒冷地での住まいの暖かさをエクセルギーの視点で解説。数値的な性能だけでなく、私たちがどのように温かさを感じるのかという「体感」も重要であることを改めて学びました。

「包まれるような温かさ」──これは、菊池さんご夫妻が外出から帰宅したときに感じるものだそうです。それこそが、まさにエクセルギー的な暖かさ。宿谷先生は、この体験こそが重要だと話していました。

この勉強会は室内環境をシミュレーションソフトで結果を求めるだけで終りにせず、壁の中でどのような現象が起きていて、私たちがどのように受け取っているかを勉強しています。数値だけでなく人が感じる感覚を大切にする学びは新鮮。今までの知識をアンラーンしているような学びがありますがとても楽しい講義です。

美味しい食事と心地よい時間

そして菊池さんのご主人が腕を振るうランチで心とお腹に栄養補給。いまはカフェの営業はお休みしているそうですが、特別に。

サンドイッチのパンをトーストの違いで楽しませてもらったりと心配りを感じます。コーヒーも丁寧な淹れたてで美味しかったです。豆はなんだったのかな?勉強で余裕が無くて聴き忘れてしまいました。

お勧めはホットワイン。ぶどうジュースがベースで、ノンアルコールでも甘すぎず満足。軽井沢までクルマで来ても、ドライバーも楽しめると思いますので是非!

また学びの旅へ

皆で記念撮影。画像は菊池さんからお借りしました。

会に誘ってくれたのはPHJの仲間「これすま=これからの住まい」の丸山さん。設計者だけの勉強会も楽しいですね。

毎日PCの前なので、気分転換と勉強ができて楽しかった。またどこかに行きましょう!

最後に、菊池さんご夫妻には、貴重な場を提供していただき、心から感謝しています。ありがとうございました。



2025年更新:宿谷先生のエクセルギー講座に再び参加しました。
そこで学んだ新しい知見や考え方をまとめています。
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BIS認定試験に合格

BIS認定試験に合格しました。

何歳になっても試験は緊張するし、合格すると嬉しいものです。ちなみにBISは北海道でうまれた、断熱気密や暖房・換気に関する技術者です。寒冷地に特化したした資格です。温暖な千葉では氷点下になることはほとんどありませんが、断熱気密などの理屈は同じはず。

千葉では少し間違っていてもどうにかなる?けど、北海道の気候では命取りになる厳しさがあり、しっかりとした技術、基本を知ることは必要と考えた次第です。いや、間違った知識では温かい家にはなりません。UA値は必要ですがそれだけでは温かい家にはならないのです。

この試験を受けなかったら、暖房度日数、暖房設備容量、灯油消費量を手計算するなんて事は無かったでしょう。普段使っているシミュレーションソフトの理屈をほんの少しでも理解できたので良かったと思ってます。

テキストとして使われた “北の住まいの熱環境計画 2015年” もとてもよくまとまっていて、温熱の勉強を始めてからつぎはぎ状態の知識も整理できました。あちらこちらから聞いた知識がこの一冊に!です。以前の現場で悩んだ事についてもまとまっていて、あの時この一冊があれば。。。と思う点もあります。

BIS認定 あらためて北海道で知りたいこと

無事テストは合格しましたが、始まりの第一歩。どうやって実務で生かして生きましょうか。北海道の実務者の皆さんが、寒冷地での技術をオープンにしてくれたように広めていかないとね。技術はオープンソースでひろまる時代ですから。

特にパッシブ換気については是非取り入れたい技術。建物内の上下の自然温度差によって生じる換気動力が主動力になるので、動力が不必要なのは魅力的です。

以下は個人的の目標。テストでまだまだ理解できていないことも見つかり、まだまだ勉強することがたくさん。

BISの本拠地、北海道での極限の状況を体感したいと思っています。やはりテストの合格だけでなく実地での体感が大切。

岐阜の森こうすけさんが開催されている北海道断熱修行の旅 来年は参加したいと考えてます。

 

2020年 明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。

事務所は1月6日(月)より始業しています。

本年も「自然の力」を理解し活かした家づくり、建築に関わって生きたいと考えています。

2020年もどうぞよろしくお願いいたします。