木造技術の進化と可能性 ~ ヘルマン・カウフマン氏の視点


先日、建築家ヘルマン・カウフマン氏(以下H.K氏)の講演会に参加してきました。
2018年にも同氏の講演を聴講しましたが、今回は6年ぶりの再講演です。(※2018年の講演記事はこちら

今回の講演テーマは以下の通りです。

「木造建築の未来 ~ 木造技術とモダン建築の融合:地域経済を拓く伝統と革新」

H.K氏の審美的な建築事例はもちろん魅力的でしたが、講演中に特に気になったいくつかのキーワードについて掘り下げてみたいと思います。

大工の仕事からスタート

H.K氏の講演では、フォアベルク州で主流となっている「住戸ユニットタイプ(3Dボリューム)のプレファブ建築」が紹介されました。このシステムは、大工の負担を軽減するだけでなく、若い世代の大工が仕事に就くきっかけにもなっているとのことです。工場内の環境は、デザイン性が高く、洗練された働きやすい場の印象を受けました。また、フォアベルクでは、住戸ユニットの陸上運搬も日本より大きなサイズが可能であるという点も興味深いです。

ちなみに、日本で運搬可能なサイズについては、ワンルームタイプの短辺がプランニングに影響を与えることが考えられます。
※日本で運搬可能なサイズ(道路交通法の制限内)
短辺:2,400mm
長辺:5,400mm(4トンユニック積載)、7,200mm(10トンユニック積載)
高さ:約2,700mm

日本ではどうだろうと考えた際、思い浮かぶのは千葉のウッドステーションやモックさんの千葉工場です。現在、日本では2Dボリューム(大型パネル)が主流で、モックの工場でも大型パネルを製作しています。

私自身も大型パネルを導入した経験がありますが※FB投稿です、建方の際に大工さんの重労働が軽減されるだけでなく、品質管理や工程管理がより正確になり、非常に良いシステムだと感じました。さらに、ウッドステーションやモックさんが導入しているシステム全体は、フォアベルク州の技術水準に非常に近づいていると感じました。これは木材の品質管理に限らず、製造工程や作業環境、大工の負担軽減に至るまで、フォアベルク州で実践されている技術やプロセスに近いものが日本でも実現しつつあります。

2018年の講演当時、ウッドステーションやモックさんの技術はまだ存在していませんでした。

それが今、これらのシステムが現実となり、実際に稼働していることに深い感慨を覚えます。
未来の可能性として描かれていた技術が、数年の間にここまで着実に発展し、現実のものとなっている様子を目の当たりにすると、木造建築の進化のスピードと、その背景にある「伝統と革新」の力強さを改めて実感させられます。

私自身も、この進化の一端に触れ、大型パネル技術を採用できたことに、静かな喜びを感じています。時代の流れと共に、私たちの仕事も少しずつ進化し続けていることを実感し、これからも建築の可能性を広げていければと願っています。

また、フォアベルク州では混合林が主流で、モノカルチャー(トウヒの単一林)は伐採後に全伐になってしまうため、環境への影響が大きく、望ましくないとの話がありました。ただ、少し聞き取りが難しく、十分に消化できなかった部分もあり、少し残念です。

次回は、黒部パッシブタウンについての話を書いていきたいと思います。

パッシブハウスジャパン全国大会2023:発表の舞台裏

2023年11月16日に開催されたパッシブハウスジャパン全国大会2023で、実例報告として発表する機会をいただきました。壇上での発表は貴重な経験であり、今後同じような機会があるかどうかわからないため、特別な思い出となりました。

左から 池田組の池田さん 森代表 当日登壇したFabWorksの中さん 発表が終わって安堵する私

発表内容:NOIL新築工事の事例報告

発表では、現在進行中のプロジェクトNOIL新築工事についてご紹介しました。このプロジェクトは、ローエナジービルディング認定を目指す建築であり、私は解析チームの一員として、また池田組の池田さんは施工者代表として、二人で登壇しました。

発表当日の朝には、最新の現場写真への差し替えやDesignPHのリアル操作などもあり、緊張がピークに。しかし、出来栄えはともかく、無事に発表を終えることができました。

外部開口部の解析:高性能化への挑戦

このプロジェクトでは、外部開口部の性能と耐久性向上に力を入れました。

意匠設計→施工図作成→解析のフローを数回繰り返し、解析を重ねた結果、納得のいく仕様を実現しました。

外部開口部の解析では、Certified PH Consultantの高岡利香さんが多大な努力をしてくださいました。

また、外部開口部は山崎屋木工さんのキュレーショナー、木製サッシ+トリプルガラス仕様の高性能仕様となっています。ZEB認定の建物なのに、窓周辺に座ると何となく肌寒いということがあるのですが、本物件では快適に過ごすことが出来るはずです。

PHPPとDesignPHの活用

NOIL新築工事は非住宅の建物なのですがPHPP+DesingPHで性能を解析することが可能です。

DesignPHとは?

プレゼン中の画面に赤く塗られた建物が映っていましたが、これはDesingPHで解析した結果になります。赤く塗られた部分は断熱の外側になっていて、このデータをPHPPに読み込んで計算することができます。

PHPPのメリットと課題

PHPPは工法や建材を問わずに解析できる柔軟性が魅力です。悪い面は特に無いと思いますが、あえて言うならば国産ソフトと比較すると操作方法がアナログなことでしょうか。

厳しい環境下での現場進行状況

厳しい寒さと雪の中、また能登半島地震などありましたが、池田組さんの報告によると現場は着々と進行中とのこと。ホント、.雪国の方々の粘り強さには感服するばかりです。

厳しい環境下での現場進行状況

NOIL新築工事は、ローエナジービルディング(申請予定)を目指しており、工事の進行に合わせ、再解析等これから検討する要件が残っています。引き続きチームで力を合わせ、より良い結果を目指してコツコツと取り組んでいきたいと思います。

2024年を迎え~新年のご挨拶に代えて~

元旦に発生致しました「令和6年能登半島地震」でお亡くなりになられた皆様に、先ずは被害に合われた皆様には謹んでお見舞いを申し上げます。

年明けから石川地震や日航機炎上事故のニュースが続き、お正月気分どころでは無かった方も多かったのではと思います

地震は自然災害の一つではありますが、台風のように事前対策がとれるような時間が無く、前触れ無しで突然襲いかかってきます。ですから備えは平時の時から備えていなくてはなりません。

対策としては建物の「耐震化」になりますが、新築建物と既存改修工事ではそれぞれの方法がありますが「構造計算」が必要となります。

また昭和56年以前の建物の耐震性はそれ以降の建物に比べて耐震性が低いと言われています。56年以降の建物が安全かと言えば、「4号特例問題」等があり、「構造計算」を行い安全性を確認するということがほとんど行われていない悲しい事実もあります。

地震による被災は予想ができません。ですが事前に検証をして対策することはできます。既存建物の「耐震化」も可能です。

数年前、富山の現場に通った時期があるのですが、黒瓦葺の屋根の建物が多く、建物のプロポーションも千葉の民家と違って洗練されていて、美しい街並みが印象的でした。

しばらくは現地からの速報を見守り、しかるべき時期に支援等の協力ができればと考えています。

2024年も大激動が予想されていますが、本年もよろしくお願いいたします。

こんな時こそ慌てない

突然の長い春休みがはじまりました。

我が家は、長男(高3)、次男(高1)ですからまだ楽です。

我が家は共働きだったので、小学校の低学年のお子さんのいる家庭は大変な事が想像できます。

長男の卒業式が生徒だけになって淋しいくらいですかね。

次男は学校でiPadを使っているので教材はそちらから。連絡はGmail等を使いこなしている様子。

お昼は外食だと大変なので子ども達と簡単に調理する予定です。

料理のYouTubeを探してもらって何か作ってもらいます。

男でも料理して欲しいので良い機会と考えなおして楽しみます。

 

現在、コロナウイルスの影響で建材類が発注を受け付けていないので、まったく見通しがつかないので、ビルダーさん達も苦労している様子。

夏前後に着工予定の物件があるのですが、どのようになるのか全く見通しがつかず様子見の状況です。

関係諸氏とは個々に御連絡をとっておりますが、何か不安点がありましたらご連絡頂ければと思います。

設計の仕事はかえって捗っております!

 

打合せはzoom等を積極的に取り入れている方が多いので、特に問題なしです。

どうしてもの対面打合せの時は出かけますが、その時はマスクをして出かけます!

今後はzoom等が最低限のスキルになりそうですね。

 

前回の投稿は軽井沢出かけた話。旅の途中こんな温気な旅はしばらく無いかな? と思っていたのですがまさか現実になってしまうとは。

色々と大変な時期ですが、慌てずできる事に集中して生きましょう!