パッシブハウス認定と断熱性能の試行錯誤、北海道建築探訪 | 幸総合設計

パッシブハウス認定に向けた挑戦

パッシブハウス認定を目指して、ヒートブリッジやインストールψの解析に取り組んでいます。これはパッシブ設計における重要な要素であり、特に日本の寒冷地での性能を左右するものです。

案件が保留となり多少の時間ができたため、この機会に解析をマスターしようと考えていましたが、先輩コンサルの経験を追体験しているようで、その道の険しさを実感しています。

解析の試行錯誤

ソフトの習熟には時間がかかるタイプなので、解析作業にも多くの試行錯誤がありました。肝心なポイントを見逃して最初からやり直すこともあり、時間だけが過ぎていく日も多々ありました。それでも、パッシブハウス認定に求められるヒートブリッジやインストールψの解析は非常に重要な要素なので、粘り強く取り組んでいきたいと思っています。ソフトの習熟に時間がかかるタイプなので、ソフトの習熟だけでも精一杯。肝となるポイントを見逃して最初からなんて事も数回。時間ばかりが過ぎていくなんて日が多かったです。


北海道での建築探訪と温熱環境の発見

2月の後半は家族と一緒に冬の北海道へ。旅の中盤には寒波に見舞われ、冬の北海道の厳しさを味わいましたが、それでも楽しい旅となりました。

家族との旅行でしたので、建築オタク旅とはなりませんでしたが、外気温がマイナスでも建物内は半袖でも過ごせるような暖かい北海道仕様ならでは 名物 ”おうちアイス” も経験!
愛車の95プラドで峠を越えながら、旧いクルマを大切に使い続けることの楽しさも感じつつ、ゴールデンレトリーバーのテンテンとも一緒に網走で氷点下の散歩を楽しみました。寒さの中でも堂々と歩くテンテンの姿は頼もしい限りです。

雪煙でバックドアが真っ白。さらに過酷な雪道に…
愛車の95プラドで峠を越えます。旧いクルマを大切に乗ってます。4輪駆動車でも緊張の峠越えでした。
-6でも平気なワンコと凍える私
網走の能取湖湖畔をゴールデンレトリーバーのテンテンとお散歩。氷点下5度でも平気そうでした。

北海道の建築と温熱環境に関する発見

以下は北海道での建築や温熱環境に関する印象的なポイントです:

・樹脂サッシとペアガラス:樹脂サッシのペアガラスが一般的で、トリプルガラスはあまり見かけませんでした。特にYKKの製品が多かったように感じます。

・リノベーション物件:樹脂サッシ+ペアガラスの二重サッシが多く、旧い木製引戸や単板ガラスと組み合わせ、レトロな雰囲気を残しながら断熱性能も上げているのが見事な演出。少し室温が下がるものの、適材適所と感じられる工夫がなされていました。

・賃貸アパート:賃貸でも樹脂サッシ+ペアガラスが標準で、FIX窓とすべり出し窓の組み合わせが多く見られました。バルコニーや引違いの掃き出し窓は無く、暖房はFF式ストーブ(灯油)が主流です。

・非住宅の施設:パネルコンベクター(コロナ製)が多く使用され、網走の旅館でもFF式ストーブが採用されていました。また、宿泊施設では夏用のエアコンが設置されているものの、冬は使用されていません。

・パネルヒーターの快適さ:湿度コントロールがどのように行われているかは不明ですが、パネルヒーターによる室内環境は非常に快適でした。

北海道の建築探訪は、関東とは異なる熱源やサッシの設計を見るだけで十分に興味深く、温熱環境の違いを実感しました。

北海道の建築と温熱環境に関する発見

実際に北海道を旅してみて、書籍や講座で聞いた設計手段や設備について、体感することで少しずつ腑に落ちてきた気がします。「百聞は一見に如かず」とはこのことでしょうか。

この経験をさらに深めるため、次回は「ミライの住宅さん」主催の北海道断熱修行の旅にも参加を検討しています。より深く北海道の断熱技術を学び、自身の設計に活かしていきたいと思います。

パッシブハウスジャパン全国大会2023:発表の舞台裏

2023年11月16日に開催されたパッシブハウスジャパン全国大会2023で、実例報告として発表する機会をいただきました。壇上での発表は貴重な経験であり、今後同じような機会があるかどうかわからないため、特別な思い出となりました。

左から 池田組の池田さん 森代表 当日登壇したFabWorksの中さん 発表が終わって安堵する私

発表内容:NOIL新築工事の事例報告

発表では、現在進行中のプロジェクトNOIL新築工事についてご紹介しました。このプロジェクトは、ローエナジービルディング認定を目指す建築であり、私は解析チームの一員として、また池田組の池田さんは施工者代表として、二人で登壇しました。

発表当日の朝には、最新の現場写真への差し替えやDesignPHのリアル操作などもあり、緊張がピークに。しかし、出来栄えはともかく、無事に発表を終えることができました。

外部開口部の解析:高性能化への挑戦

このプロジェクトでは、外部開口部の性能と耐久性向上に力を入れました。

意匠設計→施工図作成→解析のフローを数回繰り返し、解析を重ねた結果、納得のいく仕様を実現しました。

外部開口部の解析では、Certified PH Consultantの高岡利香さんが多大な努力をしてくださいました。

また、外部開口部は山崎屋木工さんのキュレーショナー、木製サッシ+トリプルガラス仕様の高性能仕様となっています。ZEB認定の建物なのに、窓周辺に座ると何となく肌寒いということがあるのですが、本物件では快適に過ごすことが出来るはずです。

PHPPとDesignPHの活用

NOIL新築工事は非住宅の建物なのですがPHPP+DesingPHで性能を解析することが可能です。

DesignPHとは?

プレゼン中の画面に赤く塗られた建物が映っていましたが、これはDesingPHで解析した結果になります。赤く塗られた部分は断熱の外側になっていて、このデータをPHPPに読み込んで計算することができます。

PHPPのメリットと課題

PHPPは工法や建材を問わずに解析できる柔軟性が魅力です。悪い面は特に無いと思いますが、あえて言うならば国産ソフトと比較すると操作方法がアナログなことでしょうか。

厳しい環境下での現場進行状況

厳しい寒さと雪の中、また能登半島地震などありましたが、池田組さんの報告によると現場は着々と進行中とのこと。ホント、.雪国の方々の粘り強さには感服するばかりです。

厳しい環境下での現場進行状況

NOIL新築工事は、ローエナジービルディング(申請予定)を目指しており、工事の進行に合わせ、再解析等これから検討する要件が残っています。引き続きチームで力を合わせ、より良い結果を目指してコツコツと取り組んでいきたいと思います。

年末年始の休業日のお知らせ

YouTubeから歴史を振り返ってみる

当社の業務は本日迄となりました。本年は大変お世話になりました。

2022年12月28日(水)より2023年1月8日(日)まで、年末年始休業とさせていただきます。 

今年もblogの更新など、情報発信が少なかったのが反省点。来年こそはと考えています。

賛助会員として参加しているパッシブハウスジャパンもYouTubeにて情報発信をしています。

パッシブハウス・ジャパンYouTubeチャンネル

私もYouTubeチャンネルを登録しているのですが、YouTubeの仕様が変わったのか、最近になって過去のパッシブハウスについての動画があがってきます。

私は高断熱高気密に目覚めたのが遅く、過去のパッシブハウスの取り組みを詳しく知りませんでした。過去の動画があがってくることで、歴史を知ることができてとても参考になります。

忘備録を兼ねてリンクを紹介したいとおもいます。お時間のある時にでも是非ご覧になってください!

来年も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

パッシブハウス

パッシブハウス(PassiveHouse)特集_TVK

さんむの家 愛着を上手に引き継ぐには

さんむの家 LDK

住み心地、断熱、耐震、全ての性能を向上させる改修工事

第4回日本エコハウス大賞 奨励賞

DATA

所在地:千葉県山武市
構造 :フルリノベーション 木造在来工法(2階建)
延床面積: 100.19m2(30.25坪)
撮影:花澤一欽
竣工 :2017年
施工:(株)進和建築

性能データ

1次エネルギー消費量(年間) 177.08kWh/m2
熱損失係数(Q値) 2.56W/m2・K
外皮平均熱貫流率(Ua値) 0.57W/m2・K
相当隙間面積(C値 実測値) 2.5cm2/m2

断熱性能

屋根 :フェノバボード 60mm
外壁 :アクリアネクスト 105mm
床 :アクリアUボード 80mm
窓 :樹脂窓 (APW330)
玄関ドア :木製断熱ドア (ユダ木工 U値=1.92W/㎡K)
冷暖房 :壁掛けエアコン
給湯 :ガス給湯器(エコジョーズ)
換気 :第3種換気