家づくりを始めようと考えたときに最初にすること

理想の家づくりを成功させる3つのステップ

家づくりを始める前に「住みたい家」を明確にすることはとても大切です。この記事では、理想の住まいをイメージする方法、便利なツール、そして設計者と効果的に共有するコツをご紹介します。これを読めば、家づくりの第一歩がもっと楽しく、スムーズになるはずです!

まず最初にしたいことは自分の住みたい家をイメージすること。

どんなに優秀な設計者でも何の手がかり無しにあなたの住みたい家を設計することはできません。

 とは言われても”わたしの住みたい家って?”

いきなりイメージが湧いてこないかもしれません。

 まずは住んでみて自分が楽しいと思える家をイメージしてみてください。

「日当たりの良いリビングで家族が集まる家」

「ペットと快適に過ごせる広い庭のある家」

「ペットと快適に過ごせる広い庭のある家」

「書斎スペースがありながらもコンパクトな間取り」

「木目が美しいフローリング」

「光が差し込む大きな窓」

「リビングとつながるウッドデッキ」

最初はうまくイメージできなくても心配しなくて大丈夫です。少しずつ考えていくうちに、楽しい家づくりのイメージがきっと湧いてきますよ。

 あなたの住みたい家はあなたにしかわかりません。

頭の中であれこれ想像して 住みたい家をイメージしてみてください。

 そして何となくイメージがまとまってきたらビジュアルを探します。

イメージを文章でまとめることも可能ですが、ビジュアルの方がイメージを伝えやすいと思います

 ビジュアル集めはインターネットや雑誌を使いましょう!

インターネットでPinterestやHouzzを活用


・Pinterestで「リビング」「キッチン」など気になるキーワードを検索して、気に入った画像を保存する。

デザインの参考にするならPinterestがおすすめ。たくさんの画像を簡単に保存できます!
Pinteresはこちら

・Houzzで「デザイン事例」をチェックし、プロのデザイン事例を参考にするのもおすすめ。

houzzはこちら

書店で見つけた雑誌からイメージを収集

雑誌も貴重な情報源です。ネットでは掲載されていない情報もたくさんあります。書店でみつけたり、いつも購読している雑誌などから切り抜き、スクラップブックにまとめると便利です。

スクラップブックで具体的なイメージを整理

最後に雑誌の切り抜きをスクラップブックに貼り、理想の住まいを視覚化する
具体的な色や素材を決める際に役立つキーワードをメモする

 完成したスクラップブックを設計者と共有することで、あなたの理想がより具体的に伝わります。

ポイント: 生活感のある実例より、理想を詰め込んだイメージが伝わりやすい!
理想の家づくりを始める第一歩として、ぜひスクラップブックを作ってみてください!

 家づくりの成功は、あなたの想いを形にすることから始まります。さっそくスクラップブックを作ってみましょう!きっと家づくりがもっと楽しくなるはずです。次の一歩を踏み出してみてくださいね。

https://sachisogo.com/家づくりの3つの大切なステップ

意外と燃えない木材の話:木材の防火性能と準耐火構造の可能性

1.都電に乗って向かった準耐火木造建築の講演会

初めて都電に乗って都電テーブル鬼子母神前へ。

改札が無くて戸惑いましたが、バスと同じ仕組みなんですね!”チン!”というベルの音が発車の合図。夕暮れ時と重なってノスタルジックな雰囲気。

タニタさんの外壁材、ZIGが45分準耐火の認定を取得した記念講演会+懇親会に参加です。

2.木材の防火性能は意外と高い?45分準耐火構造の実力

木材は簡単に燃えるものと思い込んでいませんか?私はキャンプで薪を燃やすのが得意ですからそう思っていました(違)

ですが技術を使うと火に晒されても45分間は燃え抜けない外壁を作ることができるのです。

ちなみに、この45分、火事が発生してから建物が崩れ落ちる前に消火できる時間だそうです。

私の仕事の範囲では45分準耐火の仕様はほとんどありませんが建物の防火を考える時に必要な知識が増えました。

3.建築基準法改正が広げる木造準耐火建築の可能性

今回の講演で建築基準法改正による防火についての違いもキャッチアップ。講師の桜設計集団、安井先生によると、今回の法改正の内容は建物の防火に関しては今後しばらくないほどの大きな内容とのこと。

法改正により今まで木造で建てることができ無かった規模の木造建築が、ZIGの45分準耐火構造+構造設計をクリアすれば、建てることが可能になります。大工さんが住宅以外の建物を建てることができるわけです。

4.温熱性能と耐久性のバランス――在来木造の知見が活きる


サッシについても木造住宅の方が性能が良い(特に温熱)ので温熱に優れた建物にすることが可能になります。ですが耐久性には少し注意が必要そうで、特に柱間に充填断熱をした構造の場合、在来木造の知識がないと問題が発生しそうです。



5.試験体の“萌える”瞬間と、防火・断熱の共通点

また実務を担当された 桜設計集団、加來さんが試験体が燃えている、萌える画像(プロには)を紹介されていました。ですが燃えている炎が小さくて一般人には萌える画像ではありません。もっと炎や煙が充満しているほうが。。。

この事は温熱の分野でも同じこと。しっかりと断熱された建物ほどサーモカメラ画像が均一になってしまい盛り上がらない事と同じ、と腑に落ちました。

6.懇親会で広がる建築談義

懇親会では都電テーブルさんの素材を生かした料理が並び、美味しく楽しむことができました。
初対面の人ばかりでしたが建築談義で盛り上がります。
板金の納まり、伝説の職人話などなど、向かい合っていないと話せない内容盛りだくさん。
 

7.伊礼先生の開発秘話で締めくくり

最後はZIGの開発者でもある伊礼先生の〆でお開きに。開発秘話もなるほどでした。
 
 
タニタさん、楽しい企画をありがとうございました。

補足:防火認定番号や改正内容

  • 外壁材「ZIG」の準耐火認定
     外壁の45分準耐火構造として防火認定を取得。※認定番号は手元資料の正式表記をご確認のうえ記入してください(例:認定番号:****)。

  • 建築基準法改正(概要)
     一定条件を満たすことで、従来は木造で計画しづらかった規模・用途の建築でも、準耐火構造+適切な構造設計により木造化の可能性が拡大。

  • 温熱との関係
     木製サッシ等により温熱性能(断熱・気密)を高水準にしやすい一方、柱間充填断熱の採用時は防露計画・通気層の連続性・開口部まわりの納まりなど耐久性の配慮が必須。

  • 実務メモ
     試験体の燃焼挙動は炎や煙の派手さ=性能ではないことの確認に有用。断熱のサーモ画像が均一になるのと同様、“目立たない”ことが性能の証左になる場合がある。

※本補足は講演時点のメモ的整理です。詳細仕様・認定番号は最新資料をご確認ください。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

台風への備えはできていますか?:雨戸やシャッターで住まいを守る

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雨戸やシャッターで住まいを守る

Facebookで見つけた台風対策の参考投稿をシェアしました。その内容を忘備録としてブログにまとめています。SNSのおかげで貴重な情報を簡単に共有できるのは本当にありがたいですね。

その投稿を忘備録としてblogにまとめてみます。SNSのお陰でこのような貴重な情報がシェアできるようになり、ほんとうにに有難いです!

シェア元はこちら。https://goo.gl/aqdWnb

鹿児島に学ぶ台風対策

投稿主は松尾設計室の松尾代表です。建物の通気部材専門のメーカー、ハウゼコの神戸社長と松尾設計室の松尾代表が座談会を行った時の内容を松尾代表がまとめてFBに投稿されていました。

ハウゼコの神戸社長は鹿児島に勤務経験があり、鹿児島では風速50メートルの台風は毎年経験済みで、その時の経験を話されていたようです。

鹿児島の住宅において行われていた台風対策として以下のようになります。

 

  • 大窓にはすべて雨戸かシャッターをつける
  • 小窓に関しては鹿児島では準防火地域ではなくても網入りガラスを入れる
  • 飛散防止対策としてカーポートにネットをかける。
    台風に慣れてくる?と他人に迷惑をかけないように対策をすることができる。
    ネットはゴルフ場で使っているようなグリーンのネットが多かった。
  • 屋根が飛ぶのは屋根下地が腐っているから。屋根の腐食対策が必要になってくる。


台風21号の風速50メートルを超える暴風雨で被害を受けた関西地方ですが、今後はそのような災害が全国に広がっていく可能性もあります。

今後の家づくりでも、鹿児島の住宅で行われていた対策が重要になってくると思います。

千葉の建売住宅でも、2階に雨戸やシャッターが無い住宅を見かけます。比較的新しい物件のほうがその傾向があるようです。

建物の印象では雨戸やシャッターが無い方がシンプルでスッキリとした印象がしますし、予算が厳しい時には減額の対象にもなってきます。

今まで大きな被害を受けたことが無い地域ですから仕方がないとも言えます。

ですが、これからの異常気象を考えると、雨戸やシャッター無しでは建物に大きな被害を及ぼす可能性が大きくなってきますから、今後の家づくりでは雨戸やシャッターは必須です。

高性能サッシと雨戸の組み合わせは可能か?

標準仕様ではない場合も設置できます!

さんむの家ではYKKの樹脂サッシを採用したのですが、カタログでは雨戸は標準仕様にはなっていませんでした。

ですが、工務店さん、YKKさんと相談し汎用の雨戸を流用して取り付け、工務店さんに鏡板を木製で作ってもらい雨戸を取りつけることができました。

納まりも苦労しましたし、コストアップになってしまったので竣工時は悩みましたが、今年の台風の被害を目にすると、費用と手間はかかりましたが、今となっては安心材料です。

家づくりでは基本性能を重視

家づくりでは住まい手の沢山の理想と実現するための予算の関係があります。

機能満載のキッチン等の設備類に目が行きがちで、断熱材や耐震性など目に見えない部分には後回しになっていませんか?

ですが完成後に追加ですることができない家の基本性能に予算をかけるべきです。

今後は雨戸やシャッターも基本性能の一つになると思いますので、雨戸やシャッターも基本性能の一部と考え、家づくりに取り入れましょう。

まとめ

台風対策は、家づくりやリフォームの際に忘れてはならない要素です。鹿児島の知見を参考に、雨戸やシャッターを採用し、住まいを守りましょう。Facebookでも引き続き情報を発信していきます!

最後に私のFBはこちらです!https://www.facebook.com/oga.kouki

カーポートのネットで飛散防止を

神戸社長のアドバイス:
カーポートのポリカは台風時にブーメランのように飛び、凶器になることがあります。ゴルフ用ネットをかけて飛散を防ぎましょう。飛散物は災害の被害を拡大させるため、各自の注意が必要です。

台風時の飛散画像をみると紙のように屋根材が飛んでいきますが、それぞれにそれなりの重量があり凶器ですよね。

ネットをかける、ちょっとしたことで、災害は防ぐことができます。

飛散物も元をたどれば持ち主がいるわけですから、各自の注意が重要ですね。

本当に災害対策が必要な時代が到来したように思います。

追記

20190203

エコハウス大賞シンポジウム 松尾和也先生の講演より

シャッターとサッシの間に段ボールを詰めるとシャッターがバタつかないようです。

 

 

 

 

建築探訪 千葉県文化会館

千葉県文化会館&中央図書館:近代建築の魅力を探る

近代モダン建築の宝:大高正人が設計した50年の歴史

建築家・大高正人さんが設計した千葉県文化会館と千葉県立中央図書館を建築探訪してきました。
どちらも大高雅人さんの設計した築50年になる貴重な近代モダン建築です。
この建物探訪シリーズでは、設計士の視点から建築の魅力と構造的工夫を読み解きます。高性能住宅とは異なるアプローチの中にも、設計のヒントが詰まっています。

千葉県文化会館では石橋館長にお話を聞くことができました。
昨年は50周年のシンポジウムも開催され、その参加者の多さに驚いたとのこと。
オリジナルの保全に努める一方、現在のニーズに合わせた改修を施し、丁寧に運営されています。

荘厳なエントランスホールとコンクリートの表現力

エントランスホールは、まるで宗教建築のような荘厳な雰囲気を漂わせています。建物はコンクリート打放しですが、表面ツルツルの仕上げではなくて、表面を細かくはつった、はつり仕上げ等もありその表情は豊かです。柱や壁も垂直ではなくて少し斜めになっていたり、曲線を描いていて有機的。

水底のような空間:トップライトが照らすホワイエ

大ホールのホワイエは、トップライトから差し込む水色の光と壁面の水色が相乗効果を生み、まるで水底から水面を見上げているような不思議な感覚に包まれます。

コンクリートの表面が荒々しく力強く感じます。現代の建築にはない表現力が感じられ、まさに近代モダン建築の真髄です

千葉県文化会館と共に、大高正人が設計した 千葉県立中央図書館 も近代モダン建築の代表作として知られています。プレキャスト工法の斬新な構造やワッフル状スラブのディテールに注目。建築技術の視点からも楽しめる建築です。
👉 [千葉県立中央図書館の建築探訪はこちら]

築50年を迎える建築の課題と対応

ですが築50年になる近代モダン建築なので、問題点となるのが設備面の不具合です。人間も50年の年月を重ねれば不具合が出てきますから、建築も同じです。

トイレは竣工時の数では足りなくなっていて、数回増設をしているようです。当時と違って基準も変わり、現在のホールはトイレの数が多いですからね。
ホールの空調関係は、暑さ寒さなどの室温問題で利用者さんからクレームがあるようですが、配管類が埋め込みのために設備更新が難しいようです。旧式の空調設備を運用しているようですが細かい設定ができないようで、運営者としての苦労も多いようです。現代の空調設備ではボタン一つで細かな設定が可能なため、それと比較すると温度調整が難しいようです。

建物案内のピクトサインも、オリジナルはもっとシンプルなデザインだったそうです。こちらも利用者さんの声で現在のピクトサインになったようです。

また補修部材の多くが廃版になっており、床のPタイルの補修なども苦労されています。
オリジナルの近代モダン建築の雰囲気の良さは残していきながら、建物利用者の要望をどの程度反映させていくことができるか課題となっているようです。

近代モダン建築の保存と未来

近代モダン建築は、歴史的価値だけでなく、建築技術の発展の証としても重要です。特に千葉県立中央図書館と千葉県文化会館は、千葉の文化的景観を形成する「千葉文化の森」としての価値もあります。

しかし、設備の老朽化や耐震問題により、解体・建て替えの可能性が議論されています。建築の保存と活用のバランスを考えながら、どうすれば未来へ受け継げるのか、一緒に考えてみませんか?

温熱改修のアイデアと難しさ

今回はパッシブハウスジャパンの高本さんと一緒に見学したのですが、高本さんから”この建物の温熱改修依頼がきたらどうします?”なんて問いかけが!さすがの温熱の専門家です。

コンクリート打放しが特徴の近代モダン建築。コンクリート打放しの構造が熱橋となるため、その対策が課題となります。ある程度の熱橋は我慢する、いや、カーテンウォールで覆ってしまう等アイディアが浮かびます。ファイナルアンサーは”ガラスだけは複層にしてコンクリートの熱橋問題は目をつぶる”では専門家として失格?

唯一無二の近代建築を未来へ:保存と活用の可能性

千葉県文化会館と千葉県立中央図書館は、同じく大高正人が設計した近代モダン建築です。両建築は一体的に計画され、それぞれ異なる魅力を持っています。

👉 [千葉県立中央図書館の建築探訪はこちら]

不思議ですが建物は使っていないとドンドン傷んできます。室内の空気が停滞すると湿気も停滞してカビ等で建物をむしばんでいきます。

千葉県文化会館は唯一無二の貴重な近代モダン建築。オリジナルの良さを残しながら性能面を改善して、少しでも長く利用されることを願います。

千葉県立中央図書館と千葉県文化会館を未来へ残すために

千葉県立中央図書館は DOCOMOMO Japan に選定された近代モダン建築であり、プレキャスト工法の先駆けとしても貴重な建物です。また、千葉県文化会館と共に「千葉文化の森」を形成する重要な建築群であり、一体的な保存が求められます。

現在、千葉工業大学・藤木竜也准教授による『千葉県立中央図書館保存活用検討報告書』が発表されています。 詳細はこちらのBlogをご覧ください。
🔗 [千葉県立中央図書館保存活用検討報告書]

これらの建築が今後も大切にされるよう、関心を持ち続けることが大切です。 保存活動を支援する方法として、以下のようなアクションが考えられます。

  • SNSで建築の魅力を発信する(#千葉文化の森 #近代モダン建築 などのハッシュタグを活用)
  • 保存活動を行っている団体・大学の情報をシェアする
  • 建築探訪や見学会に参加し、関心を持つ人を増やす

この文化的な財産を未来に残していくために、一緒に考えてみませんか?

 

いま見ても斬新なプレキャスト工法 千葉県立中央図書館

建築探訪:千葉県文化会館と千葉県立中央図書館

千葉県文化会館と千葉県立中央図書館を建築探訪してきました。建物は大高正人の設計。

隣接する二つの建物である千葉県文化会館と千葉県立美術館も合わせて設計されたようです。

この建物探訪シリーズでは、設計士の視点から建築の魅力と構造的工夫を読み解きます。高性能住宅とは異なるアプローチの中にも、設計のヒントが詰まっています。

近代モダン建築の名作:DOCOMOMO Japanに選定された図書館

千葉県立中央図書館はDOCOMOMO Japanに選定されている近代モダン建築の一つです。

千葉県立中央図書館はDOCOMOMO 096です。

 

カーテンウォールとワッフル状スラブの美しさ 

この建物は地下2階・地上5階建てですが、隣の千葉県文化会館側からアプローチすると敷地に高低差があるため、2階建てに見えます。

丁寧に割り付けられたカーテンウォールが、繊細で美しい印象を与えます
深い軒の張り出しにより、カーテンウォールに陰影が映り、さらに美しく見えます。

PCa・PC工法とは? その斬新さと技術的特徴

ワッフル状のPCaスラブは、まるで美味しそうなディテールです

持ち出しの梁端部を注意深く観察すると、プレキャスト工法で建設されていることに気が付きました。
エントランスの庇部分も、建物本体と同じワッフル状のスラブ材で構成されており、それがプレキャスト工法の手がかりとなります。
大高正人の設計とは知っていましたがまさかのプレキャスト工法。当時は目新しい工法だったに違い無いです。

PCa・PC工法とは何か?
工場で製作された柱・梁などのプレキャスト部材を、プレストレスにより一体化し建築物を構築する工法です。
柱梁接合部を場所打ちコンクリートで施工する場合や、柱を鉄筋コンクリート造にするなど、敷地や工期・コストなどの条件により様々なバリエーションがあります。

参照:株式会社建研HP

図書館内部の雰囲気と設備の更新

2階の閲覧室から隣の文化会館へつながるブリッジ。文化会館と一体に計画されていたんですね。残念ながら通行禁止。

千葉県立中央図書館は、大高正人の設計によるDOCOMOMO選定の近代モダン建築。その隣にある 千葉県文化会館 も同じく大高正人が手掛けた名建築です。エントランスの荘厳な空間やコンクリートの力強い表現は必見。
👉 [千葉県文化会館の建築探訪はこちら]

建物内部に入ってみると天井のワッフル状のスラブ材が目に飛び込んできます。
現場打ちのコンクリートと違いプレキャストのコンクリート表面は美しいです。
2階の閲覧室も落ち着いた雰囲気。
閲覧用の机や椅子も、建設当時からのものが使われており、当時の雰囲気を感じられます。

ですが設備更新が難しいようで後付けの配管類がいたるところに見えています。
照度も足りないようで照明も追加されていたり、検索用のPC周りも配管だらけ。当時は検索用のPCなどありませんから仕方がないですね。

近代モダン建築の保存と未来

近代モダン建築は、歴史的価値だけでなく、建築技術の発展の証としても重要です。特に千葉県立中央図書館と千葉県文化会館は、千葉の文化的景観を形成する「千葉文化の森」としての価値もあります。

しかし、設備の老朽化や耐震問題により、解体・建て替えの可能性が議論されています。建築の保存と活用のバランスを考えながら、どうすれば未来へ受け継げるのか、一緒に考えてみませんか?

プレキャスト工法がもたらす耐震の課題と保存の可能性

「千葉県立図書館基本構想案」p23より
平成24年に実施した改修計画事前調査の結果、耐震改修が技術的に難しい
問題を抱えていることが判明しており、他にも改修に伴う工事費の不経済性、建物の
老朽化やバリアフリー不足、書庫不足などの様々な問題点を考慮すると、建物自体の
建替えを最も現実的な選択肢として検討する段階にあると言えます。

さらに耐震診断で危険と判断された箇所は立ち入り禁止になっていました。

千葉県文化会館と千葉県立中央図書館は、同じく大高正人が設計した近代モダン建築です。両建築は一体的に計画され、それぞれ異なる魅力を持っています。

👉 [千葉県文化会館の建築探訪はこちら]

残念ながら、この建物の特徴となっているプレキャスト工法が耐震改修を難しくしているようです。
貴重な建築ですが設備の老朽化、耐震性からは目を背けることができません。
ですが、この建物は、やはり貴重な文化遺産です。保存されることが望まれます。

千葉県立中央図書館と千葉県文化会館を未来へ残すために

千葉県立中央図書館は DOCOMOMO Japan に選定された近代モダン建築であり、プレキャスト工法の先駆けとしても貴重な建物です。また、千葉県文化会館と共に「千葉文化の森」を形成する重要な建築群であり、一体的な保存が求められます。

千葉県立中央図書館は耐震改修が困難であるため、建て替えの可能性も議論されています。しかし、近代建築の歴史的価値や、プレキャスト工法の貴重な事例であることから、保存の可能性も模索されています。現在、千葉工業大学・藤木竜也准教授による『千葉県立中央図書館保存活用検討報告書』が発表されています。 詳細はこちらのBlogをご覧ください。
🔗 [千葉県立中央図書館保存活用検討報告書]

これらの建築が今後も大切にされるよう、関心を持ち続けることが大切です。 保存活動を支援する方法として、以下のようなアクションが考えられます。

  • SNSで建築の魅力を発信する(#千葉文化の森 #近代モダン建築 などのハッシュタグを活用)
  • 保存活動を行っている団体・大学の情報をシェアする
  • 建築探訪や見学会に参加し、関心を持つ人を増やす

この文化的な財産を未来に残していくために、一緒に考えてみませんか?

バタフライスツール60周年企画展:カタチの原点 柳宗理

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バタフライスツールが発表され、2016年で60周年とのこと。企画展も巡回で開催されています。

私もバラフライスツールが好きなので建物の撮影時にインテリアとして持ち込む事があります。ひと目みればバタフライスツールとわかるそのデザイン。

私はバタフライスツールをみると、鳥居や「天」の形を連想します。その連想の為か、なんとなく神々しいものを感じ、空間がバタフライスツールに負けてしまいそうです。押しが強いデザインともいえますね。

 

バタフライスツールの構造を考える

構造はとてもシンプル。2枚の成形合板を金具一本でつないでいるだけなのです。

この構造が無ければバタフライスツールが存在しない、ユニークなデザインと表裏一体になっているところが魅力的です。

バタフライスツールをながめていると、“一体、どうすればこんなデザインを発想できるのだろう?”と本当に不思議に思います。一般的なスツールの形、座面と脚の関係なんてどこにもありません。

 

手遊びから生まれたデザイン

60周年企画展ではバタフライスツールのアイディアの原点となった模型が置いてありました。

柳宗理さんも「こんなイスを作ろう」と言う考えからではなく、紙を切ったり、折ったり、曲げたりしているうちにバタフライスツールの形を発想したそうです。

たしかに紙一枚に折り目を一ヶ所いれるだけで紙が立つのですが、これを応用してバタフライスツールになるなんて驚きの発想です。

 

柳宗理 デザインへの姿勢:手を動かす大切さ

こんな発想も普段の柳宗理さんの仕事に向き合う姿勢から生まれたようです。

柳宗理さんのスタジオでは常に原寸のモックアップを作ってデザインの検討をしていたのとのことです。

頭の中でデザインを思い描くのでは無く、手を動かしてデザインを積み上げていく作業だったのでしょう。

私は仕事ではパソコンを使った作業が多く、作業に埋もれて目標を見失うことがありがちです。そんな時にはパソコンから離れ手を動かし、目標を再設定します。すると時には新しいアイディアを思いついたりします。手を動かすことはやはり大切なことです。

あらためて柳宗理さんのバラフライスツールのような、デザインと構造が表裏一体となった発想に憧れます。

建物の設計ではデザインと構造、さらに温熱環境が加わります。

その三要素が表裏一体となった設計を心がけ、バラフライスツールのような無駄の無い建物を提案できるようにこころがけていきます。