パッシブデザインに欠かせない日射の検討
今日は4月2日。年度初めですね。今日はとても風が強かったです。桜は満開ですが強風に耐えてます。
コロナウイルスのニュースがいやでも飛び込んできます。色々不安なことが多いと思いますが自分でコントロールできることに集中して日々過ごしています。
私はリラックスするためにヨガを日課としています。ヨガを習い始めてから3年くらい、太陽礼拝を毎朝の日課としています。太陽礼拝を簡単に説明するとヨガのラジオ体操みたいなものなんですが毎日やることでその日の体調変化にも気づきやすくなったりします。
来年はコロナウイルスもきっと収束して、どんなことを書いているのでしょうね。
そんな中でも粛々と設計を進めています。今回は、シミュレーションソフトを使ったパッシブデザインに最も重要な、日射取得の検討についてお伝えします。
敷地状況を把握する
敷地の形状を地図で確認しました。
南北方向のずれが少なく、日射取得の条件条件は良好です。パッシブ設計では日当たり条件は重要なポイントの一つであり、建物が南面に正対するほど有利になります。
しかし、今回の敷地では、すべてが理想的というわけではありません。
現地調査の結果、次のような状況が判明しました。
- 北面・西面 :道路に接している
- 南面・東面 :宅地に囲まれている
市街地ということもあり、既存の建物が敷地に接近して建てられており、一見して隣地からの日陰の影響を強く受けることが判明しました。西側には6メートルの道路がありますが、驚きの結果が待っていました…。
更地の敷地をシミュレーションする
配置計画の前にやるべきこと
まず、現地で周辺の隣接敷地を調査し、隣接建物の配置や高さを計測しました。そのデータを基に隣地建物を配置し、建物の影響を検討します。
しかし、いきなり建物を設計するのではなく、更地の状態 でまずシミュレーションを行い、隣地建物の日陰の影響 を把握することが重要です。
このシミュレーションをもとに、隣接建物の日陰を考慮しながら、建物の配置計画を進めます。
「ここしかない」という配置計画を見極め、自然に素直な設計を目指す。
これが、パッシブデザインにおける重要なステップです。
シミュレーション結果:冬至での検討
基本案が決まったら、次に 冬至(太陽高度が最も低い日) でのシミュレーションを実施します
11:00頃
11:00を過ぎると、南西の角に日が当たり始めますが、1階の南面にはまだ日射がほとんど当たっていません。北側建物からの日陰の影響が大きく出ています。
14:00頃
14時になると、ようやく南面全体が日射を受けます。しかし、今度は南西の建物からの日陰が建物に影響を与え始めています。
15:00頃
15時には、南西の建物からの日陰の影響で、1階の南面には全く日射が届かなくなります。
日陰は予想しないところから現れる
シミュレーションを行う前は、北側建物の日陰が通り過ぎた後、11時過ぎには日射を邪魔するものはないと想定していました。しかし驚いたことに、西側道路を挟んで南西にある建物から、予想を超える日陰が広がっていたのです。
「これは?シミュレーションソフトの間違いかな…」と思いましたが、現地で確認したところ、ほぼ同じ状況が確認できました。この経験から、シミュレーションソフトの精度を改めて実感しました。
想像だけでは予測しきれない影響が、建物の設計に大きく関わってくるのです。。
外皮性能だけでは快適な家はつくれない
パッシブ設計には日射のコントロールが不可欠
冒頭でも触れたように、パッシブ設計では日当たり条件が重要です。この条件を満たすためには、シミュレーションソフトを活用することが不可欠です。いくら外皮性能を向上させても、冬に日射を確保できなければ、暖かい家にはなりません。
もちろん、暖房設備をフル稼働すれば室温を一定に保てますが、それでは経済的に非効率です。
だからこそ、太陽からの日射を最大限に利用し、自然に素直な設計、つまりパッシブデザインが求められます。
このシミュレーションを通じて、パッシブデザインにおける日射のコントロールがいかに大切か を改めて感じました。
次回予告 & 関連記事
次回は、さらに詳しく シミュレーションを活用するポイント をご紹介します。
シミュレーションで設計を最適化する方法
パッシブデザインを実現するためのシミュレーション活用について、さらに詳しく解説します。
→ 日当たりをシミュレーションする 建物編