天井を見上げて、土と電気の結び目を探す―― オールアースパウダーDIYの記録

先月、国分寺にある「スタジオ・アース」の佐々木さんが主宰するワークショップに参加しました。テーマは、オールアースパウダーを使った塗り壁の施工でした。

テクスチャ
オールアースパウダーの仕上がり。鏝の動きが、そのまま壁の表情として残る。

建築士という仕事柄、現場ではどうしても「監理する側」に立つことが多くなります。
工程を確認し、精度を見て、判断を下す立場です。

けれどこの日は、そうした役割をいったん脇に置いて、
一人の参加者として、土に触れ、手を動かす時間を過ごしました。

数値も図面もありません。
あるのは、材料の重さと、身体の動きだけ。
その単純な関係の中に、住まいと身体を考えるヒントが、
静かに浮かび上がってくるような気がしました。

はじめて
初めてとは思えない手つきで塗りまくる参加者の中、恐る恐る塗る私

ワークショップには女性の参加者も多く、現場は自然と役割分担が生まれていました。
壁の仕上げは女性陣、天井の施工は主に男性陣。

私は迷わず天井を引き受けました。

正直に言えば、初めてのDIYで天井を塗り続ける作業は、なかなか楽ではありません。
腕はすぐに重くなり、首にもじわじわと負担がかかってきます。

それでも、天井に鏝で材料を運び、身体全体でそれを伸ばしていくうちに、
材料の伸びと、自分の動きが、ふと同じになる瞬間がありました。そのときは、理由もなく、ただ気持ちがよかったんです。

天井施工中
天井に鏝で材料を運び、身体全体で伸ばしていく。翌日は筋肉痛に!

その感覚を境に、周囲の音が少し遠のき、時間の流れも曖昧になっていきました。
目の前の天井と、手の中の鏝だけが残るような感覚です。

住まい手が自ら手を動かすDIYには、こうした没入の時間が、たしかにあるのだと思います。

攪拌体験
材料づくりも、全員で体験する。ここから、すべての工程が始まる。

今回使用したオールアースパウダーは、素材としてもとても興味深いものでした。
主材は、メソポア構造をもつ珪藻土です。

高性能住宅の実務では、
「珪藻土はそれなりの調湿材で、過度な期待はしない」
という認識が一般的だと思います。

実験 after
原料となった珪藻土入り(メソポア構造)の水槽は湿度が下がっている

けれど、この素材は、その前提を少しずらしてくるように感じました。

印象的だったのは、組成の潔さです。
多くの塗り壁材に含まれるエマルション樹脂(化学接着剤)が使われていません。

メソポア珪藻土、白土、でんぷん、そして導電繊維のサンダーロン。
それだけです。

樹脂を含まないから、素材は呼吸を止めません。
役目を終えれば、土に還る。
電位を逃がし、湿気を受け止め、そして自然に戻っていく。

とても素直で、良い素材だとと感じました。

今回のワークショップでは、施工の前後で室内の電場測定も行われていました。
スタジオアースではおなじみの工程。

壁や天井にオールアースパウダーを塗る前の状態と、塗り終えたあとの状態。測定器の数値には、はっきりとした違いが現れていました。

電気は目に見えません。
電磁波も、空気のように、そこに「ある」ものです。
ふだん意識することなく暮らしているけれど、確かに空間の中に存在しています。

その変化が、数値として示されると、環境そのものが変わっていることを、実感として受け取ることができます。

導電繊維サンダーロンを含むオールアースパウダーは、壁内に滞留する電位を逃がし、電場を整える役割を果たします。

それは単なる塗り壁というより、空間の性質をそっと調律する層のような存在だと感じました。

素材を選ぶことは、空気を選ぶことでもあり、その場所で過ごす身体の環境を選ぶことでもあります。そのことを、数値と体感の両方で確かめられた一日でした。

これまで自宅改修では、EP(エマルションペイント)やタナクリームなども使ってきました。
それぞれに良さはありますが、電場への配慮と、高い調湿性能を同時に満たす素材には、
正直なところ、あまり出会えていなかったように思います。

オールアースパウダーの大きな利点は、既存のビニールクロス下地を活かし、その上から施工できる点にあります(もちろん、適切な下地処理は前提ですが)。

既存壁を壊して廃棄物を出すのではなく、今の暮らしを包む薄い膜をそっと貼り替える。この軽やかさは、これからの既存住宅改修において、なかなか大きな意味を持つのではないでしょうか。

このブログではこれまで、睡眠や室内環境を、設計や数値の視点から整理してきました。
今回の記事は、そこから少し離れ、身体がどう感じたか、という地点からの記録になります。

私は現在、設計事務所としての活動と並行して、「スタジオアース四街道」としても動き始めています。

今後は補助金も活用し、この拠点そのものをオールアースパウダーで施工していく予定です。
数値による測定と、身体感覚の両面から、空気や場の変化を確かめていきたいと考えています。

施工が整った際には、電磁波や素材の話に限らず、住まいと身体の関係について、静かに話せる場として開いていけたらと思っています。

完成記念撮影
施工完了後の記念撮影。現場には、静かな達成感が!

睡眠を支える「寝室の環境設計」 ――睡眠・環境・住まいをひとつの視点で読む03

第1部では「考え方」を、
第2部では「深部体温と自律神経」の仕組みを整理しました。

最後となる第3部では、
その身体のメカニズムを、住まいからどう支えるか
設計の視点で静かに整理していきます。

血液データや睡眠ログを観察して感じたのは、
寝室は単に眠るための場所ではなく、
身体の仕組みや細胞のリズムを翌日に向けて“整え直す場所”
だということでした。


睡眠のスイッチを入れる最大の条件は、
深部体温(脳や内臓の温度)が静かに下降していくことです。

室温が乱高下すると、
脳は体温調節に追われ、この自然な下降が妨げられます。

身体へのはたらき
安定した室温は、自律神経の負担を減らし、
入眠をスムーズにします。

設計のポイント
夏は26℃前後、冬は18〜20℃をひとつの目安に、
夜間の温度変動をできるだけ小さくすること。
高断熱・高気密の住まいが有利なのは、
この「温度の静けさ」をつくりやすいからです。


湿度は、呼吸器の粘膜や皮膚感覚に直結します。

寝室が乾燥していると、
鼻や喉にわずかな違和感が生まれ、
それが微細な覚醒となって眠りを浅くします。

身体へのはたらき
適切な湿度は粘膜を保護し、
中途覚醒を起こしにくくします。

設計のポイント
冬は40〜60%を目安に。
加湿器が効くかどうかは、
実は「家の気密性能」に大きく左右されます。


光は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌をコントロールする強力なスイッチです 。

身体へのはたらき
夜に強い光、とくに青色成分の多い光を浴びると、
脳は昼間だと錯覚し、修復のスイッチが入りにくくなります。

設計のポイント
就寝1時間前からは、
4000K以下の暖色系照明を使い、
間接照明で空間全体を包むように整えます。


寝室は閉め切ることが多いため、
家族の呼吸によって二酸化炭素(CO₂)濃度が家の中で最も上がりやすい場所です 。

身体へのはたらき
CO₂が1500ppmを超えると眠りが浅くなり、
2000ppmを超えると起床時の頭重感や倦怠感に直結します 。

設計のポイント
計画換気を正しく機能させるためには、
気密性能が欠かせません。
目安として、1000ppm以下を保てると、
朝の感覚が変わってきます。


耳から入る刺激は、たとえ眠っていても脳に届き、交感神経のスイッチを入れてしまいます 。

身体へのはたらき
はっきり聞こえる物音よりも、換気扇や家電、外の道路から響く「低周波」のノイズが、無意識の緊張を生みます 。

設計のポイント
高性能住宅は遮音性が高い一方、内部の静けさが上がる分、
微細な音が気になりやすくなります 。
寝室を道路や騒音源から離す配置計画は、
とても重要な「音の設計」です。


電磁波への感受性は人それぞれですが、自律神経(HRV:心拍変動)に影響を与えるケースを私は測定士として見てきました 。

身体へのはたらき
睡眠中に強い電磁波にさらされると、身体の修復に集中すべきエネルギーが阻害される可能性があります 。

設計のポイント
ゼロを目指す必要はありません。
EMFA(電磁波測定士協会)が推奨する “25 V/m 2.5 mG ” 基準以下を目指します。
「枕元から余分な配線を取り除く」といった、現実的な距離感で整えることが大切です。


家づくりは今、単なる性能競争から、
「そこに住む人の身体の仕組みや回復のリズムを、どう支えるか」
という段階へ進んでいます。

温度、湿度、光、空気、音、電磁波。
これらはすべて、あなたの細胞のリズムや自律神経とつながっています。

住まいという「器」を整え、
そこに日々の習慣を重ねることで、
身体は本来の回復力を発揮し始めます 。

第1部から第3部を通じてお伝えしたかったのは、家づくりは
健康と静けさを取り戻すための、ホリスティックな営み
だということです。
この記事が、あなたの暮らしと身体を見つめ直すきっかけになれば幸いです。

高気密高断熱の家は、睡眠の質を本当に上げるのか? ――睡眠・環境・住まいをひとつの視点で読む02

最近、建築業界でも
「高断熱・高気密の家は健康にいい」
「睡眠が良くなる」
という言葉を耳にすることが増えてきました。

設計の現場に立ち、自分自身の身体データも観察している立場から見ると、
この言葉は半分は正しく、半分は少し足りないと感じています。

数値としての「性能」の裏側には、
もっと静かで、切実な身体の仕組みがあるからです。

この記事では、
睡眠科学・設計実務・8weeks.aiでの観察
この3つの視点から、その関係を整理してみたいと思います。


医学的に見て、深い眠りを支えるためには、
家の性能以前に、次の6つの要素が整っている必要があります。

  • 温度(深部体温の下降)
     眠りにつく際、脳や内臓の温度がゆっくり下がることが重要です。
     室温の乱高下は、この自然な下降を妨げ、眠りを浅くします。
  • 湿度(40〜60%)
     乾燥は粘膜を刺激して中途覚醒を招き、
     過湿は体温調整を難しくします。
  • 光(メラトニンの制御)
     特に夜の強い白色光は、睡眠ホルモンの分泌を抑えてしまいます。
  • 音(交感神経への刺激)
     目が覚めるほどでなくても、
     小さな音が「無意識の緊張」を生むことがあります。
  • 空気質(CO₂濃度)
     寝室のCO₂濃度が高くなると、
     翌朝のだるさとして体感されやすいと言われています。
  • 電磁波(EMF)
    EMF(電磁波)の感受性は個人差がありますが、
    敏感な人は寝つきやHRVに影響が出ることがあります。

建築の視点で言えば、
高性能住宅とは、これら6つの因子を
安定してコントロールするための「器」です。

高断熱・高気密であれば、
夜間の温度変化を1〜2℃以内に抑えやすくなり、
自律神経が休まりやすい「温度の静けさ」が生まれます。

また、気密が確保されていれば、
計画換気が意図通りに機能し、
寝室のCO₂濃度を抑えたり、外部の騒音を軽減することも可能になります。


ここが最も大切な点です。

たとえ高性能な家に住んでいても、
暮らし方が乱れていれば、睡眠は簡単に崩れます。

  • 寝る直前までスマホを見る
  • アルコールやカフェインの摂取タイミング
  • 日中の活動量が極端に少ない

睡眠は、
家(器) × 身体(状態) × 生活(習慣)
この掛け算で成り立っています。

家はあくまで、
「眠りやすい土俵」を整える存在なのだと思います。


私は最近、8weeks.aiを使い、
血液データ(栄養・代謝)と、
日々のヘルスケアデータ(睡眠・心拍変動・歩数)を突き合わせて観察しています。

そこで見えてきたのは、次のようなことでした。

  • 身体の状態が可視化されると、住まいの役割がはっきり見える
  • 回復が必要なときほど、温度や空気の安定が効いてくる
  • 内側(栄養)と外側(環境)が揃って、はじめて睡眠が深まる

これまで私は、UA値という数値を追ってきました。
今はそこに、
「この性能が、住む人の細胞のリズムをどう支えるか」
という視点が重なっています。

8weeks.aiでの観察は、
設計士としての専門性と、
一人の人間としての身体感覚をつなぐ“鏡”のような存在になっています。

暮らしと身体を整える設計――睡眠・環境・住まいをひとつの視点で読む01

高断熱・高気密、パッシブデザイン、電磁波対策……
設計の世界では「住まいの性能」を語る場面が増えてきました。

一方で、この数年で気づいたことがあります。

性能がどれだけ整っていても、
住む人の「身体」や「生活リズム」が整っていなければ
本当の快適さは生まれない。

そしてその逆もまた然りで、
身体が乱れると、性能の整った家でも快適とは感じられない。

私は最近、睡眠・自律神経・生活のログを取りつつ、
自分自身の暮らしを「設計する」ように見つめ直しています。
すると、家づくりと身体の関係が思いのほか深いことに気づきました。

この記事は、
住まい × 身体 × 環境 の関係を、実体験と専門知識からまとめたものです。

最近、私は睡眠データを継続的に観察しています。
睡眠不足が続くと
・朝の気分
・判断力
・身体の温度調整
・ストレス耐性
のすべてが低下していくのをはっきりと感じます。

そして気づいたのは、
睡眠は、住まいの環境の影響をいちばん受けるという事実。

例えば:

  • 寝室が乾燥するとHRV(自律神経)が下がる
  • 早朝の冷え込みが強いと睡眠が浅くなる
  • 寝る前の照明が明るいと入眠が遅れる
  • 翌日の集中力に“昨夜の空気質”が効いてくる

性能の良い家は、この「睡眠条件」を整えやすい。

逆に言えば、睡眠の質が安定し始めた時、その家の“本当の力”を感じられるのです。

家づくりの話では、快適性=温度・湿度
になりがちです。

しかし、実際にはもっと深い。

自律神経が整いやすい住まい という視点が、
今後とても重要になると感じています。

具体的には:

● ① 温湿度の揺らぎを最小にする

急激な温度差は、交感神経を刺激します。
高断熱高気密が求められる理由は、単に省エネではなく
身体へのストレスを減らすためでもある。

● ② 朝の光の入り方を整える

睡眠ホルモンの切り替えは日射が鍵。
パッシブデザインの思想と、自律神経のリズムは密接です。

● ③ 夜の照明を落とす仕組み

LEDの色温度、間接照明の配置は、
“副交感神経を邪魔しない空間”をつくります。

● ④ 寝室の電磁波環境を整える

EMF(電磁波)の感受性は個人差がありますが、
敏感な人は寝つきやHRVに影響が出ることがある。
測定士としても、ここの調整は“住まいの最終仕上げ”と考えています。

この4つは、
家と身体を切り離さずに設計するための最低限の視点です。

住まいを整えることは、実は身体を整えることと同時進行です。

たとえば私は最近、次の3つを小さな習慣として固定しました。

● ① 寝る1時間前に部屋の照明を落とす

● ② 朝のルーティンを一定に保つ

● ③ 夜はスマホ・PCをできるだけ遠ざける

これだけで、

  • 睡眠
  • 気分
  • 朝の活力
  • 判断の静けさ

が驚くほど変わりました。

この「生活の整い」が起きると、家そのものの魅力が変わって見えます。

住まいは“箱”ではなく、
暮らす人のリズムとともに呼吸する存在になる。

私はこれを“暮らし方の設計” と呼んでいます。

建築の世界は、これまで性能や数値が中心でした。

しかしこれからは、身体・暮らし・住まい を一体で考える
“ホリスティックな設計” が求められると感じています。

その理由は明確です。

● 住む人の体質や生活リズムは千差万別

● 睡眠・自律神経が家の快適性を左右する

● 電磁波・空気質など「見えない性能」が重要

● 数字より“暮らしの手ざわり”が幸福を決める

建築と医学は少しずつ近づいています。
8weeks.aiのようなヘルスケア解析ツールは、設計の世界でも活きてくると感じています。

家は「性能」ではなく
そこに暮らす人の身体をどう支えるか
という視点で設計される時代に向かっています。

私は、性能を追求する設計の世界に長くいましたが、最近は“暮らしの静けさ”や“身体の声”を
丁寧に観察する時間が増えました。

すると、家という存在が以前よりずっと立体的に、人に寄り添うものとして見えてきました。

性能 × 身体 × 暮らし

この三つを同じラインで扱うことが、
これからの家づくりの本質になる。

そんな実感が、いまの私の中に静かに育ちつつあります。

暮らしを整えることは、家の未来を整えることでもあります。

これから、この領域について
少しずつBlogでお話していけたらと思っています。

「乾いた空気」とは何か──高断熱住宅と室内空気質を見つめ直す

先日、バウビオロギー研究会の定例セミナーに参加しました。
テーマは『高断熱住宅における冬季の低湿度の実態と室内空気質について』。講師は三田村輝章先生。
高断熱・高気密住宅の設計では空調換気設備がとても重要になり、つねづね関心のあったテーマでした。

高性能住宅はしばしば「冬の過乾燥が問題だ」と言われます。
けれども実際に住んでみて「乾いている」と感じる空気とは、どういうものなのでしょうか?
今回のセミナーは、その問いを再認識する内容でした。

実測と数値から見た乾燥の実態

まずはセミナーの内容を、簡単にまとめます。

従来の研究によると、北日本や東日本では「乾燥を訴える住まい手」が多い傾向があります。
これは地域の気候だけでなく、室温の高さや暖房の種類なども関係していると考えられます。

住宅における湿度の適性範囲は以下のように提示されました:

  • 相対湿度:40〜60%
  • 絶対湿度:7.6g/kg以上が目安
     ※ただし、結露のリスクを考慮する必要あり

また、人は湿度に対しては鈍感だという指摘も印象的でした。
「乾燥している」と感じるのは、単に数値によるものではなく、においや静電気といった感覚的な要因も関係しているのではないかという内容でした。

高性能住宅における実測結果も4件、紹介されました。
パッシブハウスを含んだ高性能住宅において、使われている暖房設備や換気設備、加湿器や空気清浄器など暮らし方の違いによって、室内空気質には明確な差が出ていました。
高性能住宅における“暮らし方”と“空気の質”の関係性は、今後も注目していきたいテーマだと感じます。

乾燥とは「体感」なのか?──感覚と言葉のズレ

このように乾燥の数値がある一方で、実際に住まい手が「乾燥している」と感じるのは、数値だけではとらえられない感覚的な一面があるように思えます。
人間は、温度の変化には敏感でも、湿度に対しては鈍感です。
ですから、私たちは、「埃っぽい」「静電気が起きやすい」といった、不快な違和感から、私たちは自然と「乾燥している空気」と判断している可能性がある──という指摘もありました。
その“言語化されない感覚”をあえて言葉にしてみるという試みが、今回のセミナーの中で印象的な提案でした。

電磁波測定士の視点から──静電気と空気質

セミナーには、EMFA(日本電磁波協会)のメンバーも参加されており、「静電気を感じる空気は、たいてい乾燥している」という意見が紹介されました。

すると、講師の三田村先生から、「静電気って、測れるものなんですか? 測り方があればぜひ教えてください」という逆質問が投げかけられ、ちょっとした緊張感と好奇心が。

空気の帯電性──たとえば「静電気が起きると埃が引き寄せられる」といった感覚──を、もし静電気の測定によって“見える化”できれば、新たな空気質のとらえ方が見えてくるかもしれません。

日常的な感覚と、新たな測定技術。そのあいだに橋をかけるような対話が生まれたことは、とても印象深い瞬間でした。

静電気で困っているゴールデンレトリーバーのイラスト。乾燥した空気を表現するために、毛が逆立ち、困った表情をしている。
「乾いた空気って、こういう感じ…?」 セミナーで出た「静電気を帯びた空気」という話を聞きながら、ふと浮かんだイメージ。 犬だって困ってるかもしれません

実例から学ぶ:高橋建築さんのパッシブハウス

セミナーでは、実際に測定された住宅の実例も紹介されました。
特に印象的だったのは、いずれも高橋建築さんが手がけたパッシブハウス2件です。

いずれも室内空気質の測定に協力されており、高気密・高断熱性能に加えて、実測による検証を大切にされていることが伝わってきました。
こうした「つくる → 測る →見直す」という姿勢は、地域工務店の可能性と誠実さを感じさせます。

また、床下にシリカゲルを敷き詰めた住宅では、自然素材による調湿効果が数値としても現れており、工法や素材の選定、暮らし方の影響力をあらためて実感しました。

空気の“質”と設計のこれから

これからの住宅設計において、「空気の質」はますます重要なテーマになります。そしてその“質”は、単なる物理的な数値だけでは語りきれないことがわかりました。

数値で表せない「体感」や「違和感」を、どう捉えていくか。
その感覚と言葉を設計や測定に橋渡ししていくことが、より深く豊かな住環境づくりにつながるのではないかと感じました。

今後も、こうした実測データや他分野にまたがる議論に注目しながら、私自身の設計実務にも活かしていきたいと思います。

住宅の電磁波対策(電場・磁場)|設計・施工の視点から考える

住宅の電磁波対策 #02 | 電場・磁場の違いと設計の視点


近年、電磁波を気にする人が増えている

最近、住宅の電磁波について気にされる方が増えています。特に、新築やリノベーションを考えている方から、「電磁波の影響を抑える設計はできますか?」と聞かれることがあります。

電磁波の影響は、住宅の構造や電気の配線によって大きく変わるため、設計段階で意識することが大切です。

とはいえ、「電磁波対策」と一口に言っても、漠然としていて何をすればいいのかわからない…という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、電磁波の中でも「電場」と「磁場」 に分けて、設計・施工で気をつけるポイントをまとめました。

電場と磁場によって対策が異なります

電場・磁場の違いについてはこちら→電磁波の基本とその影響

1. 電磁波には「電場」と「磁場」がある

電磁波は、「電場」と「磁場」 に分かれ、それぞれ影響の受け方や対策方法が異なります。

種類発生源影響を受ける要因主な対策
電場(低周波電場)家電や配線壁・床を伝って広がるアース(接地)で低減
磁場(低周波磁場)電流が流れることで発生特に幹線ケーブルが影響発生源から距離をとる

つまり、

  • 電場は「アースを取る」ことで対策が可能
  • 磁場は「発生源から距離をとる」ことで影響を軽減できる

これらを踏まえ、住宅設計における具体的な対策を見ていきましょう。

2. 住宅の構造による電磁波の影響

住宅の構造によって、電場・磁場の影響は変わります。設計段階で適切な選択をすることが重要です

■ 鉄骨造・RC造(鉄筋コンクリート造)

✅ 鉄骨や鉄筋に電場がアースされるため、電場の影響が少ない
✅ただし、家電からの電場、配線からは磁場が発生するので、アースの有無に注意

■ 軽量鉄骨(プレハブ系住宅)

✅ ほとんどのメーカーで電場の影響は少ない構造になっている
✅ ただし、床を伝って電場が広がる可能性があるため、電源周りの対策は必要

■ 木造住宅

✅ アースが取れないため、電場の影響を受けやすい
オールアース構法を採用すれば電場を抑えられる
磁場の影響も受けやすいため、配線計画が重要

3. 電場対策:アースを考える

電場の影響を抑えるための基本は、アース(接地)を取ることです。

🔹 電場を抑えるポイント

✅ アース付きのコンセントを採用する
✅ 床に電場が広がらないように、家電の配置や配線を工夫する
✅ 木造住宅の場合、オールアース構法を検討する

4. 磁場対策:配線計画がカギ

磁場は「アースでは防げない」ため、距離を取ることが重要です。

住宅内で特に注意すべきポイントは、電気の引込ケーブル(幹線)です。

✅ 磁場の影響を受けないためには 60cm以上の距離を確保 する
✅ 幹線ケーブルの位置を設計段階で把握し、寝室やリビングに影響しないように配置
✅ 幹線の位置は、現場で変更されることもあるため、施工時にチェックする

5. 手軽にできる電場対策:「プラグインアース」の活用

電場の影響を減らす手軽な方法として、プラグインアース を利用できます。
工事不要で簡単に導入可能
寝室やデスク周りなど、ピンポイントでの電場対策に最適
アースリネンやアースベースと組み合わせると、より効果的

ただし、注意点として、
住宅全体の電場を低減するものではなく、補助的な対策

千葉で電磁波対策を検討している方へ

「プラグインアースは電磁波測定士のみが販売可能です。詳細な測定・相談をご希望の方は、お問い合わせください。」

6. まとめ:住宅の電磁波対策は「知識」と「計画」がカギ

🏡 住宅の電磁波対策は、設計段階での計画が重要!

電場はアースで低減できる(木造住宅は特に注意)
磁場は「発生源から距離を取る」ことが対策の基本
幹線ケーブルの配置を慎重に計画し、60cm以上距離を確保

プラグインアースは手軽な対策として活用可能

これから新築・リノベーションを検討している方へ


電磁波対策を設計段階で取り入れることで、より快適で健康的な住環境を実現できます。気になる方は、専門家への相談を検討してみてください。

住宅の電磁波対策01 BLOG記事は こちらです

千葉で電磁波対策の相談受付中!

設計段階での電磁波リスクの診断や、具体的な対策をご提案できます。 オンライン無料相談も実施中。お気軽にお問い合わせください!
オンライン無料相談も実施中。お気軽にご相談ください!

📩 お問い合わせはこちら

住宅の電磁波対策|住まいの健康を守るために

住宅の電磁波対策 #01

住環境における電磁波対策の重要性

現代の住環境は、空気、温度、湿度、そして電磁波という4つの要素が健康を大きく左右します。特に海外では、電磁波対策が重要視されており、対策が進んでいるのが現状です。しかし、日本ではまだ普及が進んでおらず、住環境改善の一環として取り組むべき課題といえます。
このたび、当HPに「電磁波対策」ページを新設しました。

このページでは、建築士としての経験とEMFA認定2級電磁波測定士としての知見を活かし、住環境を改善するための具体的な対策やサービスをご紹介しています。

千葉の電磁波測定士+建築士が提案する住まいの健康づくり】のページはこちら

そして今回のBLOG記事では、先日参加した電磁波測定士の勉強会でおこなったQAをもとに、電磁波対策に関する具体的な内容をお伝えします。


炭を使った製品の効果と課題

Q1. 電磁波対策として炭を練り込んだ製品が注目されていますが、効果はどのように評価されていますか?
A1.
炭素には電導性があり、アースを取り付けることで電位を下げることが可能です。しかし、以下の課題があります:

アースの取り付け方法の適切さ
酸化による電導性能の維持期間
電流が流れる際のリスク

これらの課題については第三者機関による検証が必要 です。
また、炭を使った製品は主に調湿や消臭といった補助機能 に優れていますが、電磁波対策としては限定的 です。
快適な室内環境を実現するためには、適切な空調設計 が不可欠です。


電磁波を防ぐ建材の活用:オールアース工法

EMFAでは、電磁波シールド施工を推奨していません
電磁波対策として重要なのは、「アースを取ること」「距離を取ること(離隔距離の確保)」 の2点です。

そのため、「電磁波を防ぐ建材の活用」=「オールアース工法」 という考え方が重要になります。
オールアース工法では、アースを適切に取り、電磁波の影響を低減する施工が採用されます。


距離を取る(離隔距離の確保)

電磁波対策として、「距離を取る(離隔距離を確保する)」 ことが有効です。
特に、電線の取り込み口から分電盤までの経路設計 では、寝室などの長時間滞在する空間を横断しないようにすることが重要 です。

分電盤を寝室から離れた位置に設置する
電気配線経路を工夫し、寝室を横断しないルートを採用する

電磁波の影響を最小限に抑えるために、寝室の配置を考慮し、電気配線経路を適切に設計することがポイント となります。


アース付きコンセントと住宅設計の工夫

Q2. アース付きコンセントが普及すれば、電磁波対策は不要になるのでしょうか?
A2.
EMFAでは、電磁波対策として**「アーシング」と「離隔距離」を推奨** しています。
アース付きコンセントは電子機器からの電磁波対策として有効 ですが、壁内の配線から発生する電磁波には別途対策が必要 です。

2022年に改定された内線規程では、水回りだけでなく住宅全体でアース付きコンセントの設置が推奨 されています。
これにより、漏電や火災のリスクを軽減できるだけでなく、電磁波対策にも一定の効果が期待 できます。

加えて、設計段階で電気配線経路を工夫することで、壁内からの電磁波リスクをさらに低減 することが可能です。


アース付きコンセントがない場合の対応策

アース付きコンセントが設置されていない場合は、「プラグインアース」の使用を推奨 しています。
これは、簡単にアース機能を追加できる製品 で、電磁波測定士を通じて購入可能です。

📌 私はEMFA認定2級測定士として、この製品の対面販売や使い方のアドバイスを提供しています。
📌 詳細が気になる方は、お気軽にお問い合わせください

プラグインアースの詳しい情報はこちら


まとめ

電磁波は目に見えないため、軽視されがちですが、健康に大きな影響を与える可能性があります。
今回の記事では、炭を使った製品の課題・アース付きコンセントの活用法・壁内配線からの電磁波対策 など、具体的な対策をご紹介しました。

📌 電磁波測定・住宅の電磁波対策をご検討の方へ
私は EMFA認定2級電磁波測定士 として、住まいの電磁波測定やアドバイスを行っています。

  • 住まいの電磁波が気になる方
  • オールアース®工法の導入を検討している方
  • 電磁波対策について詳しく知りたい方

お気軽にご相談ください!

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自然素材で実現する快適空間:持続可能な住まいづくり

自然素材で仕上げた壁や天井は、ただ美しいだけでなく、住む人の健康と環境にも配慮した選択です。また時間とともに美しく経年変化する様子も楽しめます。

住まいの壁や天井を、環境に優しい自然素材で仕上げる選択が注目されています。中でも、日本エムテクスの「ビーナスコート」は、アップサイクル素材を使用し、持続可能な住まいづくりに貢献する製品として人気を集めています。本記事では、ビーナスコートの特性や施工例、環境面でのメリットをご紹介します。

ビーナスコートの特徴と魅力

『卵からうまれた仕上げクリーム』というキャッチフレーズが示すように、ビーナスコートの主原材料は「卵の殻」と「火山灰」です。この2つの材料が持つユニークな特性を活かし、以下のような特徴があります:

  • 美観と経年変化:
    • 自然素材ならではの質感と、時間とともに味わいが増す特徴が魅力です。
  • 意匠性の高さ:
    • 塗装でも左官仕上げでも施工可能で、ローラーやコテ、吹付けなど、施工方法を選ばない柔軟性があります。ビーナスコートを施工する際には、下地処理が特に重要です。下地が均一でないと仕上がりに影響が出るため、適切な補修を行うことが不可欠です。

「卵の殻」と「火山灰」のどちらも、本来廃棄される材料をアップサイクルして活用しており、地球環境に負荷をかけない製品と言えます。

ビーナスコートの機能として、調湿効果や臭気吸着効果が挙げられます。ただし、これらは単独で大きな効果を期待するものではなく、エアコンや換気設備を補完する役割と考えると現実的です。それよりも、自然素材の美しさや経年変化による味わいが住まい全体の価値を高める大きな要因となります。

自然素材の仕上げは初期費用がかかる場合がありますが、経年変化による味わいが生まれることで、結果的にコストパフォーマンスが良い選択となることが多いです。コストが気になる場合は、壁はビーナスコート、天井はオガファーザー仕上げといった組み合わせもおすすめです。

サンブスギのような無垢材の床仕上げとの相性も良いビーナスコートは、空間全体を調和の取れたものに仕上げます。

日本エムテクスの取り組みとアップサイクルの価値

日本エムテクスの製品開発の根底には、「資源循環型社会づくりへの貢献」という理念があります。同社は廃棄される材料をアップサイクルして製品化することを得意としており、その取り組みには深い共感を覚えます。

「新しい素材を使わず、既存の資源を活かして作る」という発想は、持続可能な社会の実現に必要不可欠な考え方です。ビーナスコートのような素材は、環境負荷を抑えつつ美しい仕上がりを実現できるため、住宅設計において重要な選択肢となります。

壁・天井を自然素材で仕上げるメリット

自然素材を選ぶことで、以下のような多くのメリットが得られます:

  1. 美観と経年変化:
    • 自然素材ならではの美しさと、時を経るごとに味わいが増す特性。
    • 例えば、リビングルームの壁にビーナスコートを使用した際、昼間の自然光を受けて壁が柔らかな光沢を放ち、落ち着いた空間を演出しました。夜間はブラケット照明の間接光が優しく写し出される影のグラデーションも美しく感じます。
  2. 意匠性の高さ:
    • 部屋全体の統一感と自然な風合いが得られます。
  3. 環境負荷の軽減:
    • 輸送距離の短縮やリサイクル材料の使用により、環境への負担を軽減。

結論: 自然素材で未来を創る住まい

自然素材を壁や天井に取り入れることで、住まいに健康的で心地よい空間を提供し、持続可能な社会にも貢献できます。

自然素材は新建材と比較をするとコストアップになりますが、工夫をすることで取り入れることも可能になりますので、是非検討してみてください。例えば、天井にはオガファーザー仕上げを採用することで、コストを抑えつつ美観を保つことができます。

これからの住まいづくりを考える際には、環境にも住む人にも優しい選択肢として、自然素材を取り入れるアイデアをぜひ取り入れてみてください。

木造技術の進化と可能性 ~ ヘルマン・カウフマン氏の視点

240926 KHさん


先日、建築家ヘルマン・カウフマン氏(以下H.K氏)の講演会に参加してきました。
2018年にも同氏の講演を聴講しましたが、今回は6年ぶりの再講演です。(※2018年の講演記事はこちら

今回の講演テーマは以下の通りです。

「木造建築の未来 ~ 木造技術とモダン建築の融合:地域経済を拓く伝統と革新」

H.K氏の審美的な建築事例はもちろん魅力的でしたが、講演中に特に気になったいくつかのキーワードについて掘り下げてみたいと思います。

大工の仕事からスタート

H.K氏の講演では、フォアベルク州で主流となっている「住戸ユニットタイプ(3Dボリューム)のプレファブ建築」が紹介されました。このシステムは、大工の負担を軽減するだけでなく、若い世代の大工が仕事に就くきっかけにもなっているとのことです。工場内の環境は、デザイン性が高く、洗練された働きやすい場の印象を受けました。また、フォアベルクでは、住戸ユニットの陸上運搬も日本より大きなサイズが可能であるという点も興味深いです。

ちなみに、日本で運搬可能なサイズについては、ワンルームタイプの短辺がプランニングに影響を与えることが考えられます。
※日本で運搬可能なサイズ(道路交通法の制限内)
短辺:2,400mm
長辺:5,400mm(4トンユニック積載)、7,200mm(10トンユニック積載)
高さ:約2,700mm

日本ではどうだろうと考えた際、思い浮かぶのは千葉のウッドステーションやモックさんの千葉工場です。現在、日本では2Dボリューム(大型パネル)が主流で、モックの工場でも大型パネルを製作しています。

私自身も大型パネルを導入した経験がありますが※FB投稿です、建方の際に大工さんの重労働が軽減されるだけでなく、品質管理や工程管理がより正確になり、非常に良いシステムだと感じました。さらに、ウッドステーションやモックさんが導入しているシステム全体は、フォアベルク州の技術水準に非常に近づいていると感じました。これは木材の品質管理に限らず、製造工程や作業環境、大工の負担軽減に至るまで、フォアベルク州で実践されている技術やプロセスに近いものが日本でも実現しつつあります。

2018年の講演当時、ウッドステーションやモックさんの技術はまだ存在していませんでした。

それが今、これらのシステムが現実となり、実際に稼働していることに深い感慨を覚えます。
未来の可能性として描かれていた技術が、数年の間にここまで着実に発展し、現実のものとなっている様子を目の当たりにすると、木造建築の進化のスピードと、その背景にある「伝統と革新」の力強さを改めて実感させられます。

私自身も、この進化の一端に触れ、大型パネル技術を採用できたことに、静かな喜びを感じています。時代の流れと共に、私たちの仕事も少しずつ進化し続けていることを実感し、これからも建築の可能性を広げていければと願っています。

また、フォアベルク州では混合林が主流で、モノカルチャー(トウヒの単一林)は伐採後に全伐になってしまうため、環境への影響が大きく、望ましくないとの話がありました。ただ、少し聞き取りが難しく、十分に消化できなかった部分もあり、少し残念です。

次回は、黒部パッシブタウンについての話を書いていきたいと思います。

続きはこちらです:厳しい規制の中で生まれる創造性:カウフマン建築が教えること

6月のニュースレター バウビオロギー講座受講中です

Baubio 新25の行動指針

2024年から始めた月の振返り、しばらく下書きのまま放置してしまいまして、月末の投稿です。こんにちは、Koukiです。

数か月前のお話、バウビオロギー講座のスクーリングに参加しました。現在は全講座の1/3まで受講している段階で、今後はオンラインにてスクーリング講座が開催されるようです。

日本バウビオロギー研究会の通信講座を受講しています。

日頃の活動として、PHJメンバーの設計した建物を見学したり、昨年はミライの住宅さん主催の住宅空調講座@埼玉に参加しています。当然ながら、高性能住宅では全館空調が多く、エアコンなどの機器を利用した考え方が主流になっています。

しかしながら、夏季の高温多湿の外気を取り入れて通風でどうにかしようという考えは今さらありませんが、一方で性能や効率に特化した設計や思想だけではバランスが悪いと考える機会も増えてきました。さらに、EMFA(日本電磁波協会)の2級測定士の試験でもバウビオロギーについて軽く触れていまして、そこからバウビオロギーへの興味が広がっていきました。

バウビオロギーを学び始めて分かったことは、その名が示す通り、建築・生命・論理を包括するビジョンと範囲の広さです。つまり、”ホリスティックに考え行動する”という目標のためには、幅広い知識が必要不可欠なのです。そのため、講座テキストも多岐にわたり、建築技術だけでなく、生態学、環境科学、心理学、さらには哲学的な要素まで含まれています。

バウビオロギーの考え方は、単に建物の性能や効率を追求するだけでなく、人間と自然環境との調和を重視します。言い換えれば、これまで学んできた高性能住宅の設計とは異なる視点を提供してくれたのです。例えば、自然素材の活用や室内の空気質、電磁波の影響など、従来の設計では見過ごされがちな要素にも注目します。

また、バウビオロギーは持続可能性にも重点を置いています。すなわち、エネルギー効率だけでなく、建材の生産から廃棄までのライフサイクル全体を考慮することで、真の意味での環境負荷の低減を目指しているのです。

まだまだ講座の半ばですが、今までの学びを通じて、私は設計者としての視野が大きく広がったと感じています。高性能住宅の技術的な側面と、バウビオロギーの全体論的なアプローチを融合させることで、より豊かで持続可能な住環境を創造できる可能性が見えてきました。

今後は、これらの新しい知見を自分の設計実践にどのように取り入れていくか、具体的な方法を模索していきたいと思います。同時に、クライアントにもこの新しいアプローチの価値を伝え、共に理想的な住まいづくりを進めていければと考えています。講座の終了までにしばらく時間が必要ですが、今後の受講がとても楽しみです。

バウビオロギーの学びは、私にとって単なる知識の獲得以上の意味を持ちました。それは、建築実務者としての責任と可能性を再認識する機会となったのです。