YKK APW フォーラム&プレゼンテーションに参加

つくば

YKK APWフォーラムつくばに参加してきました。
プレゼンテーションは関西の建築家 Eee works 代表の日下洋介先生です。
日下先生は性能とデザインが両立する建物設計を実践されており、私達も目指している性能とデザインの両立を学んできました。

温熱環境設計について大きな学びがあり、設計時のシミュレーションを行い事前に確認することの大切さを改めて確認。
遅れながらも、私も建物燃費ナビ、ホームズくん試用版を試しているところでしたので、今回の講演を聴講し採用に迷いが無くなりました。
しかしながら他ソフトの連携、使い勝手等、どちらのソフトを導入するか迷っています。
幸いにも、省エネ建築診断士セミナーを受講する予定なので、その後に決定する予定です。

講演内容は聴竹居からコルビジェを通して機能、性能、デザインの話へ。
最新作の紹介もあり飽きることの無い講演でした。
帰路、街路樹の隙間から見えるカーテンウォールの建物を見て気がついたのですが、講演会場がつくば学園都市なのでコルビジェを絡めたのでしょうか?次回機会がありましたらお聞きしてみたいです。

YKKさんが主催するYKK APWフォーラムは貴重な情報収集の場。
一年毎に変わる省エネ関係の法令などを整理することができます。
設計事務所にはとても有難いことです。
継続して開催されることを期待します。

YKKさん、日下先生、ありがとうございました。

さんむの家改修工事06:工業製品の魅力

ガルバリウム鋼板小波板を採用した事例

山武の家は、山武地域でよく見られる昔ながらの切妻屋根の形をしています。
現在よく見られる高性能住宅のような総二階の建物ではなく、2階建てに下屋が取り付いたデザインです。
40年以上前、性能(燃費、耐震)やデザインやを意識せず、大工さんが普請で普通に建てた家でしょう。

今回の改修工事では窓の大きさ、軒の出等を調整するくらいで、大きな外見変更をしていません。
それは、過去の思い出をつなぐ意味合いで旧い部分を残しながらのリフォームを選択しているからです。40年以上そこに建っていた雰囲気を大きく変えることをしたくなくて大きな外見変更をしていないのです。

北立面
外壁仕上げ:ガルバリウム鋼板小波板、パッシブデザインの為にシルバーを採用

しかし、建物の細部を丁寧に調整することで全体の雰囲気を大きく変えることができると考えています。
派手なデザインでは無く、シンプルな形に素材感を生かした仕上材で普通の家を目指しました。

外壁材は耐候性とコストを考慮してガルバリウム鋼板の小波板としました。
ブリキの小波板はこの地域でも倉庫に使われている材料です。同じ小波板でもガルバリウム鋼板の小波板は耐候性に優れていて、ブリキ板とは比べものになりません。
サイディング等のメーカー建材と比較すると豪華さでは劣りますが、素材感を活かした仕上にはもってこいです。
またメーカー建材は廃番になってしまうと修理が不可能となってしまいますが、こういった工業材料でしたらそういった心配は必要ありません。
またサイディング材の多くは10年ほどすると劣化が激しく、再塗装やシーリングの打ち直しなどの手間がかかります。
その点、ガルバリウム鋼板のような工業製品はメンテナンス性にも優れており、長期的に考えると暮らしに寄り添う素材だと言えます。

色についてはシルバーにしたのですが、それにも理由があります。
最近よく見かける、黒い外壁も候補にあがりました。黒い外壁と木部のコントラストも美しいいです。
※山武の家改修工事では、一次エネルギー消費の削減も重視しています。太陽からの日射による温度の上昇を考えた場合、黒色系と白色系の外壁を比較したとき、白色系の方が遮熱効果が大きいです。ですから外壁を白色系のシルバーにすることにより、遮熱効果を狙っています。

※2025年追記
外皮の断熱強化によって、1次エネルギーが外壁の色によって影響を受ける可能性はシミュレーションによります。

建物性能を向上させるためには決まったやり方があるわけではありませんがこう言った小さな積み重ねが大切なんです。基本を押さえて定石を一つ一つ積み重ねていくことが大切だと考えています。
出来ることをやっていけば、少しずつ建物性能は上がっていきます。

工業製品は一見すると味気ない素材に思えるかもしれません。ですが適材適所で使えば、意匠と性能の両方を満足する素材だと考えています。

2025年追記

2017年当時に書いたこの記事を読み返すと、いまも「工業製品の持続性」という視点は変わらず大切だと感じています。また、最新の知見も加筆しました

工業製品はサイディングなどの既製品建材に比べて耐久性が高く、劣化が少ないため、永く使える素材です。
修繕の手間を抑えながら安心して使い続けられる点は、建物の資産価値を守るうえでも大きな利点となります。

更新や補修の頻度を減らし、世代を超えて住まいを活かしていくことこそが、サステナブルな住まいづくりにつながります。

👉 設計5原則「工業製品の魅力」について詳しく読む

さんむの家改修工事05

さんむの家改修工事が始まりました。

築40年の住宅のリフォーム工事です。

断熱改修、耐震改修、間取りの改修、スケルトン改修です。

 

工事の中断がありましたが無事再開しました。

現在、断熱工事の真っ最中です。

 

年賀

新年おめでとうございます。

旧年も日々仕事に励むことができました。ひとえに皆様のおかげです。

現在、地球温暖化による気候変動が生態系や生物に影響をおよぼしていることは確実だと思います。

日本ではパリ協定に基づいて地球温暖化対策の一つとして住宅分野の消費エネルギー削減を求められています。

私たちも将来にこの問題を先送りしないように少しずつですが解決をしてきたいと考えています。

簡単に説明しますと住宅で使用する電気ガスの使用を抑える省エネルギー対策です。

  • 建物の断熱性能を上げ高熱費を節約
  • 性能の良い設備を使用して光熱費を節約

以上の2点を目標として設計に取り組み、節約した程度を数値やお金で見える化していきたいと考えています。

もちろん、今まで通り、住み心地、気持ち良さ、も大切にして取り組んで生きます。

本年もよろしくお願いいたします。

 

 

さんむの家改修工事 04:築40年の家を未来へ

リフォーム工事の概要と目指すゴール

さんむの家改修工事が始まりました。
築40年の住宅を、断熱性や耐震性の向上を中心に、スケルトン改修で住まい全体を一新します。単なる修繕ではなく、現代のライフスタイルに合わせた快適で安心な住まいを目指した工事です。

太陽光パネル「エコテクノルーフ」の採用理由

太陽光パネルの工事が始まりました。
さんむの家では タニタハウジングが提供する『エコテクノルーフ』を採用しました。
一見すると通常の太陽光パネルに見えますが、実は屋根葺き材と一体化した革新的な部材です。

この工法の良い所は屋根パネルと屋根下地材の間に通気層を設けることができること。
通気層の効果によって屋根下地の通気性が確保され、耐久性の向上が期待できます。
この効果を有効にするためにはルーフィング材の選択が大切になり、透湿ルーフィング材の「タイベック ルーフライナー」を選択しました。

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パネル設置完了。最近の降雪に備えて雪止め付きです。
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屋根詳細です。通気槽が確認できます。

課題克服とコストへの対応

良い所ばかりでは無いのが現実世界。そう、唯一の課題はコスト面です。
屋根葺きが必要無いので屋根工事が不要になった分を陽光パネルの設置に補充することができるのですがそれでも少し足りません。
タニタさんの話では、大手メーカーさんと比べて出荷量が少ないので割高になるとのこと。

ですがコスト面だけを見て高い安いだけで判断では総合的に良い建物は完成しません。
最終的には屋根下地材の耐久性向上と屋根部材の軽量化による耐震性能の向上を総合的に判断していただき採用しました。

施工現場で感じた新技術の可能性

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アルミ残の間に太陽光パネルを落とし込みます

施工方法は屋根下地材にアルミ残を取り付け、そこに屋根パネルを落とし込んでいきます。
この構成のために部材の精度がかなり高いようです。
施工の様子を見ていると、パネルの落とし込みも緩すぎず、きつすぎない絶妙な精度で進められているのが印象的でした。

また、新しい工法の採用については進和建築の千葉さんに相談し、十分な理解を得ることができました。千葉さんの協力により、販路の確保や工事施工の講習会など、多方面でサポートをいただきました。

このような新しい工法を実現するには、施工業者の理解と協力が欠かせません。従来の工法を使用すれば手間を省ける場面もありますが、新しい挑戦には積極的な協力体制が必要です。

未来へつながる家づくりへの期待

新しい工法の成果がどのような形で暮らしに役立つのか、完成が待ち遠しいです。
今回の改修では、耐震性や断熱性が大幅に向上し、四季を通じて快適で省エネな住環境を実現することを目指しています。また、太陽光発電と一体化した屋根材の採用により、環境負荷を軽減しながらエネルギーを自給できる持続可能な暮らしが可能になります。

完成後は、リフォームによってどのような生活の変化が生まれるのか、実際の暮らしの中で体感しながら、さらに深い価値を発見していければと考えています。

この家が地域や社会全体にとっても一つのモデルケースとなり、多くの人々に新しい住まいの可能性を示せることを願っています。

さんむの家改修工事03

さんむの家改修工事が始まりました。

築40年の住宅のリフォーム工事です。

断熱改修、耐震改修、間取りの改修、スケルトン改修です。

耐震改修工事が進んでいます。

建物の傾きを修正して柱と梁の緊結作業行いました。

また2階床の水平構面を確保するために24㎜の構造用合板貼りとして

います。

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さんむの家改修工事02

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さんむの家改修工事が始まりました。

築40年の住宅の改修工事です。
断熱改修、耐震改修、間取りの改修、スケルトン改修です。

工事は構造体の補強が始まっていました。

昭和56年以前の建物ですから、いわゆる旧耐震と呼ばれる基準で施工されています。
現在の耐震基準に近づけるために耐震改修を行います。

大きく分けると基礎と上部構造に分かれるのですがまずは基礎から上の部分の耐震改修からスタートです。

まずは柱と梁の仕口が金物でしっかりと固定されていませんので、まずは金物の取り付けからスタートしています。

今回は工務店さんの提案により構造体に穴を開けずに取り付ける金物を使用しています。

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今後は2階の床の水平構面を確保するために構造用合板で補強する工事を予定しています。

いずれも柱の傾きを調べ、修正しながらの作業です。
新築工事と比べ手間がかかりますし、大工さんの腕次第のところもあります。
今回の大工さんはベテランの大工さんで、その点では安心してお任せできます。

さんむの家改修工事 01

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さんむの家改修工事が始まりました。

築40年の住宅のリフォーム工事です。
断熱改修、耐震改修、間取りの改修、スケルトン改修です。

計画を話すと”建て替えた方が安くて早くて手間がかかりませんよね?”と言われることも少なくありません。
ですが、改修して住み続ける理由もあるのです。

上棟の状態まで解体してから改修するスケルトン改修です。
断熱改修、耐震改修はもちろんのこと、以前の雰囲気を少しでも残しながらさらに住み心地の良さを求めていきます。

解体がおおかた終了して現況確認です。

無断熱のお陰もあり、土台、柱、梁の状態は良好です。

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丸鋼ですが配筋を確認でき、無配筋基礎では無いようです。しかし基礎が連続していないので対応を考えます。

一部シロアリの食害も見られましたが途中で逃げてしまったようです(良かった。。。)

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おまけ 小動物の巣も。。。

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無事採択されました

住宅省エネリノベーション促進事業の申請、無事に採択されて安心しています。
築40年、無断熱の住宅の改修です。
概要は、耐震改修、気密断熱改修、間取りの変更などスケルトンリフォームとなります。

長年暮らしている生活スタイルを大幅に変更することの無いように、水回りの位置はほとんど変更していません。
トイレだけは将来を見越しては広くしました。

高断熱化することにより健康に良いことは実証されています。

皆さんも補助金等も利用して断熱改修を考えてみてはいかがでしょうか?

申請をすませました

一般社団法人 環境共創イニシアチブによる住宅省エネリノベーション促進事業の公募が開始されています。

当事務所でもどうにか申請を済ませることができました。
現在、審査中ですが申請がおりるまで安心できません。。。

この事業の簡単なおさらいをしてみます。

  • 住宅の省エネルギー改修(省エネリノベーション)に対して上限150万円の補助金を受け取る事ができます。
  • 居室を中心に天井・床・壁・窓のそれぞれについて断熱改修工事を行い、その割合に応じて補助金の支援が受けられます。
  • 戸建て住宅では断熱改修工事に加えて高性能な家庭用設備(高効率給湯機等)の導入についても補助金の対象になります。

使用する建材はSIIの定める要件を満たしている物で新品であることや、現在、工事に着工していないこと等
いくつかの制限事項がありますので詳しくはお問い合わせください。

今年度中に大規模なリフォームを予定されている方は、支援対象になる可能性がありますので一度検討してみてください。

また、今回の申請を通してわかったのは当事業が求める省エネに対するレベルの高さです。
登録されている建材リストを精査するとサッシはLIXILのSAMOS-X等高級グレードが登録されており、リフォームでこのレベルが標準になるのかと少々驚きでした。
「住宅省エネリノベーション促進事業」は経済産業省が定めた交付事業、今後、住宅省エネリノベーションに対して国が求めているレベルをうかがい知ることができます。

熊本地震の以降、建物の耐震性能についても関心が集まっています。
耐震性能と合わせ、省エネ性能を満足する設計を心がけて生きたいです。