温室の再生から生まれたレストラン——Ristorante ZONA VOCE 改修事例

このプロジェクトは、私が自営で設計業務を行っていた時期に手がけた仕事です。
インテリアデザイン会社さまからのご依頼で、法規や性能をクリアするための実施設計を協働で担当しました。

既存の温室をレストランへ用途変更し、完了検査済証の取得まで確実に進めた実例です。
温室リノベーションは、法規・構造・設備の調整が難しく、専門性の高いプロジェクトでした。

温室ならではの光を活かしながら、開放的で心地よい飲食空間へ再生しています。
「温室レストラン」や「飲食店改装」「店舗リノベーション」を検討されている方の参考としてご覧ください。

外観01
Ristorante ZONA VOCEエントランス

完了検査済証のない鉄骨造の温室をレストランに用途変更し、検査済証を取得するという難しいプロジェクトでした。完了検査済証を取得できたことで、今後の資産価値や建物評価の向上にもつながっています。

私たちは、インテリアデザイン会社さんのグランドデザインを実現するため、裏方として法規を満たすための基本設計・実施設計を担当しました。用途変更と増築申請を組み合わせることで法規をクリアしています。

構造設計については、残されていた既存図面をもとに再検討を実施。柱脚部分の指摘は対応が困難でしたが、施工会社さんと検討を重ねた結果、最終的に検査済証を得ることができました。

意匠面では、内装デザインにおけるキッチン(火気使用室)の計画や、外部デザインで重視されたオープンテラスとのつながりを実現するため、開口部・庇・パーゴラの納まりを協働設計しました。

法規面とデザイン検討が同時進行することが多く、クライアントの決定に支障をきたさないよう、裏付けを逐一確認しながら進めました。難しい仕事ではありましたが、振り返るととてもやりがいのある経験でした。

このプロジェクトでは、素材選定そのものはインテリアデザイン会社さまが主導されました。
ただ、設計過程でいただいたコンセプトイメージや素材の方向性を共有するなかで、その意図を理解できたことで、私自身の設計イメージも大きく広がりました。

天然素材の温かみと工業製品の強みをどう組み合わせるかは、空間の持続性に直結するテーマです。
今回は直接選定に関わらなかったものの、その考え方を共有できたことが、プロジェクトの成功の一因になったと感じています。

こうした「協働の中で得られる視点の共有」は、今も私の設計の大切な基盤となっています。

設計5原則「コミュニケーションとコラボレーション」について詳しく読む

この仕事を通じて、インテリアデザインの考え方を学ぶことができ、Design Fresco株式会社さまには大変お世話になりました。
法規面の裏付けを担うだけでなく、コンセプトの共有を通じて「デザインを支える設計」の重要性を実感しました。

協働パートナーとして信頼できる方々と取り組めたことが、このプロジェクトの大きな財産です。

2025年現在、大空のまま活用し石窯をメインに据えて営業されているようです。当時の挑戦が今も続いていることを思うと、私も再度訪れてみたい場所の一つです。
店舗WEBサイト:薪窯レストランZONA VOCE

DATA

所在地:東京都羽村市
構造 :鉄骨造 平屋建
工事種別:改築、用途変更(温室・倉庫→レストラン)
竣工 :2003年
敷地面積:㎡(坪)
延床面積: ㎡(坪)
デザイン設計:Design Fresco株式会社
施工:
Ristorante ZONA VOCEの公式サイトはこちらからご覧いただけます
店舗WEBサイト:薪窯レストランZONA VOCE
撮影:Design Fresco株式会社 Studio TORA & Partners


★初回相談は無料です★
ご相談などお気軽にお問合せください