館山の家 千葉県南房総市
家族の気配と自然の力がつながる住まい
敷地に余裕のある郊外では建物が大きくなりがちです。
しかし施主のご要望は「これからの暮らしを見据えて、あえてコンパクトで機能的に」。
その想いを受け、家族の気配が自然に行き交い、光や風と調和する住まいを設計しました。

設計のポイント
家族のつながりを生むリビング
生活の中心には大空間のリビングを据え、個室を直接つなげました。
階段もリビングに取り込み、2段目の踏み板を収納棚と連続させ、家具と建築が一体となった空間に。
施主との丁寧な対話を重ねながら、家族が自然に集える場所を形にしました。
自然の力を活かすパッシブデザイン
南面は大開口として冬の日射をしっかり取り込み、深い庇で夏の強い日差しを遮ります。
上部のハイサイドライトは開閉できるように設計し、通風を確保。
東西面の開口は抑え、北側は景観の良い方向へ窓を配置しました。
断熱・気密は当時の基準ですが、採光・通風・日射取得といった自然の力を活かす工夫を忠実に取り入れています。

木の吹抜けと素材の温もり
在来木造の構造に、無垢材で仕上げた吹抜けを組み合わせました。
床と天井には赤みが美しい赤松を用い、檜や杉、チーク、カリンなど多様な木材を適材適所に取り入れることで、空間に豊かな表情と温かみを与えています。
建具の枠や、造作家具は全て大工さんに製作してもらいました。素材感が統一されて落着いた雰囲気に仕上がります。
木の質感は安心感をもたらし、時間とともに風合いを増していきます。
「気に入った素材を長く使う」ことで、経年変化を楽しみながら住み続けられる空間となりました。

健康への配慮
内装の仕上げ材には、ホルムアルデヒドを一切放出しない健康塗料「ベンジャミンムーア」を採用しました。
素材の選び方ひとつにも暮らす人の健康を考え、安心して長く住み続けられる家を目指しました。
新たな技術でアップデート
主要な接合部にはウッドテック構法(ロケット金物)を採用。
在来工法の弱点である仕口部分の断面欠損が少なくなり、工業製品ならではの強度と精度を加えました。
天然素材と工業製品を組み合わせることで、安心と快適を長く維持できる住まいを実現しています。
風土に寄り添う外観デザイン
周辺で見られる農機具小屋をモチーフに、外観をデザインしました。
外壁はガルバリウム鋼板仕上げとし、雨どいにはタニタハウジングウェア製のガルバリウムを採用。
風土に合った耐久性を備え、地域の景観に自然に溶け込む外観としました。
協働の姿勢
施工は、地元の工務店である サンヨー建設株式会社 さんとの協働。
丁寧な施工によって、設計意図がしっかりと形になりました。
設計と施工が信頼関係のもとで連携することで、住まいに一層の安心感が加わっています。
今の視点から
2007年当時は断熱や気密の基準が現在ほど高くありませんでした。
当時から「自然の力をどう活かすか」「地域の景観とどう調和するか」を意識してきました。
最新技術を取り入れれば、さらに断熱・気密を高め、南房総の気候に適した快適な住まいへ進化させることができます。



DATA
- 所在地:千葉県南房総市
- 構造:木造在来工法+ウッドテック金物(ロケット金物)/2階建
- 竣工:2007年
- 敷地面積:349.66㎡(105.5坪)
- 延床面積:103.50㎡(31.2坪)
- 施工:サンヨー建設(株)
- 撮影:小川幸起
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