木質パネル工法住宅のリフォーム:天然素材と経年変化を楽しむ空間へ

築30年前後の木質パネル工法住宅のリフォーム事例を紹介します。調査段階で、この住宅が在来木造構法ではないと判明しましたが、2×4工法とも異なるため、少し頭を悩ませました。
残された数枚の図面から、この住宅が三陽国策パルプ設計の「パル住宅」と呼ばれる型式認定住宅であることが分かりました。

認定工法住宅でもリフォームの自由度を追求しました。柱や構造材を活かしながら、壁や床を天然素材に置き換えることで、五感で楽しめる住空間を実現。

和室:柱を活かしたリノベーションが魅力。


特に床には山武杉を使用し、見た目にも触感にも温かみを感じられる仕上がりになっています。

認定工法では大幅な間取り変更が難しいものの、仕上げに工夫を加え、触感や五感で楽しめる空間づくりを目指しました。経年変化を楽しめる素材を積極的に取り入れることで、長く飽きのこない住まいを提案しています。

床材に山武杉の無垢材を採用

床板には、地元の山武杉を使用しました。この杉材は柔らかく、触れたときの感触が優しいのが特徴です。裸足で歩くとほんのり暖かさを感じられます。

リビング床は明るい色合いを選び、空間全体に開放感をプラス。

夏場でも足の裏にベタつきを感じません。今回は無塗装品にワックス仕上げを施しましたが、無塗装品の感触をほぼそのまま保っています。

柔らかい材質ゆえに傷が付きやすいデメリットもありますが、それすらも「経年変化」として楽しむのはいかがでしょうか?この傷が家族の生活の記録となり、住まいに深みを加えてくれると考えています。

リフォームの中で特にこだわったポイントをご紹介します。どれも小さな選択ですが、それぞれが空間全体に大きな魅力をもたらしています。

GROHEの水洗を採用した洗面化粧台

洗面化粧台には、GROHEの水洗を採用し、木製カウンターと埋込式洗面ボウルを組み合わせました。この洗練されたデザインは、機能性と美しさを両立し、空間全体に温かみと特別感を与えています。洗面化粧台には、信頼性とデザイン性に優れたGROHEの水洗器具を採用しました。この水洗は、木製カウンターと埋込式の洗面ボウルにぴったりとマッチし、空間にモダンで洗練された印象を与えています。
手作りの木製カウンターとGROHEの組み合わせは、既製品にはない特別感を演出します。

アンティークの照明スイッチ

照明スイッチには、イギリスの当時物ヴィンテージ品を採用しました。アンティーク調ではなく、本物のヴィンテージだからこそ感じられる重みや趣があります。

畳の廻り縁に「水玉模様」

和室の畳の廻り縁には遊び心のある「水玉模様」を選びました。伝統的な畳との絶妙な組み合わせが、空間に軽やかさと温もりをもたらします。

和室の畳の廻り縁には、遊び心あふれる水玉模様を選びました。伝統的な畳とポップなデザインの組み合わせは、空間に軽やかな印象を与え、家族や訪れる人々の会話のきっかけにもなります。

職人技とリフォームの魅力

リフォームの中で大切にしたのは、職人技と住まい手の感性を融合させることでした。手作りの木製カウンターや和室の仕上げは、大工さんの技術が細部にまで行き届いており、既製品にはない温もりを感じられる空間に仕上がっています。

畳や照明スイッチといったディテールにも細かな配慮を施すことで、視覚的なデザインだけでなく、住む人が毎日触れる場所に特別感を与えることを心がけました。このような小さなこだわりが積み重なり、長く愛される住まいへと繋がります。

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このセクションでは、こだわりのディテールをご紹介します。以下の画像をクリックして、それぞれのストーリーをご覧ください。

  • 所在地:千葉県
  • 構造:木質パネル工法(型式認定住宅・三陽国策パルプ設計「パル住宅」)
  • 工種:リフォーム
  • 完成:2014年
  • 施工:三幸建設株式会社(施主一部施工)
  • 撮影:小川幸起

施主支給品

タオルハンガー:アイアンタオル掛け)

フローリング・幅木:山武杉無垢材(丸西建材)

この記事を公開した当時(2014年)は、内装のリファインを中心とした内容であり、構造部分や耐震改修については計画に至っていませんでした。

その後、調査や法制度の動向を踏まえ、2025年現在は以下のような整理が見えてきています。

  • 建築基準法第38条認定
     昭和49年に一部の木質系プレハブ住宅(例:パル住宅)が38条認定を受けており、構造的な位置付けがあります。ただし、当時この記事を作成した段階では、その存在を十分に把握していませんでした。
  • 法改正(2025年4月施行予定)
     4号特例の廃止に伴い、在来工法住宅に対して構造審査の必要性が広がります。これに対して38条認定のプレハブ住宅がどのように扱われるのかは、現時点では未確定です。
  • 今後の方針
     まずは既存住宅の耐震診断を行い、在来工法の基準を準用しながら安全性を評価していく予定です。38条認定住宅に関する公式なガイドラインが示されるまでは、実務上の判断が難しい点も残されています。

この記事は、当初の「内装リファイン」の報告に加えて、その後の法制度・技術的背景の変化を記録する「第一期の記事」として残し、改修計画の実務に関しては別途「第二期工事」として整理する予定です。


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