古民家再生1

古民家の改修工事が始まりました。

手始めに屋根からほぐしはじめます。解体のことをほぐすと言います、解体よりも優しい感じがしてこちらの方が良いですね。

仏壇の位牌を調べたところ、江戸時代中期に建てられたようです。今回の改修工事で正式な時代が解ると思います。楽しみです。

小屋組の全景です
小屋組の全景です
丸太を建て竹で連結しただけの構造がわかります
丸太を建て竹で連結しただけの構造がわかります

 

丸太の先端を尖らせ、梁に差し込んであるだけです
丸太の先端を尖らせ、梁に差し込んであるだけです

 

 

古民家の小屋組は扠首という構造で、丸太の先端をとがらせ梁に差し込み上部を縛った簡単なもの。

 

地震時の水平力をヤジロベエのように揺れて吸収する構造です。

現在の住宅のようにガッチリと構造体を作って水平力に耐える構造とは正反対です。

その実力は江戸時代から今まで地震に耐えていることが証明しています。

内部から覗いてみると一部小屋組が見えました。

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茅葺きと整然と並んだスス竹、波打つような梁の対比が美しいです
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ススに燻された土壁に光が差し込み美しいです

 

現場を眺めてウットリしているばかりでは無く大変なこともあります。

梁を支える柱がありません!
梁を支える柱がありません!

 

 

 

 

 

さあ、どうしましょう?

「そよ風2」 パッシブソーラーシステム 

太陽の熱エネルギー利用して住宅内の暖房を行うパッシブソーラーシステムの実機見学と講習会に参加してきました。

伺ったのは環境創機さんの開発した 「そよ風」です。

国立桜並木

国立駅で下車すると桜が満開。

国立駅前は桜並木で有名で、運良く満開の桜を観ることができました。

駅から会社まで送迎していただいたのですが、少し遠回りしていただいて思いがけず、素晴しい花見ができました。ありがとうございました。

 

 

そよ風モデル太陽エネルギーを利用する仕組みなので、いかに太陽面に屋根を向けることができるかが重要になってきます。

屋根で暖めた空気を基礎に送り、基礎を蓄熱体として暖め、基礎表面の暖まった空気を上昇させ室内を暖める仕組みのため、

上手に空気を循環させる間取り、断面計画が必要になってきます。

そのため、建物全体を一つの空間と考え、空気を循環させるワンルームのような間取りが最適です。

また、本来は暖房システムとして開発されたシステムですが、夏場の籠った熱気を抜く換気システムも備えているので、

高気密高断熱住宅において、夏場の家内に籠ってしまう暖かい空気を循環させるのにも最適です。

敷地条件や予算等の制約はあるのですが、自然エネルギを取り入れる暮らし方も提案していきたいと考えています。

 

古民家再生0

現在、古民家の改修を計画中です。
すでに水回り等は増築されいるので居住スペースのリニューアルがメインになります。
また、古民家と言えば茅葺き屋根ですが、残念ながら茅葺きの上から鉄板の屋根が葺かれています。
室内は天井板が張ってあるのですが、囲炉裏があった当時の煙抜きが残っています。

構造体の問題や、室内環境の改善等、解決する問題が沢山ありますが、古民家の雰囲気を生かしながらの計画を楽しみたいと考えています。

いろり用の煙抜きです
いろり用の煙抜きです

住宅と暮らしの20年 vol.1

リビングデザインセンターOZONEさんが主催する、住宅と暮らしの20年 vol.1 ”これからの住まいに本当に必要な機能と技術を考える”のパネル・ディスカッションを観てきました。

ファシリテーターの三浦祐成氏が現在の住宅事情について、”住宅貧乏”と表現し、”住宅貧乏”を軸にしてのパネル・ディスカッションでした。
今回のテーマが”これからの住まいに本当に必要な機能と技術を考える”でしたから、何か具体的な建築技術、機能についての提案を期待して参加しました。
ですが、そのような具体的な提案はありませんでした。懇談会にも参加をしたのですが、具体的な提案を期待してパネル・ディスカッションに参加した人が何人かいらっしゃいました。
ですが、具体的な提案よりも、今後の事を考える良い機会になりました。
パネラーへの質問ができなかったので、物足りない感もありましたが、参考になったパネル・ディスカッションでした。
懇親会も綺麗なオードブルでもてなしていただきました(画像が無くてすみません)

以下、忘備録としてまとめました。

難波 和彦氏 ”住宅貧乏”の分析
”この20年間、住まいを供給する側が、具体的な住まい方の提案が無かった為に汎用的な間取りが氾濫、また住み手も住まい方を考える事をしてこなかった、この事が”住宅貧乏”を生み出してしまったのではないか?”と分析。
難波氏は箱の家シリーズを展開しており、住まい方を手案する事によりしっかりと住み手も成長しているという、ご自身の確信もあり納得することができました。

播 繁 氏
また構造家の播 繁先生からは、阪神淡路大震災の当時の様子、現地をご自分の足で歩いて調査されたお話、また木造の構造設計では、水平構面耐力の大切さを再確認。

藤村 龍至氏 ”google house”
“google”の画像検索を使用し,戸建て住宅を画像検索して要素ごとに分類。その要素を抽出し、編集した設計した家がgoogle houseです。
意外な事に”google house”は住宅性能評価で高評価を得る事ができたそうです。
一般の住い手が望む戸建て住宅のイメージが、住宅の性能さえも満足させてしまっています。
この事はまさに、集合知の結果であり、書籍”「みんなの意見」は案外正しい”のように、住宅建築については、大勢の集合知による設計(google house)は有能な個人の設計(建築家による設計)よりも正しいと言った事が当てはまるように思えます。

最後のトークセッションでは 今さら感もありますが、”スケルトン、インフィル”の考え方がとても参考になりました。

私も、木造の在来工法では在来木造+金物工法を積極的に取り入れてきたのですが、構造体に対する考えを整理する事ができました。
お施主さんにとって、信頼の置ける箱(構造体)を建築士が提供する事が第一です。
今までロケット工法を採用していたのですが、やはりSE工法についても積極的に取り入れていかなければと思っています。

今後、施主主体のリノベーションをドンドンお手伝いしたいと考えているのですが、しっかりとした構造体をクライアントに提供できるかが重要です。
改修工事についての箱の原理も考える必要があります。

しっかりとした構造体をキャンバスに見立て、クライアント自身が好きな絵(内装)を描く事ができればと考えます。