愛着を上手に引き継ぐには

リフォームをするきっかけは、大小はともかくリフォーム前の家に不満があっての事だと思います。ですからリフォームの時は、リフォーム前の家の事は綺麗さっぱりと忘れ、全てを新しくし新築のようにリフォームをしたくなります。

ですがリフォーム前の家の記憶を残しながらのリフォームはいかがでしょうか?

”昔はここはキッチンだった” ”この材料は昔○○で使っていたな” というようなリフォーム前の家の記憶を思い出すような計画はいかがでしょうか?

家の記憶を残しながらのリフォームとは

  • 古い柱をアクセントとしてプランニングする
  • 古い梁を現しで見せる
  • 欄間や棚板等の部材を他のヶ所へ転用する
  • 建具の再利用 等など

プランニング、施工においても一手間が必要になりますが、建物の思い出、それに伴う先人の思い出を残したい場合はお薦めします。

古い部材を効果的に表すことによって、雰囲気が変わってきます。 新しい物には無い、古い部材が持つ味わいも良いものだと思います。

リフォームは新築と比較して手間がかかる場合が多いです。 断熱性能、耐震性能の向上を合わせて行いますので、工事費も新築を建てることが出来る金額になる可能性もあります。 それにも関わらずリフォームを選択する場合、リフォーム前の家に愛着があるからだと思います。そういった愛着を上手に引き継ぐことができれば満足な家になると思いませんか?

さんむの家では、家の記憶を残しながらのリフォームを行っています。

お金で買うことができない思い出もあります。リフォームの時に参考になればと思います。

古民家再生2

古民家の改修工事が始まりました。

ほぐしの続きになります。

古民家の構造を見る機会はめったにないので勉強になります。

2段に重なった小屋梁です。現在の再来工法の様に梁材を四角く製材していません。丸太の曲がりををそのまま使っています。古民家の魅力の一つです。

2段に重なった小屋梁です。現在の再来工法の様に梁材を四角く製材していません。丸太の曲がりををそのまま使っています。古民家の魅力の一つです。

 

積みかさなる水平部材。差鴨居の上に小屋梁が3段積み重なります。一番下の差鴨居は造作材の一部ですが構造材の役割も兼ねます。魅力的な部材の一つです。

積みかさなる水平部材。差鴨居の上に小屋梁が3段積み重なります。一番下の差鴨居は造作材の一部ですが構造材の役割も兼ねます。魅力的な部材の一つです。

複雑な小屋組ですね。ですが、じっくりと観察すると上部からの垂直方向からの力を水平部材で受け、その受けた力を次の部材で受けていく力の流れの仕組みが見えてきます。

 

 

基礎は礎石の上に柱を立てる「石場立て」です。大引きも立派です。礎石は地盤沈下に合わせて修正をした様子がわかります。柱の下部のの状態が悪いのが気になります。

手前に見えている四角い土の固まりがあるのですがわかるでしょうか?私も何だか判らなかったのですが、多分囲炉裏の跡のようですね。

土は断熱材ですから嵩上げするのに最適な材料ですね。

 

古民家再生1

古民家の改修工事が始まりました。

手始めに屋根からほぐしはじめます。解体のことをほぐすと言います、解体よりも優しい感じがしてこちらの方が良いですね。

仏壇の位牌を調べたところ、江戸時代中期に建てられたようです。今回の改修工事で正式な時代が解ると思います。楽しみです。

小屋組の全景です
小屋組の全景です
丸太を建て竹で連結しただけの構造がわかります
丸太を建て竹で連結しただけの構造がわかります

 

丸太の先端を尖らせ、梁に差し込んであるだけです
丸太の先端を尖らせ、梁に差し込んであるだけです

 

 

古民家の小屋組は扠首という構造で、丸太の先端をとがらせ梁に差し込み上部を縛った簡単なもの。

 

地震時の水平力をヤジロベエのように揺れて吸収する構造です。

現在の住宅のようにガッチリと構造体を作って水平力に耐える構造とは正反対です。

その実力は江戸時代から今まで地震に耐えていることが証明しています。

内部から覗いてみると一部小屋組が見えました。

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茅葺きと整然と並んだスス竹、波打つような梁の対比が美しいです
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ススに燻された土壁に光が差し込み美しいです

 

現場を眺めてウットリしているばかりでは無く大変なこともあります。

梁を支える柱がありません!
梁を支える柱がありません!

 

 

 

 

 

さあ、どうしましょう?

古民家再生0

現在、古民家の改修を計画中です。
すでに水回り等は増築されいるので居住スペースのリニューアルがメインになります。
また、古民家と言えば茅葺き屋根ですが、残念ながら茅葺きの上から鉄板の屋根が葺かれています。
室内は天井板が張ってあるのですが、囲炉裏があった当時の煙抜きが残っています。

構造体の問題や、室内環境の改善等、解決する問題が沢山ありますが、古民家の雰囲気を生かしながらの計画を楽しみたいと考えています。

いろり用の煙抜きです
いろり用の煙抜きです