室内の環境を測定する

計測してわかること

ビジネスの有名なフレームワークの一つにPDCAサイクルがあります。計画→実行→評価→改善→計画→と業務を改善していく手法です。

PDCAサイクルを建物の建設に当てはめてみると、設計・施工はPD、暮らし始めた状況を計測することがC、それに基づいて改善することがAになります。建物性能を改善するためにも、PDCAサイクルを回して改善していくことが大切だと考えています。

建物の使い勝手については人それぞれの感覚に寄るところが多いので計測が難しいですが、建物内の環境、室温・湿度については計測することができます。

このような理由があり、御引渡し前の建物に室温・湿度を測定記録する装置を設置させていただきました。
本来ならば建物の数ヶ所に設置するのが良いのですが、理由もあり(結構なお値段がしますので)1ヶ所だけ設置させていただきました。
測定データは次の設計に生かす事ができる貴重なものなので、御協力は大変有難いです。

 

具体的に伝えたい

今回は無断熱住宅をリフォームしたので室内の室温・湿度環境は劇的に改善しています。そのことをお伝えする時、暖かい家になりましたよ!では無く、一歩すすんで実際の状況をしっかりと把握し数値化してお伝えしたいと考えています。

室温・湿度を計測するもう一つの理由は、設計者として設計時に目指した数値目標を体感として覚えておきたいからです。

建物設計時はソフトを使用しながら数値の改善を目指すのですが、完成後、暮らし始めた家の中で、その数値がどの程度の温熱環境なのか体感することが大切だと思います。そのためにも完成後に室温・湿度を計測しています。

温熱ソフトを使った設計では数値を追い求めてしまいがちなのですが、この辺でいいでしょう みたいな丁度良い体感温度を見付けたいと思っています。

現在は本格的な冬の前なので外気温の変化はほとんどありませんが、一冬のデータを記録させていただきたいと思います。

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愛着を上手に引き継ぐには

リフォームをするきっかけは、大小はともかくリフォーム前の家に不満があっての事だと思います。ですからリフォームの時は、リフォーム前の家の事は綺麗さっぱりと忘れ、全てを新しくし新築のようにリフォームをしたくなります。

ですがリフォーム前の家の記憶を残しながらのリフォームはいかがでしょうか?

”昔はここはキッチンだった” ”この材料は昔○○で使っていたな” というようなリフォーム前の家の記憶を思い出すような計画はいかがでしょうか?

家の記憶を残しながらのリフォームとは

  • 古い柱をアクセントとしてプランニングする
  • 古い梁を現しで見せる
  • 欄間や棚板等の部材を他のヶ所へ転用する
  • 建具の再利用 等など

プランニング、施工においても一手間が必要になりますが、建物の思い出、それに伴う先人の思い出を残したい場合はお薦めします。

古い部材を効果的に表すことによって、雰囲気が変わってきます。 新しい物には無い、古い部材が持つ味わいも良いものだと思います。

リフォームは新築と比較して手間がかかる場合が多いです。 断熱性能、耐震性能の向上を合わせて行いますので、工事費も新築を建てることが出来る金額になる可能性もあります。 それにも関わらずリフォームを選択する場合、リフォーム前の家に愛着があるからだと思います。そういった愛着を上手に引き継ぐことができれば満足な家になると思いませんか?

さんむの家では、家の記憶を残しながらのリフォームを行っています。

お金で買うことができない思い出もあります。リフォームの時に参考になればと思います。

天然素材の良し悪し

天然素材は施工にコツが必要

ビーナスコートの本塗りが終わりました。

水性塗料と違い、自然系の材料は扱いにコツが必要です。シーラーの調整、材料の希釈など難しい部分があったようですが無事に施工完了しました。

本来ならば何事も無く施工できると良いのですが、必ず何か問題が発生します。ですが、原因を突き止め、対策を取ることができれば貴重な経験の一つになると考えています。

監理ポイントも見つかったので次回に施工に生かせればと考えています。

仕上がりは素晴らしく、水性塗料にはない少しざらついた肌触りで、陰影も綺麗だと思います。

さんむの家で使用したビーナスコートについて解説したいと思います。

ビーナスコートは薄塗りの天然内装仕上クリーム材で、主原材料は「卵殻」と「火山灰」です。

原材料に「卵殻」を使っているのはビーナスコートだけだと思います。

メーカーさんによると「卵殻」は、マヨネーズ工場から廃棄されるものを、乾燥、粉砕の工程を経たものを原料としているそうです。

マヨネーズを作る過程で生じる卵の殻。本来でしたら処分費をかけて廃棄されるものを再利用しています。リサイクル素材であるのでエコロジーの視点から見ても満足ができる原材料です。来訪されたお客さまに、この壁、リサイクル素材で卵の殻からできてるんだよ!なんて話題にもなりそうです。

 

もう一つの原材料「火山灰」については皆さんご存じだと思いますが、こちらも利用価値の少ない素材です。

火山が噴火し、堆積した火山灰の処理に苦労されているニュースを見かけますよね。そんな厄介でもある素材です。

ビーナスコートはこんな二つの原材料を活用している、地球環境に負荷をかけることの少ないエコロジーな材料なのです。

機能面では、臭いや有害物質を吸着し、湿気を吸湿する効果があります。

もちろん天然素材ですから仕上りもビニールクロスには無い、天然素材の美しい質感を楽しむことができ意匠面でも満足です。

エコロジー、意匠、機能の3点を満足させることができる素材だと思います。

 

 

さんむの家改修工事07

天然素材を選ぶ理由

残暑が続きますが風は秋の気配です。

内部の木工事があらかた終了し、いよいよ内装工事が始まりました。まずはボード下地工事のパテ打ち作業に入っています。

パテ打ちが始まると工事が終盤にさしかかることを感じますね。

さんむの家で使っている

内装仕上材は天然素材です。

天然素材の良い所は、なんと言っても風合いや肌触りにあります。

これはメーカー素材と呼ばれる、大量生産されるビニールクロスや複合フローリングで味わうことがきません。

天然素材を使った塗り壁はビニールクロスに無い質感があります。

無垢材の木の床の肌触りは心地よく、気がつくと素足になっています。

このように天然素材は暮らしている時のちょっとした瞬間に、気持ちの良い喜びを感じさせてくれます。

さらに天然素材は時がたつと風合いの良さがましていくので、その家で暮らしていく楽しみの一つになります。

天然素材での家づくりでは家の美しさは家が完成した時がスタート地点になり、時間経過によって新品の美しさから風合いを重ねた美しさへ変化していきます。一方、メーカー素材では素材が美しく経年変化することは無く、完成した瞬間が一番美しくその後は経年劣化することになります。

もちろん欠点もあります。

天然素材はメーカー素材と比較するとコストも上がります。

工場で大量生産しているわけでは無いので、仕上がりにばらつきが出ることも多いです。

そのような欠点を認めることができるのならば、仕上がりのばらつきも天然素材の魅力に感じることが出来るのでお勧めします。

 

パテ下地が終わった後、天然内装仕上材のビーナスコート仕上となります。ビーナスコートについては別の機会に紹介したいと思います。

描いている完成予想図と同じになるはずですが、楽しみと緊張感が入り交じった気持ちがします。

下地調整後、本塗りへと進みます。