建物探訪 新住協 関東・東京合同住宅見学会に参加しました

先日、新住協 関東・東京合同住宅見学会に参加しました。今回は、北村建築工房さん、鈴木アトリエさん・山田建設さん、あすなろ建築工房さんが手がけた住宅を訪問。大型バスで移動しながら、4件の住宅をじっくり見学させていただきました。

北村建築工房さんの住宅 急傾斜地をうまく使っています

新住協の住宅見学会とは?

新住協(新木造住宅技術研究協議会)は、快適な省エネ性能の高い木造住宅をローコストで普及を目指している団体です。見学会では、実際の住宅を訪問しながら、設計や施工の工夫、省エネ性能の検証方法について学ぶことができます。

横浜の住宅設計と敷地の活かし方

横浜は高低差のある敷地が多く、傾斜地に建つ住宅も珍しくありません。このような敷地では、設計だけでなく施工のノウハウも必要となります。今回の見学会では、横浜で活躍する設計者や工務店ならではの敷地の活かし方を見ることができ、とても勉強になりました。

高低差を活かした設計は流石でした。ガルバの小波板の外壁も雰囲気良いです

エコハウスの本質は性能計算にある

今回の見学会では、各社が物件概要を作成し、新住協のQpexによる冷暖房エネルギーの性能計算結果も添付されていました。これは、単なる数値比較ではなく、実際の住まいのエネルギー消費を予測するためのものです。

QPEXでは、断熱材の種類や厚さを入力すると、即座にその部位の熱貫流率や暖冷房エネルギーが計算され、設計中のシートに反映 されます。
そのため、設計のある段階で、住宅の暖冷房エネルギーを想定しながら、省エネ性能を調整することが可能 です。
こうした試算を行うことで、予算の許す範囲で、最適な省エネ性能を設定 できます。

QPEXを使うことで分かること
熱交換換気設備を採用してもUA値は変わらないが、暖房エネルギーは大きく削減される
南の窓を大きくするとUA値は上がるが、日射取得が増えるため、陽当たりの良い窓なら暖房エネルギーは減る

このような設計上の影響は、QPEXを使って試算しないと見えてこないもの です。
勘や経験だけではなく、数値で根拠を持って設計することで、より最適な住宅性能を実現 できます。

施工中の現場も見学できます。あすなろさんの現場は施工もそうですが、現場も環境も工夫されていて流石。キムラの調湿気密シートを採用されてました。

換気設備の工夫

換気方式についても、それぞれの住宅で異なるアプローチが取られていました。

特に3階建ての住宅では、デマンド換気を採用することで、各フロアの空気の流れを最適化している点が興味深かったです。

唯一傾斜地では無かったけど、横浜の地価を感じる建築でした。木造3階、やはり空調計画が難しいです

暮らしながら住宅を育てる

鈴木アトリエさん・山田建設さんの住宅では、実際に住まわれているお宅を見学できました。

特に印象的だったのは、月見台の増設や建具の改良など、住みながら少しずつ住まいを改善していること。 住まい手が手を加えながら暮らしを楽しんでいる姿から、設計者・工務店との良好な関係が見えるようでした。

「住宅空調設計講座」では、暮らしを予測する設計を目指しましたが、やはり実際の暮らし方によってその「予測」は変わります。住宅は完成した時点で100%になるものではなく、暮らしの中で育てていくもの。そのため、住み手のライフスタイルに合わせて柔軟にアップデートできる設計がとても大切だと感じました。

スキップフロア+カラーコーディネートで豊かな空間。施工も丁寧でウットリ

最後に

移動中も設計の話で盛り上がり、濃密な一日でした。今回の見学会を企画・運営してくださった幹事・関係者の皆様、ありがとうございました!

関連記事
[暮らしをアップデートする設計]
住まいは完成時が100%ではなく、暮らしながら少しずつ改善していくことが大切。リノベーションや修繕の考え方を詳しく解説しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください