「さんむの家」改修プロジェクト:築40年の住まいに新しい価値を

旧いものを未来へ繋ぐ設計 — 丁寧な改修で住み続ける家

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1. はじめに

「さんむの家」の改修工事を行い、2018年にお施主様へ無事お引き渡しをしました。築40年を超えるこの住まいは、当時から時間が経ち、今では新しい生活がしっかりと根付いているようです。お施主様が新しい暮らしに慣れ、古いものを大切にしながら快適に過ごされていることを聞くたび、私も喜びを感じています。このプロジェクトでは、古いものを活かしながら新たな価値を加え、未来へ繋ぐ設計を目指しました。

こちらは当時のblog記事とリンクするページになります。

2. 設計のアプローチ — あるべきものが、あるべき場所に自然に収まる

私が大切にしている設計思想は、「あるべきものがあるべき場所に自然に収まる」という考え方です。建物は、その歴史や素材、場所との関係性が重要であり、無理に新しいものに変えるのではなく、既存の価値を活かすことが求められます。今回のプロジェクトでは、旧い部材や構造を活かしながら、現代の技術や快適性を取り入れることで、過去と未来が自然に調和する空間を目指しました。

さらに、素材選定の考え方や設計の具体的なアプローチについては、こちらのブログ記事 
さんむの家改修工事 お引き渡しをしました でも詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

3. 記憶も継承する改修 — 古いものと新しいものの調和

設計を始める際、基本方針として「古い部材を可能な限り活用する」という決断をしました。たとえば、柱や梁は新しい部材で覆い隠すのではなく、そのまま現しにすることで、家族の記憶や歴史を継承することができます。こうした工夫により、住む人々が日々の暮らしの中で、家に刻まれた時間を感じながら、次の世代へと繋げることができるのです。

古い部材と新しい素材の調和について詳しく知りたい方は、こちらのブログ記事 
愛着を上手に引く次ぐには でさらに深く掘り下げています。

4. 新旧交ざり合う材料選びと技術の融合

新しく使用した材料は、時間が経つにつれて味わいが増すような天然素材を選びました。年月が経つごとに、古い部材と新しい部材が馴染み、やがては区別がつかなくなることを期待しています。さらに、古いものの美しさを活かしつつ、耐震性を高める技術や断熱性能を向上させる工夫も施しました。結果として、新旧が見事に融合した、温かく居心地の良い住まいが誕生しました。

素材選定時の考え方についてはブログ記事で詳しく述べていますので、そちらもぜひご参照ください。
工業製品について 
天然素材を選ぶ理由
天然素材の良し悪し

5. 環境への配慮と持続可能な設計

古いものを丁寧に直し使い続けることは、資源を無駄にしない持続可能なアプローチでもあります。再利用できる材料を極力活かし、新しい部分には持続可能な素材を取り入れることで、環境に優しい住宅を実現しています。また、設計段階から将来のメンテナンスや改修のしやすさも考慮することで、長く住み続けられる家を目指しています。
こちらのブログ記事では
太陽光発電パネル タニタハウジング エコテクノルーフ を紹介しています。

現在はさらに進化した技術を活用し、高断熱・高気密なパッシブハウス(PH)レベルの設計を行っています。こちらの最新プロジェクトや技術についてもブログで詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

6. 結びに — 住まいを未来に繋げる設計の意義

住まいは単なる建物ではなく、そこで過ごす人々の思い出や歴史が詰まっています。今回の改修では、古いものの価値を活かしながら、未来に繋げる設計を行いました。このアプローチは、時間をかけて築かれた住まいの歴史を尊重しつつ、新しい価値を見出すものです。今後も、古いものを大切にし、未来に繋げる住まいづくりに取り組んでいきます。